
今年の淡交のテキストは、“懐石と頂き方の作法”。年間を通じて、懐石の流れを追いつつ、その場面で必要となる頂き方、心得、懐石道具、料理について紹介する試みのようだ。1月は懐石の一番最初の場面、“折敷を受け取り、飯、汁を頂く”。
何度か稽古茶事にて懐石の経験はあるとはいうものの、細かいところまで把握できていないので、購入することに決めた。
その中で、今回、懐石道具として、お箸と折敷が取り上げられていた。実は、お箸と一言に言っても様々な種類があることに驚いた。茶に関わらず普段からお世話になっているお箸なのに、だからこそなのか、無頓着なものです。
お箸の由来は、現在から約3500年前に中国で使われ始めたものとされています。日本への伝来は弥生時代で、祭事用の道具として神仏へのお供えに使われたそうです。漢字の竹冠の通り、最初は竹でできたもの、1本の竹を曲げてピンセットのような形になっていたとか。やがて聖徳太子が遣隋使を派遣し、小野妹子が箸で食事をする習慣を伝え、朝廷の儀式で採用されるようになりました。その後、庶民にも広がり、手から箸を使っての食事が普及、様々な材質で作られるようになり、江戸時代には塗箸も登場しました。
茶の世界でも、箸は様々なシーンに登場します。
(1) お客の箸
赤杉でできた「利休箸」。(8寸5分・約26センチ)
これは和食・割烹料理屋さんでも使用されているので茶道を習っていない方も見たことがあると思う。両端が細く削ってあるもので、両細という。日本独特の箸の形で、一方が神仏に供える為、一方が自分が食す為という意味がある。
(2)懐石に用いられる箸
①真中に竹の節がある中節の青竹箸は、焼物と八寸の取り回しに添えられる。箸先が細くなるように削られている。(9寸3分・約28センチ)
②元に節のある元節の青竹箸は預け鉢の取り回しに添えられる。箸先が細くなるように削られている。(7寸5分・約22.5センチ か 8寸・約24センチ)
③節がなく、箸の両端が細くなっている青竹でできた両細箸は香物に添えられる。(8寸~8寸5分・約24センチ~25.5センチ)
④赤杉でできた矢筈箸は、強肴や傷のつきやすい器を出す場合に添える。
(3) 主菓子に用いられる箸
クスノキ科の落葉低木クロモジの枝で作られた、その名も黒文字。(6寸・約18センチ)黒文字は、一客一本使用。銘々皿には一本、縁高には人数分の本数を添える。本来は亭主が茶事の直前に自ら削って準備するもので、客はその一期一会の茶事に感謝して懐紙にくるんで持ち帰る。
食籠や盛鉢に盛られていたり、取りにくい場合は、2本の黒文字を使う。また、善哉や主菓子の数が多い(四カ伝、相伝)、お祝いの場合など黒文字に杉箸を添え2本にして箸として使用することもある。
読んだ後にこれまでの茶事の写真をひっくり返してみると、確かに懐石に添えられた箸が料理によって違う。全く意識していなかったが、このような細やかなところにも茶人の配慮はなされていたのだと改めて感動。まだまだ気づかない点がたくさんありますね。
主菓子に添えられる杉箸は折ってお返しするのだと先生から教えて頂きましたが、これにも意味があるようです。
昔は山に行った時などは小枝をお箸の代わりに使い、折ってその場に捨てる習慣があったそうです。それは、一度使用したお箸にはその人の霊が宿るとされて、山でそのままにすると獣がもてあそんだりして、災いが自分に降りかかると考えられていたからです。お弁当の後にお箸を折りますが、小さくして捨てるというのもあるのでしょうが、実は、お箸に宿る霊を自分の元へ返らせる為でもあるらしいのです。(私も含め、今は知らずに折っている人が多いとは思いますが)また、お箸には神が宿るとも言われますし、お正月の祝箸は一回限りの白木を使うことを考えても、お箸は神聖なもの、使いまわしたりはしないものであった証拠でしょう。杉箸ももう二度と使いません、私の為にありがとうという気持ちを込めて折って返すということではないでしょうか。もっとも、最近はもったいないので、折らずにそのままお返しする方が礼に適っているようです。
お箸の正しい持ち方が出来ない子供が多いと最近問題になっています。私も先日フォークをつかむような形で箸を持っている大学生を見かけてびっくりしたばかりです。私自身も美しい箸の使い方をしているとは言い難いのですが、想像を越えた持ち方、ある意味すごい器用だなあと思ってしまいました。また東急ハンズで箸の持ち方を矯正する道具まで売っているのにはびっくりしました。
箸に関する面白いHPを発見しましたのでごらん下さい。箸の由来、現在箸が使われている地域、箸にまつわる言葉などお楽しみ頂けます。
箸にまつわるHP
http://www.osaka-kyoiku.ac.jp/~ioku/foodsite/hashi/index.html
中国、韓国でも箸を使いますが、男女や大人子供で大きさが異なるのは日本だけ、とは文化の違いを感じます。それぞれの人に併せた細やかな配慮とでもいいましょうか。日本文化のよさがお箸ひとつにも表れている気が致しました。食文化の中にもその国の歴史や営みが垣間見え興味深いですね。
写真は我が家に今あるお箸を並べた図。上から、黒文字、利休箸、コンビニでもらった割箸、津軽塗箸、タイで購入した箸(木製)。
箸といっても、様々な材質、長さ、カットの仕方、使い方があるものです。皆さんも周囲の箸をもう一度確認してみて下さい。小さな道具ながら、人間の基本である食を支える大切なもの、日々大切に使い、注目していくことに致します。
何度か稽古茶事にて懐石の経験はあるとはいうものの、細かいところまで把握できていないので、購入することに決めた。
その中で、今回、懐石道具として、お箸と折敷が取り上げられていた。実は、お箸と一言に言っても様々な種類があることに驚いた。茶に関わらず普段からお世話になっているお箸なのに、だからこそなのか、無頓着なものです。
お箸の由来は、現在から約3500年前に中国で使われ始めたものとされています。日本への伝来は弥生時代で、祭事用の道具として神仏へのお供えに使われたそうです。漢字の竹冠の通り、最初は竹でできたもの、1本の竹を曲げてピンセットのような形になっていたとか。やがて聖徳太子が遣隋使を派遣し、小野妹子が箸で食事をする習慣を伝え、朝廷の儀式で採用されるようになりました。その後、庶民にも広がり、手から箸を使っての食事が普及、様々な材質で作られるようになり、江戸時代には塗箸も登場しました。
茶の世界でも、箸は様々なシーンに登場します。
(1) お客の箸
赤杉でできた「利休箸」。(8寸5分・約26センチ)
これは和食・割烹料理屋さんでも使用されているので茶道を習っていない方も見たことがあると思う。両端が細く削ってあるもので、両細という。日本独特の箸の形で、一方が神仏に供える為、一方が自分が食す為という意味がある。
(2)懐石に用いられる箸
①真中に竹の節がある中節の青竹箸は、焼物と八寸の取り回しに添えられる。箸先が細くなるように削られている。(9寸3分・約28センチ)
②元に節のある元節の青竹箸は預け鉢の取り回しに添えられる。箸先が細くなるように削られている。(7寸5分・約22.5センチ か 8寸・約24センチ)
③節がなく、箸の両端が細くなっている青竹でできた両細箸は香物に添えられる。(8寸~8寸5分・約24センチ~25.5センチ)
④赤杉でできた矢筈箸は、強肴や傷のつきやすい器を出す場合に添える。
(3) 主菓子に用いられる箸
クスノキ科の落葉低木クロモジの枝で作られた、その名も黒文字。(6寸・約18センチ)黒文字は、一客一本使用。銘々皿には一本、縁高には人数分の本数を添える。本来は亭主が茶事の直前に自ら削って準備するもので、客はその一期一会の茶事に感謝して懐紙にくるんで持ち帰る。
食籠や盛鉢に盛られていたり、取りにくい場合は、2本の黒文字を使う。また、善哉や主菓子の数が多い(四カ伝、相伝)、お祝いの場合など黒文字に杉箸を添え2本にして箸として使用することもある。
読んだ後にこれまでの茶事の写真をひっくり返してみると、確かに懐石に添えられた箸が料理によって違う。全く意識していなかったが、このような細やかなところにも茶人の配慮はなされていたのだと改めて感動。まだまだ気づかない点がたくさんありますね。
主菓子に添えられる杉箸は折ってお返しするのだと先生から教えて頂きましたが、これにも意味があるようです。
昔は山に行った時などは小枝をお箸の代わりに使い、折ってその場に捨てる習慣があったそうです。それは、一度使用したお箸にはその人の霊が宿るとされて、山でそのままにすると獣がもてあそんだりして、災いが自分に降りかかると考えられていたからです。お弁当の後にお箸を折りますが、小さくして捨てるというのもあるのでしょうが、実は、お箸に宿る霊を自分の元へ返らせる為でもあるらしいのです。(私も含め、今は知らずに折っている人が多いとは思いますが)また、お箸には神が宿るとも言われますし、お正月の祝箸は一回限りの白木を使うことを考えても、お箸は神聖なもの、使いまわしたりはしないものであった証拠でしょう。杉箸ももう二度と使いません、私の為にありがとうという気持ちを込めて折って返すということではないでしょうか。もっとも、最近はもったいないので、折らずにそのままお返しする方が礼に適っているようです。
お箸の正しい持ち方が出来ない子供が多いと最近問題になっています。私も先日フォークをつかむような形で箸を持っている大学生を見かけてびっくりしたばかりです。私自身も美しい箸の使い方をしているとは言い難いのですが、想像を越えた持ち方、ある意味すごい器用だなあと思ってしまいました。また東急ハンズで箸の持ち方を矯正する道具まで売っているのにはびっくりしました。
箸に関する面白いHPを発見しましたのでごらん下さい。箸の由来、現在箸が使われている地域、箸にまつわる言葉などお楽しみ頂けます。
箸にまつわるHP
http://www.osaka-kyoiku.ac.jp/~ioku/foodsite/hashi/index.html
中国、韓国でも箸を使いますが、男女や大人子供で大きさが異なるのは日本だけ、とは文化の違いを感じます。それぞれの人に併せた細やかな配慮とでもいいましょうか。日本文化のよさがお箸ひとつにも表れている気が致しました。食文化の中にもその国の歴史や営みが垣間見え興味深いですね。
写真は我が家に今あるお箸を並べた図。上から、黒文字、利休箸、コンビニでもらった割箸、津軽塗箸、タイで購入した箸(木製)。
箸といっても、様々な材質、長さ、カットの仕方、使い方があるものです。皆さんも周囲の箸をもう一度確認してみて下さい。小さな道具ながら、人間の基本である食を支える大切なもの、日々大切に使い、注目していくことに致します。
全然気づきませんでした。今度注意してみようっと。
そういや茶杓や蓋置でも節の位置でいろいろ違いますよね。
(詳しく覚えきっていないのですが・・・)
ただいま家に持ち帰った黒文字は5本。
日付を書いて保管していますが今後増えていくのが楽しみです。
茶事の主菓子は立派なものが多くて
黒文字1本で縁高から取り出すのが苦手です。
いつも
竹の両細
竹の中節
竹の元節 何処に使うか迷います
茶の湯実践講座 開いて置きます(汗
箸を折る
縁高に水菓子 を入れたとき
黒文字と赤箸(利休箸の6寸のもとおもえばいい)を添えます
黒文字は亭主が客のために 削ってくれたモノで
爪楊枝と同じ 歯の間しこしこするに使っても良いモノなので客が持ち帰ります
(自分は茶会で頂いた 黒文字に茶会の名前と日時記入して祈念にしてのこってます) 赤箸は 自分が使ったので二度使われないようにするために折って 縁高にいれ返します
縁高の蓋の上には 黒文字と赤箸がセットになって 人数分乗っているわけで 黒文字で御菓子を刺して懐紙の上にとり さらに水菓子を 赤箸と黒文字を箸のように使い 取るわけです
この違う種類の 箸ではないですが 二本を使って水菓子を取るどういうのがどうも 固定概念の強い私にはいやなのです 骨揚げの箸 一膳ではなく二膳の箸を互いに分けて使う あの慣習を連想してしまうのです 岐阜の伯父の時の骨揚げは 青竹の箸に1本と白木の箸1本で 箸渡しで・・・・
まぁよけいな話は 別にして 赤箸という楊枝を折るわけです
感謝の意味で手折る
柳の箸も 神様にお供えする箸に使われますね
本年も宜しくお願い致します。
懐石は自身、本年の課題でもあります。
お箸や会席膳など本当に難しい事が多いです。
懐石料理も少しずつ家で練習しようかと思っています。
いつかは、峰羅庵で懐石もお出しして茶事を行ってみたいです。
箸の霊については勉強になりました。
山にテント泊などしますと、皆さん必ず箸をおります。
長いとゴミ袋に孔があいてしまい、ザックの中が悲劇になってしまうからです!
それにしてもこの霊についてはなるほどーと思いました。
今度、山でその話を皆さんにしてみたいと思います。
道具一つ一つに意味があって、大変ですけど面白いですね!
なるほど。そのような習慣の名残りだったのですね。
ささくれが刺さりそうなので、箸を折るのはとても嫌だったんですよね。
しかし、その神聖なる謂れを聞き、あらためなくてはと思いました。
見てみたいです、無意識のうちに見たことあるかも知れませんが(汗)
大変興味深く読ませていただきました。
今度から注意して見てみようっと^^
お箸も茶杓と同じで節の位置が色々だったのです。私も驚きでした。
>ただいま家に持ち帰った黒文字は5本。
たくさんお持ちですね!
>茶事の主菓子は立派なものが多くて
黒文字1本で縁高から取り出すのが苦手です。
確かに。私はいつも突き刺してしまうのがどうももったいなくて。。。。
本当にいろいろですね。
先生曰く、メインの懐石は中節、そうでないものは元節と覚えればいいんですよ、と。
>縁高に水菓子 を入れたとき
黒文字と赤箸(利休箸の6寸のもとおもえばいい)を添えます
赤箸とは杉箸と同じようなものですね。確か、赤かった?一度先生にそういうものがあると聞いたことがあるような。。。。
箸渡しは、今の若い人は知っているのでしょうか?
私は実際焼き場で見た時はショックでした。箸と箸でモノを挟み合ってはいけないと言葉では聞いていましたがこういうことなのかと。
その時のお箸は2本セットになっているものではなく、違った素材のものでしたか?そこまでは覚えていません。
いずれにしても、箸は日本人の一生において死ぬまで関係深く大切なものということでしょうね。
まぁよけいな話は 別にして 赤箸という楊枝を折るわけです
こちらこそ今年も宜しくお願い致します。
>いつかは、峰羅庵で懐石もお出しして茶事を行ってみたいです。
まあ、素敵。お呼ばれしたいです。mineraさんのことですから、ご自身のお道具、懐石も手作りで最高のもてなしをなさることでしょうね。
>山にテント泊などしますと、皆さん必ず箸をおります。
なるほど、山で箸を折るのには現実的なな理由もあるのですね。
私たちの何気ない動作にも実は昔の人の知恵が続いた結果だったりして、興味深いです。昔の人はそうやって自然を崇め生かされていることを大切に思って生きてきたんでしょうね。
>道具一つ一つに意味があって、大変ですけど面白いですね!
ハイ、知るほどに面白いですね!!まだまだ何がでてくるか、これから楽しみです。
>ささくれが刺さりそうなので、箸を折るのはとても嫌だったんですよね。
わかります。私も今はほとんど折りませんが、これを知って今度は折ってみようかなぁと思ったりしています。昔は小枝だったから簡単に折れたんでしょうね。今の割り箸は頑丈です。。。。