今回も摘果作業のお手伝いです。
朝7時半から昼休憩をはさんで午後3時まで。
作業は兄、両親、私の4人ですが、途中で兄は生産者団体の総会のため途中で外出しました。
今回は同じ摘果でも特別な作業でした。
今回の品種がとても特殊で、人工交配が不要。
摘蕾作業はしましたが、その後の人工交配をすっ飛ばして、摘果作業ができるのです。
それならばさぞ作業が楽かと思うと、実はそうでもありません。
結実もたくさんありまして、葉もワサワサたくさん生えてきますから、ハサミで切り取る分がやたらとたくさんあります。
実も葉も多すぎるので、適度に減らす必要があります。
このブログで以前、葉は実も枝も幹も育てるから大切なことを書きましたが、その大切な葉を切り落とすのです。
ド素人作業員の私は、まず母からやり方を習ったのですが、母は実演しながら「ほらここを切るでしょ?次ここね、その次ここ。で、ここは残すから次ここ…」。
……。わからねぇーよ。
↑これ、私の心からの叫びです。
私「ちょっと待って!残す実の間隔はどれくらい?」
母「こんくらい」
私「こんくらいじゃあなくて、何センチ?」
母「何センチなんて分かんないわよ。こんくらい」
私「じゃあ、20センチくらいでいいのね?」
母「ンもう、やればできるわよ」
私「えー!だいたいでいいから、ひと枝にいくつくらい残すの?」
母「ンなこと聞かれても分かんないわよ。やれば分かるって」
万事この調子で、勝手が分からないまま作業に入りました。
父も一緒にいたのですが、もう父は説明するのも億劫らしくて、1人で黙々と作業を始めていました。
内心、父から説明をしてもらった方がマシかなぁ、これじゃあ私には理解できないンだけれどなぁ、少々父を恨めしく思いました。
後から合流した兄に説明してもらったら、母の説明と違いましてね。
兄の方が的確な解説で分かりやすかったです。
実はだいたい20センチに1つくらい、一番大きな実(変形や病斑は除く)を残します。
全部実を切り取った部分は葉も全部切り落として、展開した葉が茂り過ぎた部分は間引きます。
葉の間引きは、分かりにくいので、私の手(女性にしては大きめ)を思いっきり広げたよりも3センチ以上大きく広がっている部分は減らして、1センチくらい大きくなるように調整します。(これは目分量でいい)
ちょっと難しかったこの品種の摘果作業は果樹の本数が少なめなので、数時間の作業で終わりました。
この後は両親と私で、晩生種のおさらい(見直し)作業です。
私は晩生種の摘果はやらなかったので、今回が始めての作業です。
今年は晩生種の歩留まり(結実の数)が悪かったそうで、遅霜にでもあったのかと思ったら、そういう年だったみたいです。
果樹農家同士の会合や情報交換は兄の役目なのですが、同じような丘陵地の果樹園も、一級河川の近くの果樹園も、晩生種は歩留まりが悪かったそうです。
今年は10日くらい季節の進みが早いので、早い時期に開花する晩生種には植物としての開花準備が難しかったのかもしれません。
さて前回はちょっと暑さにやられて、熱中症気味になったので、今回はマイボトルにぬるま湯(白湯)を入れて持ち歩きました。
一応大丈夫でしたが、今度は白湯に梅干しを少し入れておこうかと思いました。
次回も楽しくお手伝いしたいです。
☆おまけ☆
ちょっと分かりにくいのですが、干しワカメしたいなモノが棚に吊り下げてありました。
母に尋ねてみたら「網を束ねてあった紐をまとめて吊り下げてあるだけ」とのこと。
網とは、写真の青色の幕のような網のことで、これは防除網(ぼうじょもう)と呼びます。
防除をする際に、農地を越えて周囲に撒き散らさないようにするための網状の幕のことです。
網状である理由は、ある程度の通気性がないと風が吹いたときに煽られて周りの柵を破壊したり、網自体が破れたり、周辺住宅にも被害が及ぶからです。
なお、使用しているスピードスプレーヤーや噴霧器のノズルから出る水滴の大きさは比較的大きめなので、網状の幕でもその周辺に飛び散ることはほぼありません。
そして一般消費者があまり知らない規制のためでもあります。
これまで私の実家の果樹園は住宅地に隣接していることをこのブログで書いていますが、ご近所農家さんの野菜畑や植木畑にも隣接しています。
農薬は各作物ごとに使える薬品が決まっていて、植木も果樹も野菜もオールマイティーに使える農薬はほぼありません。
しかも一口に野菜と言っても、トマトとナスでは使える薬品が違いますし、トマトとミニトマトでも違うンです。
そして許可されている農薬でも使用量厳守はもちろん、万が一許可されていない農薬の成分が検出されると回収しなければなりません。
そこで防除網が重要になってきます。
私の実家では防除網のほかに、防鳥網といって野鳥から果実を守る網を6月ころに張り巡らせます。
ちなみに先日心配していた雹対策の防雹網を張る果樹園もありますが、私の実家では雹対策はしていません。
さて干したワカメのような紐は、左側が畳のヘリの再利用、右側が市販のナイロン紐を切り分けたモノです。
両親に言わせると、畳のヘリほど便利な紐はない、とのこと。
丈夫で長持ち、何かを束ねる時に滑らなくてしっかり結べる、切り口がほつれにくい…何をとっても農作業の強い味方だそうです。
25年程前、中国産材料の畳から日本では使用できない農薬成分が検出されました。
それまでは古い畳を堆肥化して肥料にできたのですが、このリサイクルも禁止されることに。
ゆえに私の実家の果樹園でも古い畳の受け入れを止めたのですかが、畳のヘリはその畳を解体したときの副産物です。
ヘリは堆肥化できませんが、農作業の大切な資材として今も使われています。