“面(つら)”には、顔、顔つき、物の表面、○○っぽいというような意味がある。思いつくのは、どのつら下げてきたとか、ちょっと面貸せ、上っつら、泣きっ面に蜂、紳士づら、馬鹿づら、善人づらなど、あまり良くない意味の言葉ばかりである。
京都臨済宗寺院には、寺の特徴をとらえて名づけられた愛称があるそうだ。それは「禅つら(面)」といわれている。・・・のような顔をしているとか、・・・のような様子だという意味で、どちらかというと蔑む、馬鹿にする気持ちを込めて用いられる。
以下のお寺からどんな“つら”を想像しますか。妙心寺、建仁寺、東福寺、相国寺、天龍寺。
ちなみに、大徳寺=“茶づら”だそうです。ふむふむ。歴史や特徴を知っていればなるほどと思えるのでしょうが、私にとってはいずれのお寺も思いもつかない面構えをしておりました。
妙心寺は花園法王が離宮を改めて禅寺とした。室町時代には幕府と一線を画し、自らが自立していくという決意のもと修行と布教に専念、その堅実ぶりから“算盤(そろばん)づら”と言われたそうだ。
建仁寺は京都五山の第三位。建仁2年建立だったことから名が付いた。開山は茶の世界ではお馴染みの栄西禅師。室町時代の最盛期に学僧を多く排出したことから“学問づら”。
東福寺は奈良の東大寺と興福寺の一字ずつをもらって名づけられたとか。JR東海の秋の“京都へ行こう”コマーシャルといえば東福寺の紅葉でした。通天橋から眺める一面の紅葉の美しい映像、そこからも寺院の土地の広さと伽藍の大きさが伺えます。東福寺はその大きさから“伽藍づら”。確かに何もかもがビッグです。
相国寺、京都五山の第二位。足利義満が花の御所の隣に夢窓疎石を開山として創建した。金閣寺や銀閣寺はこの相国派にあたる。細く長く続く独特の声明を用いることから“声明(しょうみょう)づら”と呼ばれているそうだ。観音菩薩に罪を懺悔誦経して悟りを目指す観音懺法(かんのんせんぼう)という懺悔の儀式があり、毎年6月17日には特別な声明「梵唄(ぼんばい)」を唱えるのだそうだ。約5時間にも及ぶ儀式らしいが、この秋初めて寺の外で短縮して2時間版として公開されるらしい。大阪、国立文楽劇場に近い方はどうぞ。(http://www.ntj.jac.go.jp/performance/603.html)先日、チベット僧の声明を聞いて感動したので、日本に600年の長きに渡って伝わる梵唄という声明も是非耳にしてみたいものである。東京でもまた機会があるかもしれないと期待している。
天龍寺、後醍醐天皇の冥福祈願の為に足利尊氏が建てた寺で、五山第一位。寺の建立資金調達の為に天龍寺船という貿易船が仕立てられ、元との貿易再開した。火災に見舞われて現在の建物はほとんどが明治以降のものらしいが、嵐山の賑やかな通りに面し、広々とした立派なお寺だった。室町幕府の衰退と共に衰えるほど武家との繋がりが強かったことから、“武家づら”と呼ばれたようです。
大徳寺は千家の菩提寺でもあり、茶を学ぶものなら一度は大徳寺を訪ねようと思うもの。そもそもは紫野という若菜摘みや狩猟が楽しまれた紫草の生い茂る野原に宗峰妙超が小さい庵を結んだのが始まりで、一休禅師が住職となるに至って隆盛。村田珠光が一休禅師に参禅して茶禅一味を悟り、墨蹟を与えられた話は有名だが、その後も武野紹鴎、千利休と参禅し、利休様は侘び茶に禅の精神を取り入れられたことからも大徳寺との関係は深い。“茶づら”以外の何者でもないだろう。
妙心寺 : 算盤づら
建仁時 : 学門づら
東福寺 : 伽藍づら
相国寺 : 声明づら
天龍寺 : 武家づら
大徳寺 : 茶づら
他のお寺にもあるんでしょうか、独特な面構えが?お寺をつらに譬えた都人のセンスを楽しみました。
京都臨済宗寺院には、寺の特徴をとらえて名づけられた愛称があるそうだ。それは「禅つら(面)」といわれている。・・・のような顔をしているとか、・・・のような様子だという意味で、どちらかというと蔑む、馬鹿にする気持ちを込めて用いられる。
以下のお寺からどんな“つら”を想像しますか。妙心寺、建仁寺、東福寺、相国寺、天龍寺。
ちなみに、大徳寺=“茶づら”だそうです。ふむふむ。歴史や特徴を知っていればなるほどと思えるのでしょうが、私にとってはいずれのお寺も思いもつかない面構えをしておりました。
妙心寺は花園法王が離宮を改めて禅寺とした。室町時代には幕府と一線を画し、自らが自立していくという決意のもと修行と布教に専念、その堅実ぶりから“算盤(そろばん)づら”と言われたそうだ。
建仁寺は京都五山の第三位。建仁2年建立だったことから名が付いた。開山は茶の世界ではお馴染みの栄西禅師。室町時代の最盛期に学僧を多く排出したことから“学問づら”。
東福寺は奈良の東大寺と興福寺の一字ずつをもらって名づけられたとか。JR東海の秋の“京都へ行こう”コマーシャルといえば東福寺の紅葉でした。通天橋から眺める一面の紅葉の美しい映像、そこからも寺院の土地の広さと伽藍の大きさが伺えます。東福寺はその大きさから“伽藍づら”。確かに何もかもがビッグです。
相国寺、京都五山の第二位。足利義満が花の御所の隣に夢窓疎石を開山として創建した。金閣寺や銀閣寺はこの相国派にあたる。細く長く続く独特の声明を用いることから“声明(しょうみょう)づら”と呼ばれているそうだ。観音菩薩に罪を懺悔誦経して悟りを目指す観音懺法(かんのんせんぼう)という懺悔の儀式があり、毎年6月17日には特別な声明「梵唄(ぼんばい)」を唱えるのだそうだ。約5時間にも及ぶ儀式らしいが、この秋初めて寺の外で短縮して2時間版として公開されるらしい。大阪、国立文楽劇場に近い方はどうぞ。(http://www.ntj.jac.go.jp/performance/603.html)先日、チベット僧の声明を聞いて感動したので、日本に600年の長きに渡って伝わる梵唄という声明も是非耳にしてみたいものである。東京でもまた機会があるかもしれないと期待している。
天龍寺、後醍醐天皇の冥福祈願の為に足利尊氏が建てた寺で、五山第一位。寺の建立資金調達の為に天龍寺船という貿易船が仕立てられ、元との貿易再開した。火災に見舞われて現在の建物はほとんどが明治以降のものらしいが、嵐山の賑やかな通りに面し、広々とした立派なお寺だった。室町幕府の衰退と共に衰えるほど武家との繋がりが強かったことから、“武家づら”と呼ばれたようです。
大徳寺は千家の菩提寺でもあり、茶を学ぶものなら一度は大徳寺を訪ねようと思うもの。そもそもは紫野という若菜摘みや狩猟が楽しまれた紫草の生い茂る野原に宗峰妙超が小さい庵を結んだのが始まりで、一休禅師が住職となるに至って隆盛。村田珠光が一休禅師に参禅して茶禅一味を悟り、墨蹟を与えられた話は有名だが、その後も武野紹鴎、千利休と参禅し、利休様は侘び茶に禅の精神を取り入れられたことからも大徳寺との関係は深い。“茶づら”以外の何者でもないだろう。
妙心寺 : 算盤づら
建仁時 : 学門づら
東福寺 : 伽藍づら
相国寺 : 声明づら
天龍寺 : 武家づら
大徳寺 : 茶づら
他のお寺にもあるんでしょうか、独特な面構えが?お寺をつらに譬えた都人のセンスを楽しみました。
本当にそれぞれのお寺に特徴があるのは興味深いですね。
山桜家の面構えは自然たっぷりですね。
m-tamago家はどうかなあ。。。
私個人はいろんな”つら”を持ちたいなあ。めざせ変幻自在の百面相?!
宗派の差だけでなく、このように○○面と表されるほどの
歴史・特徴のあるお寺には、ますます興味が湧きますね。
振り返って、我が家の「面構え」はどんなだろうかと…(笑)
草木面? 緑陰面?
コメントありがとうございました。
月草さんのブログも優しい自然な感じで早速お気に入りに追加させて頂きました。これから徐々に読ませて頂きますね。
おばあさまとの素敵なお茶のお話、ありがとうございます。いいですね、おばあさまとピクニックがてら外で抹茶を飲む。贅沢な幸せな時間です。
私も茶道は習っていても無にはなかなか成れませんが、いつか。。。。
そうなの、それぞれのお寺の特徴を一語で言い表すセンスはなかなかのものよね。
>印刷・出版でも「つら」という言葉を使います。
>「版面」と書いて「はんづら」
ほおお。こんなところにも”つら”は使われているんだ。
確かに文字屋写真の配置のされ方で記事の雰囲気は随分変わるものね。
>もしかしたら版画なんかでも使うかな?
紙にどう刷られたか次第で版づらがいいとか悪いとかいいそうだね!
色々いらしてますね!
私は全部行きましたがつらを知っていたらまた視点が違うかもしれません。
妙心寺は私はかなりお勧めします。伽藍の説明も20分ごとに説明の人がついて廻ってくれるのでわかりやすいのです。
京都は何度行ってもいいですね。
○○のような面構えになってきた・・・
面構え・・・いかにも人の年輪を感じさせる言葉ですね。人となりをいうのでしょうか?
生活によって刻まれる面構え・・・すこし怖い気がします。
はじめまして ブログを拝読させていただきながら、毎日忙しく動き回り、お茶をたしなむような侘びを持っていないことを哀しく思います。
私の祖母がお茶を教えていたようで 小さいときから祖母の側でみようみまねで習っていた記憶があります。
無になってお茶にむかう
しじんはむみをあじわう・・・
今もお念仏のように聞えてきます。その祖母も小学校にあがっる頃にはなくなりました。
生きていればどんな面になっていて、今の私をどう思うのか…
思い出深いお茶室にかけられた掛け軸「朝顔の花一時」(字面とも言いますね)
「箱茶」
いつか私も無になって無味を味わいたいと思いながら生活しています。
http://blog.goo.ne.jp/tukikusa_may/d/20060427
それぞれのお寺の特徴を一語で言い表してるんですね。
「つら」ということばに親しみの気持ちを感じます。
話がそれますが面ついでに私もひとつ。
印刷・出版でも「つら」という言葉を使います。
「版面」と書いて「はんづら」と読むのですが、
これは何かというと、印刷物で文字や写真などが配置されている範囲、つまりページの周囲の余白を除いた部分のことをさします。
たしかに印刷物の「顔」であり「表面」であります。
もしかしたら版画なんかでも使うかな?
ここ数年、京都に行ってお寺に行く機会が何度かありました。
大徳寺・・・宗家研修、LT研修で何度か伺いました。以前は全国大会のお茶席も大徳寺で行われてましたね。やはりお茶をしている者にとっては一番馴染み深いお寺であります。
相国寺・・・狩野光信筆の「蟠龍図」を拝見して感動しました。天井に描かれた龍は堂内中央付近で手をたたくと、天井に反響してカラカラという音が返ってきます。「鳴き龍」ともよばれているとおり頭上で龍が鳴いているようでした。
東福寺・・・6月にたまなさん、りんずさんと行ってきました。時期がずれていたので観光客が少なく通天橋は独り占め! 紅葉の時期にもう一度訪れたいお寺です。
天龍寺・・・先週の日曜日に行ってきました。この度も暑い時だったのでお庭の花は百日紅の花だけ・・・
やっぱ、嵐山は秋ですね♪
残念ながら、妙心寺と建仁時にはまだ行った事がありません。
たまごさんのお話で是非とも行ってみたくなりました。
それぞれの面構えを確認するのも楽しいかも♪