ただのサッカーブログ

世間知らずの人間が書くサッカーを中心とした個人ブログ。2020年からはサッカー以外の事も少しずつ。

森岡裕策 スポーツ界 パワハラ断つには

2020-06-11 | Weblog
2020年令和2年3月25日(水)、読売新聞朝刊、7ページ
解説、論点スペシャル、文字起こし

スポーツ界 パワハラ断つには

日本スポーツ協会常務理事 森岡裕策(もりおかゆうさく)氏
公立高教諭を経て、1995年に文部省(現文部科学省)入省。
アンチ・ドーピングなどのスポーツ行政に携わる。
2018年から現職。59歳。

体罰「負の連鎖」生む

暴力根絶への危機意識が高まったのは、顧問から暴力行為を受けた
高校バスケットボール部員の自殺、柔道の全日本女子元監督の
選手に対する暴力行為が相次いで明らかになった2013年からだ。
政府や競技団体、我々日本スポーツ協会(JSPO)を含め、
官民が一体となって取り組んできた。

JSPOの最大のミッションは予防だ。スポーツ指導において
暴力・暴言が悪いことだという意識の周知を、指導者は
もとより、選手、保護者、各競技団体に徹底していくしかない。
体罰は、ごく短期的には、競技成績の向上に
つながることもあったかもしれない。しかしながら、
体罰を受けて育った子供は将来、指導になればまた体罰をする
という負の連鎖が生まれる可能性がある。スポーツを教えることは、
未来につながる社会的責任が伴うということを根付かせる必要がある。

13年以降、特に意識が変わったのは保護者だ。
「うちの子は殴ってくれてもいい」という考えが誤りだと広まり、
問題の掘り起こしにつながっている。JSPOに
寄せられる暴力などに関する相談は、約6割が保護者からだ。

一方、指導者についてはどの競技においても意識改革が必要だ。
JSPOが一定の講習を受けた人を認定している「公認スポーツ指導者」
の中にも、不適切な指導を行う人が残念ながらいる。
そのようなこともあり、昨年4月に講習内容を一新した。

従来、どの競技の指導者も受講する共通科目は、スポーツ医・科学の
学問領域ごとに知識を学ぶ座学が中心だった。新しい
「モデル・コア・カリキュラム」では、例えば「コーチングにおける
倫理的判断力を高めよう」といったテーマについて受講者が自ら考え、
参加者同士で意見交換などをするアクティブ・ラーニングを取り入れた。
指導者のリーダーシップやコミュニケーション力、学び続ける姿勢などの
人間力を磨くことが重要だと考えているからだ。こうしたアクティブ・
ラーニングを手助けする指導者の指導者「コーチデベロッパー」
の養成も始め、現在は約50人いる。

これからの我が国のスポーツ界は、暴力、暴言がゼロの社会を目指すべきだ。
これまでの指導現場は、問答無用で指導者から選手に手が出てしまっていた。
指導者と選手、保護者などの関係者が問答、つまり議論をしながら、
新しい時代にふさわしいコーチングを定着させていかなくてはいけない。
(運動部 横井美帆)

JSPOに寄せられた暴力などの相談件数
※2016年12月以降は事前相談を含む
2015年 39件
2016年 51件
2017年 97件
2018年 135件
2019年 236件





6月10日(水)閲覧数:647PV 訪問者数:382人

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