空飛ぶ自由人・2

旅・映画・本 その他、人生を楽しくするもの、沢山

映画『侍タイムスリッパー』

2024年09月23日 23時00分00秒 | 映画関係

[映画紹介]


題名で分かるように、
侍がタイムスリップする話。
どこからタイムスリップするかというと、
幕末の京都から
現代の京都、しかも、時代劇撮影所というのがミソ。

会津藩士の高坂新左衛門は
長州藩士を討つよう密命を受け、
同志と共に待ち伏せする。
寺から出て来た相手は
一撃で一人を失神させるほどの豪の者。
二人が刃を交えた瞬間、
雷が落ち、気を失ってしまう。
目を覚ますと、そこは現代の時代劇撮影所だった。
江戸時代の扮装の人々に交じり、
洋装で妙な機械(撮影カメラ)を操作する人たち。


そこで展開する時代劇に介入して叱られた新左衛門は、
頭をぶつけて病院に担ぎ込まれ、
混乱の中、現代の町を彷徨い、


あの武士と一騎討ちをした寺の門前にたどり着く。
寺に居候しながら、
江戸幕府が140年前に滅んだことを知り、愕然とする。
(ということは、この映画の舞台は、2008年ということになる)


動く絵(テレビ)や現代人の食べ物に驚きながら、
やがて磨き上げた剣の腕を発揮して、
撮影所の中で、斬られ役として生きていく。
時代劇の侍の役を、本物の侍が演ずるのだ。
評価が定着した頃、
往年の時代劇スターが、10年ぶりに時代劇に復帰する、
という話が伝わって来て、
新左衛門は、そのスターから
準主役で出演してほしいとオファーを受けるが・・・

ここで物語は急展開を迎える。
タイムスリップものとしては、見たことのある設定だが、
この時間差タイプは初めてで、ちょっと驚いた。
そして、新左衛門がタイムスリップした意味や、
斬られ役として生きる存在が問われてくる。
幕末時、新左衛門がいた会津藩の滅亡も語られる。
俄然、物語は
歴史ドラマ人間ドラマになって来るのだ。
しかも、熱い。
時代劇への愛が溢れる。
最後の対決シーンは熱気があふれる。


映画の最後にあるオチは秀逸。

実は、この映画、自主映画
低予算で、有名俳優やスタッフを起用しているわけではない。
スタッフは全部で10人しかおらず、
人手不足のため、準主役級の女優(沙倉ゆうの)が助監督を兼務。


製作費は監督の安田淳一が、車を売り、貯金をはたいて工面。
安田は、脚本・撮影・編集を兼任し、
チラシ作成・パンフレット制作まで11役以上を1人でこなしたという。


8月17日に池袋シネマ・ロサという小さな映画館一館のみで封切られたが、
評判が評判を呼び、上映館が増え
ついには、ギャガが配給に乗り出し、
新宿ピカデリー、TOHOシネマズほか
全国100館以上で上映と、全国展開した。


第2の「カメラを止めるな! 」と言われている。

エンドクレジットで出て来た俳優名は誰一人として知らない。
しかし、後で調べてみたら、
山口馬木也(やまぐちまきや)も、

冨家ノリマサ(ふけのりまさ)も、

こちらが知らないだけで、
時代劇の脇役としてのキャリアは十分な人達だった。

東映京都撮影所の特別協力によって完成。
脚本に感銘を受けた撮影所が
「自主制作で時代劇をつくるなどと言ったら
 いつもなら全力で止めるが、
 これは本(脚本)が面白いから、是非やりたい」
と、全面協力したというのも泣かせる。

丁度「SHOGUN 将軍」のエミー賞受賞のニュースが報じられ、
「これまで時代劇を継承して支えて下さった全ての方々に
 心より御礼申し上げます。
 あなた方から受け継いだ情熱と夢は
 海を渡り国境を越えました」
という真田広之の日本語でのスピーチが出されたばかりなのは、
何かの符号だろうか。

テレビ局の支援がなくても、
メジャーの映画会社の製作でなくても、
アイドルが出ていなくても、
コミックが原作でなくても、
良い映画を作れば、
観客が発見してくれる
という典型。

5段階評価の「4」
                                        TOHOシネマズ日比谷他で上映中。
                   


中国の日本海産物禁輸解除

2024年09月22日 23時00分00秒 | 政治関係

中国が日本産水産物の輸入再開へ、
というニュースが飛び込んで来た。


ご存知のように、
1年前、
東京電力福島第一原子力発電所の処理水海洋放出を巡って、
「核汚染水」とイチャモンを付け、
日本産水産物の輸入を全面禁止していたものを、
方針転換。
あれだけ強固に反対したのだから、
解除するのにも理屈が必要で、
中国政府は苦労するだろう、
と思っていたが、
何てことはない、
国際原子力機関(IAEA)が
海水や魚類の調査といったモニタリング(監視)を拡充することで
日本政府と合意したというのだ。
元々、IAEAは処理水には問題がない、
としていたのだから、
その調査範囲を拡大するだけで
お茶をにごしたようなもの。

こんなことで日本産水産物の禁輸を解除する、
というのだから、理屈にもならない。
中国外務省は
「中国は科学的証拠に基づいて関連措置に変更を加え、
規制要件と基準を満たす、
日本の水産物の輸入を段階的に再開する」
と言っているが、
大使館や外務省に国際電話をかけてきて、
抗議した何万もの中国人民もびっくりだろう。

中国の禁輸措置で大打撃を受けてきたのが北海道のホタテだ。
ただ、輸出先をアメリカに転ずるなど、努力してきた。
かつて日本のホタテは中国で重宝され、
中国沿海部には日本から仕入れて加工する業者も多くいた。
だが禁輸で立ちゆかなくなり、
ベトナムなどの東南アジアへ移転したという。
つまり、日本の良質で新鮮な海産物が中国に行かなくなり、
経済も雇用も失われただけのことだ。
中国は自分で自分の首を締めたのだ。

中国でも人気を博した日本の海鮮は
この1年で中国産や他国産に取って代わられ、
中国市場で築いてきた地位を失った。
その一方で中国自身にも跳ね返り、
海鮮自体の消費低迷や関連産業への悪影響を招いている。
日本産のブリやタイ、アジ、カツオなど大半を中国産に切り替え、
需要が高かった本マグロはスペイン産、アマダイやノドグロは韓国産にした。
中国による禁輸は、皮肉にも“オウンゴール”となったのだ。

結果として、中国の姿勢は
日本の漁業関係者を苦しめただけでなく、
中国の人民をも苦しめたことになる。
その苦境から、とにかく理屈をつけて、
禁輸を解除せざるを得なかったのが真相だろう。

日本にした行為は、
いちゃもんをつけただけなのだ。
それも自国の主張を通すことにより、
中国の力を見せつけるためのものとしか思えない。
中国とは、こういう国なのだ。

先の日本人児童への殺人事件でも、
記者会見で「このような事態はどこの国でも起こりうる」と
言ってのけた。
だから中国人は世界で嫌われる
そのことにいい加減気づいたらどうかと思うが、
無理だろうが。

中国が禁輸するなら、
分かりました、中国には、
今後、日本の美味しい海産物は売りません。
他の国に売ります、
毅然として言う人は出てこないものか。
韓国における「NO JAPAN 」運動の時もそうだが、
「分かりました、嫌だというなら、
 わが社のビールは貴国には輸出しません、
 そのことで困るのは、
 おいしいビールを口に出来なくなる貴方の国の国民ですよ」
という社は出なかった。
そういう行為は、一時的な鬱憤晴らしにはなっても、
長期的には損だという、
商人的発想なのだろうか。

一社でもそういう会社があっても良いと思うが。

 


小説『海岸通り』

2024年09月20日 23時00分00秒 | 書籍関係

[書籍紹介]

「嘘つき姫」で、私が才能を認めた坂崎かおるの中篇小説。
こんな引き出しも持っているという多彩な才能
「文學界」2024年2月号に掲載し、
第171回芥川賞候補に。
残念ながら選ばれなかった。

海辺の老人ホーム「雲母園」(きららえん)で
派遣の清掃員として働く久住(クズミ)渚。
清掃は天職と言えるほど得意だ。
題名の「海岸通り」は、
園の敷地内にあるニセのバス停の名前。
認知症の入居者の為にある。
家に帰りたがる入居者をこのバス停に連れて行って、
バスが来ないので諦めさす、という機能があるらしい。
そのニセモノのバス停で
来ないバスを毎日待っている入居者のサトウさん。
サボり癖のある元同僚の神崎さん。
人材不足が極まったと感じたのは、
マリアというアフリカ人を採用した時だった。
黒人だが、肌の色を言うのは禁句だ。
ウガンダで放浪のラッパーの日本人と結婚して、
日本に移住したのだという。
マリアの教育係になった久住は、
次第にマリアと心がつながり、
久住が解雇され、
アパートの家賃滞納で行き場が無くなった時には、
在日アフリカ人のコミュニティにやっかいになる。

さまざまな人物が、正しさと間違い
本物とニセモノの境が交錯する物語。                       孤独を抱えた女性達がゆるやかにつながる。
高齢者福祉、派遣労働者、
マイノリティ、外国人コミュニティ
がさりげなく織り込まれている。

バス停の時刻表が6時2分、3分、7時5分と、
素数であるのも、なにやら象徴的。

「だって私は正しくない。
 あなたも正しくない。
 この世界に正しい人なんていない。
 たぶん、絶対」
など名言が多い。

一人一人の登場人物が愛らしく、
切なさも感じられる、珠玉の中篇小説。

 


映画『青春18×2 君へと続く道』

2024年09月19日 23時00分00秒 | 映画関係

[映画紹介]

日台合作のラブストーリー。
ジミー・ライの紀行エッセイ「青春18×2 日本漫車流浪記」を映画化。
18年前の台湾と現在の日本を舞台に、
国境と時を超えてつながる初恋の記憶を描く。

ゲーム会社を友人と立ち上げ、成功したジミーは、
役員会で社長の座から追われ、
実家に戻った時、
父から言われた
「少し休んだらいい。一休みはより長い旅の為」 との言葉に、
人生をやり直すために旅に出ようと思う。
そのきっかけとなったのは、
日本人の女性・アミからもらった一枚のハガキだった。

今から18年前、
台南の高校3年生のジミーは
アルバイト先のカラオケ店で、
サイフを無くして雇ってほしいと言ってきた
4歳上の日本人バックパッカー、アミと出会い、
天真爛漫でかつミステリアスな彼女に恋心を抱く。
アミもまた、ある秘密を抱えながらもジミーにひかれていく。


しかし突然アミの帰国が決まり、
意気消沈するジミーにアミは
「お互いの夢が叶ったら、また会いましょう」
と約束をする。

ゲーム会社を立ち上げ、夢が叶ったジミーは、
アミと連絡を取るが、
まだ旅を続けているアミに、
会うことを拒まれた。

そして、今。
既に18歳の倍、36歳になったジミーは、
日本へ向けて旅立つ。
東京から鎌倉・長野・新潟と旅する道中で、
彼女と過ごした日々の記憶がジミーの心によみがえる。
そして、アミが生まれ育った故郷に降り立ったジミーは、
アミの生家を訪ねるが・・・

絵に描いたような、
異国の女性との初恋。
そして別れ。
ありきたりな話だが、
台湾と日本という二つの風土の違いが物語を引き立てる。
特に日本は雪に埋もれた大地で、
台湾にはない風景。
その中を歩くジミーの
異国の人々との交流がまぶしい。

そして、アミの隠された真実が明らかになる。
また、カラオケ店で出会いより前に
二人がすれ違っていたことも分かる。

ジミーを演ずるのは、
台湾の人気俳優シュー・グァンハン


アミ役を演ずるのは、清原果耶

清原果耶はキャリア最高の演技と言え、
魅力的で惹かれざるを得ない年上の女性を見事に演じた。
シュー・グァンハンの方は、
36歳の老け顔が18歳と同じで、
人生の成功と転落を味わった年輪が全く感じられない。
もう少し何とかならなかったのか。
(シュー・グァンハンの実年齢は33歳だから
 若い時の演技が自然に見える方が見事といえるのだが) 

台南の町の喧噪、
美しい夜景、
夜の二人乗りオートバイ、
そして、ランタンを飛ばす祭の美しさ。

転じて、日本は雪と寒さの厳しい光景。
それもまた美しい。

日本と台湾の合作の意義がよく発揮された映画だった。
                                        日本では今年の5月3日に公開。
早くもNetflix に登場。

 


TOKYO LIGHTS

2024年09月18日 23時00分00秒 | 様々な話題

3日前の日曜日、夕方から、ここへ。

青山通りから

絵画館前

直線道路の脇の

イチョウ並木を通って、

ここへ。

TOKYO LIGHTS 2024

エントランスの看板。

このロゴをデザインした人を私は知っています。

主催はTOKYO LIGHTS 2024実行委員会
共催:東京都、後援:新宿区

夕方6時から開場ですが、
4時から飲食エリアが始まり、入れます。
入場無料。ただし、事前登録が必要。


                                      総合球技場軟式球場には、人々が団らん。

フードトラックも出ています。

場内の配置。

もう秋空のよう。

ここにも、モニュメントが。その前での写真多数。

この光景を、ロゴをデザインした人に見せてやりたい。

空が暗くなってきました。

夜6時から、「Circle of Life」をテーマに、
プロジェクションとサウンドを駆使した
光の体験ができます。

これは、LIGHTWAVE PORTAL

光の中を歩きます。

これは、GALAXY SYMPHONY

無線制御型のペンライト約1万本の光が
次々に変化する巨大コロシアム。

外から見たところ。

上空から。

これは、ETERNITY MIRROR MONOLITH

高さ7mの巨大なミラーとLEDビジョンが未来を映します。

モニュメントも色づきます。

メインとなるのは、
この行列の

プロジェクション・マッピングコンテスト

有料エリア(2500円)と

無料の立ち見エリアがあります。

席はこういう配置。

真ん中にあるのは池です。

運良く、前の人の頭が邪魔にならない、
この席をゲット。

これが投影機らしい。

始まりました。

プロジェクションマッピング国際大会
(1minute Projection Mapping Competition)は、
2012年から始まった歴史と権威ある、
日本発の大会。

毎年異なる制作テーマの元、
1分から1分59秒の映像作品で世界一を競います。


本年度は「Mirror:鏡」をテーマに、
世界56の国や地域から
278組のエントリーが寄せられ、
ファイナリスト18組の作品を上映

日本、中国、インドネシア、
インド、マレーシア、
イタリア、フランス、スペイン、ウクライナ、
ポーランド、ドイツ、ルーマニア、ブルガリア、
メキシコ、チリ
などの国々からの作品。


本場ともいえるアメリカがないのはなぜでしょうか。

グランプリを獲得したのは、
日本のKentaro Tanaka( ケンタロウタナカ) 。

しかし、どの作品も同じような音楽、
同じような展開で、
何か約束事でもあるのかといぶかる出來でした。

しかし、さわやかな風の吹く中での
映像の祭典を
新しい夏の夜の過ごし方です。

これが映像スタッフ。

最後はSTAR DANCE

ピアニストの演奏が流れる中、

300機のドローンが宙に待って模様を作ります。

どうやったら、こんなことが出来るのか。

まるで夢のような体験でした。

最後はこのロゴ。


くどいようですが、
デザインした人に見せてあげたい。

終わるとドローンたちは、芝生の上へ降下。

というわけで、


4時間ほどの東京の夏の夜でした。

9月14日から16日までの3日間で、
2万人が集まったそうです。

次回は、11月8日から10日まで開催。