9時過ぎに京都駅到着。まずは華厳寺に向かいました。こちらは一年中鈴虫の音が聞けること、願いをかなえて下さる幸福お地蔵様がいらっしゃることで有名で、別名鈴虫寺とも呼ばれています。お茶とお菓子を頂きながらのテンポのいいお坊さんの説教も相変わらず楽しくも為になるものでした。前回の私のお願い事は”私にふさわしい方と結婚させて下さい”で、今回はふさわしい方であった(?)夫と一緒にお地蔵様にお礼参りとなりました。
http://www.suzutera.or.jp/index.html
華厳寺をあとにして、午後は楽美術館へ。
京都にはお茶にまつわる美術館がたくさんあります。これまで神社仏閣ばかりでなかなか美術館に足を運ぶことがなかったので、事前にチェック。
楽美術館で新春特別展”人と動物の意匠”展開催中。しかも月に一度開催されている”手にふれる楽茶碗鑑賞会”がちょうど1月12、13日にあるではありませんか。
http://www.raku-yaki.or.jp/museum/index-j.html
迷わず14時の会を電話予約。会費は2000円/人(美術館拝観料込)。
まず、雪駄で美術館の茶室まで移動、にじり口をくぐり、行燈のともされた薄暗い小間に通されます。床の間に軸と花、点前座に釜、水指、茶入、楽茶碗が飾られていて、呈茶はありませんが、茶室の雰囲気を味わうことができます。こちらで今回の鑑賞会と、茶道具の取り合わせについての説明があります。
床の間には三千家家元合筆「雪月花」。昭和50年に開催された”一楽二萩三唐津展”で三千家の先代が楽家に贈ったものだそう。雪=表、月=裏、花=武者小路の文字、その下にそれぞれの花押がありました。花入は、覚入作の鶴首、手づくねとは思えない見事な鶴首に、赤い有楽椿と白梅の枝が入っていました。釜は奥平了保作「翫土軒」字入り尻張、表千家吸江斎在判、旦入に贈られたもの。覚入作 飴釉芋頭水指、一閑作 松の絵中棗、了入作 立鶴黒楽茶碗、楽美術館開館三十周年記念 鵬雲斎作 茶杓”清樂”。いずれもこちらでなくては拝見できないお道具でした。
一通り拝見して、隣の広間へ。いよいよ楽茶碗を手にとって拝見。今回のお茶碗は、
1.長入作 若松之絵赤楽茶碗
2.了入作 立鶴黒楽茶碗
3.覚入作 赤楽茶碗 ”春の声” 即中斎書付
詳しい説明書も下さり、読むとその由来を知ることができます。また、学芸員の方が茶碗について、また当代との実際のお話等もお話下さいます。今回は総勢12名ほどでしたが、自由に質問も飛び交って和やかな会となりました。
1.はたっぷりした形で、両手で持つ時に手がすっぽり包み込めるような箆削りとなっており、白土の化粧土で若松の絵が描かれていました。この松が上品でした。京都で松といえば、”根付”なのですね。今回、街を回っていて、神社仏閣や玄関先で根付の松をよく拝見しました。
2.は楽にはめずらしく、本歌である高麗茶碗の御本立鶴茶碗に添って高台がカットされており、楽しみました。
3.は昭和40年に、翌年のお勅題「声」にちなんだ制作されたもの。形にならない「声」を表現するのに、奈良東大寺二月堂の仏と対坐してイメージを得たものだとか。ふっくらとした形で手に丸くおさまり、色合いもやさしく穏やかで、春の声という銘にぴったりのお茶碗でした。私はこの茶碗が一番気に入りました。
最後に3つのお茶碗が並べられ、箱とともに飾られました。「お名残惜しいものがあれば、もう一度どうぞ」の言葉に遠慮なく近づいてもう一度手にとってみました。もうこれらの楽茶碗を触ることは一生ないでしょう。もし何所か(美術館?)で出会えたら感動しそうです。一期一会の出会いに感謝。
学芸員さんと参加者との対話より、いくつか書きとめておきます。
釉薬の調合は代によって異なり、その作業は夫婦そろって行うこと、
楽茶碗の土は三代前のものを使用していること(当代は12代の土を使用している)、
9代の頃、赤土が焼けてしまい、以後白土を使用していること、
黒楽は36-37回ほど釉薬をかけ、赤楽では1-2回であること、
高台まで釉薬がかかっているか、土見せしているかでは何代のものかは判別できないこと(これが何代の特徴という共通するものは少ない)。
土を寝かせるとはいいますが、三代も前のものを使用するとは代々引き継がれていかなくてはできないことだなあと思いました。当代もいい土が出たと聞いてはスコップとバケツをもって出かけているとか。伝統の中には子孫のために遺す、大切な作業がたくさんあるのですね。
手に触れる鑑賞会を後にして、新春特別展”人と動物の意匠”へ。歴代が作った動物たちが並んでいました。香炉、香合、お茶碗、置物。動物や干支を作品にするのが盛んになってきたのは江戸時代からのようで、古いものでは三代道入の虎、五代宗入のみみずく、獅子、七代長入の馬、象、虎などがありましたが、干支の動物というくくりでは十三代からが圧倒的に多かったです。十三代惺入の作品は写実的で、とても上手だなあと感じました。干支の動物を人々が好むようになったのは近年ということなのでしょうね。学芸員の方も、こういった展示の試みは初めてなので、こんな動物があるなど、楽しみながら当代と選びましたとのことでした。
たっぷり2時間楽しみ、楽家の暖簾を拝見したくて、外に回りました。「樂焼御ちゃわん屋」、お正月飾りされた門の外からひっそり写真を撮らせて頂きました。 楽家では手にふれる鑑賞会や、当代とのお茶会が毎月定期的に開かれていて、庶民にもその門戸を開いて頂いているようですばらしいと思います。やはり千家十職といえば雲の上というような雰囲気がありますから、そちらから接点を作って下さるのは嬉しいことです。茶碗でも人でも何でも実際会った方が愛着が湧きますものね。また機会があれば、手に触れる鑑賞会に参加させて頂きたいと思いました。
<ご参考>
楽茶碗の由来
http://blog.goo.ne.jp/m-tamago/e/5aa1d853bf81ff2e5697f945c351846a
赤と黒の芸術 楽
http://blog.goo.ne.jp/m-tamago/e/8bb29b76d75f671ff21a0b869568bfb9
http://www.suzutera.or.jp/index.html
華厳寺をあとにして、午後は楽美術館へ。
京都にはお茶にまつわる美術館がたくさんあります。これまで神社仏閣ばかりでなかなか美術館に足を運ぶことがなかったので、事前にチェック。
楽美術館で新春特別展”人と動物の意匠”展開催中。しかも月に一度開催されている”手にふれる楽茶碗鑑賞会”がちょうど1月12、13日にあるではありませんか。
http://www.raku-yaki.or.jp/museum/index-j.html
迷わず14時の会を電話予約。会費は2000円/人(美術館拝観料込)。
まず、雪駄で美術館の茶室まで移動、にじり口をくぐり、行燈のともされた薄暗い小間に通されます。床の間に軸と花、点前座に釜、水指、茶入、楽茶碗が飾られていて、呈茶はありませんが、茶室の雰囲気を味わうことができます。こちらで今回の鑑賞会と、茶道具の取り合わせについての説明があります。
床の間には三千家家元合筆「雪月花」。昭和50年に開催された”一楽二萩三唐津展”で三千家の先代が楽家に贈ったものだそう。雪=表、月=裏、花=武者小路の文字、その下にそれぞれの花押がありました。花入は、覚入作の鶴首、手づくねとは思えない見事な鶴首に、赤い有楽椿と白梅の枝が入っていました。釜は奥平了保作「翫土軒」字入り尻張、表千家吸江斎在判、旦入に贈られたもの。覚入作 飴釉芋頭水指、一閑作 松の絵中棗、了入作 立鶴黒楽茶碗、楽美術館開館三十周年記念 鵬雲斎作 茶杓”清樂”。いずれもこちらでなくては拝見できないお道具でした。
一通り拝見して、隣の広間へ。いよいよ楽茶碗を手にとって拝見。今回のお茶碗は、
1.長入作 若松之絵赤楽茶碗
2.了入作 立鶴黒楽茶碗
3.覚入作 赤楽茶碗 ”春の声” 即中斎書付
詳しい説明書も下さり、読むとその由来を知ることができます。また、学芸員の方が茶碗について、また当代との実際のお話等もお話下さいます。今回は総勢12名ほどでしたが、自由に質問も飛び交って和やかな会となりました。
1.はたっぷりした形で、両手で持つ時に手がすっぽり包み込めるような箆削りとなっており、白土の化粧土で若松の絵が描かれていました。この松が上品でした。京都で松といえば、”根付”なのですね。今回、街を回っていて、神社仏閣や玄関先で根付の松をよく拝見しました。
2.は楽にはめずらしく、本歌である高麗茶碗の御本立鶴茶碗に添って高台がカットされており、楽しみました。
3.は昭和40年に、翌年のお勅題「声」にちなんだ制作されたもの。形にならない「声」を表現するのに、奈良東大寺二月堂の仏と対坐してイメージを得たものだとか。ふっくらとした形で手に丸くおさまり、色合いもやさしく穏やかで、春の声という銘にぴったりのお茶碗でした。私はこの茶碗が一番気に入りました。
最後に3つのお茶碗が並べられ、箱とともに飾られました。「お名残惜しいものがあれば、もう一度どうぞ」の言葉に遠慮なく近づいてもう一度手にとってみました。もうこれらの楽茶碗を触ることは一生ないでしょう。もし何所か(美術館?)で出会えたら感動しそうです。一期一会の出会いに感謝。
学芸員さんと参加者との対話より、いくつか書きとめておきます。
釉薬の調合は代によって異なり、その作業は夫婦そろって行うこと、
楽茶碗の土は三代前のものを使用していること(当代は12代の土を使用している)、
9代の頃、赤土が焼けてしまい、以後白土を使用していること、
黒楽は36-37回ほど釉薬をかけ、赤楽では1-2回であること、
高台まで釉薬がかかっているか、土見せしているかでは何代のものかは判別できないこと(これが何代の特徴という共通するものは少ない)。
土を寝かせるとはいいますが、三代も前のものを使用するとは代々引き継がれていかなくてはできないことだなあと思いました。当代もいい土が出たと聞いてはスコップとバケツをもって出かけているとか。伝統の中には子孫のために遺す、大切な作業がたくさんあるのですね。
手に触れる鑑賞会を後にして、新春特別展”人と動物の意匠”へ。歴代が作った動物たちが並んでいました。香炉、香合、お茶碗、置物。動物や干支を作品にするのが盛んになってきたのは江戸時代からのようで、古いものでは三代道入の虎、五代宗入のみみずく、獅子、七代長入の馬、象、虎などがありましたが、干支の動物というくくりでは十三代からが圧倒的に多かったです。十三代惺入の作品は写実的で、とても上手だなあと感じました。干支の動物を人々が好むようになったのは近年ということなのでしょうね。学芸員の方も、こういった展示の試みは初めてなので、こんな動物があるなど、楽しみながら当代と選びましたとのことでした。
たっぷり2時間楽しみ、楽家の暖簾を拝見したくて、外に回りました。「樂焼御ちゃわん屋」、お正月飾りされた門の外からひっそり写真を撮らせて頂きました。 楽家では手にふれる鑑賞会や、当代とのお茶会が毎月定期的に開かれていて、庶民にもその門戸を開いて頂いているようですばらしいと思います。やはり千家十職といえば雲の上というような雰囲気がありますから、そちらから接点を作って下さるのは嬉しいことです。茶碗でも人でも何でも実際会った方が愛着が湧きますものね。また機会があれば、手に触れる鑑賞会に参加させて頂きたいと思いました。
<ご参考>
楽茶碗の由来
http://blog.goo.ne.jp/m-tamago/e/5aa1d853bf81ff2e5697f945c351846a
赤と黒の芸術 楽
http://blog.goo.ne.jp/m-tamago/e/8bb29b76d75f671ff21a0b869568bfb9
さて、楽の鑑賞会 私もいつか! と思っていたところなので ご紹介うれしいです。 正客にでもならないかぎり触れませんから 貴重な体験ですよね。たぶん月によって、触れるお茶碗が違うかもしれませんね。
なんでも 守って続けるって すごい事で お茶碗一つでも 考えさせられてしまいますね。
夫は手にふれる楽茶碗鑑賞会で、1時間位座敷で正座と聞いて嫌がっていましたが、それなりに楽しんでいたようです。
毎月出されるお茶碗は違って、今回はお正月なので、立鶴や根付松、お勅題にちなんだもの、とお目出度いものを出して下さったようです。
事前にどのお茶碗が拝見できるか知らせてくれるサービスもあるようなので、確認してからいくのも手ですね。是非機会あればいらしてみてください。
京都に住んでいるわけではないので、目指していかない限り、今回みたいにタイミングよく行かない気がします。縁があったのだと思いました。
学芸員さんの説明が本当に解りやすく、機会があればまた伺いたいと狙っております!
いつも同じ学芸員さんでついつい話が弾み、前回は『前にもいらした方ですよね』って覚えていてくださりお部屋で一緒に記念撮影しちゃいました(笑)
いつかはたまごさんともご一緒したいですね♪
ママさんは3回も参加しているのですねー。毎回違うお茶碗に出会えるっていいですよね。私も機会があればまた伺いたいと思いました!
今度京都訪問する際はご連絡させて頂きます。なかなかタイミング合いませんが、ママさんとお茶席にご一緒したいです♪