http://hlo.tohotheater.jp/net/schedule/010/TNPI2000J01.do
今回は114席の小さなスクリーンで観たのだけれど、公開から2週間も経っているせいか
客席は20人居たかな?くらいでした。
で、映画の内容は原作にかなり忠実だったと思うし、
主人公を演じた阿部サダヲさんが思いの外つぶらな瞳だったことが印象的でした。
それから、表現が春だけなんだよね~。
秋の収穫、赤いリンゴがあまり出てこないの、これは驚いた。
確かに、リンゴを実らせるには、花が咲いてくれないことにはどうにもならないのだけれど、
もう少し赤いリンゴが観たかったかな。
おそらく、撮影は春を中心にしているからか、葉の色が若すぎる。もう少し濃い葉の色が観たいというか、
春だけで撮影を終わらせているんだなぁ~って思わせるのはどうだろう。
予算をそれほどかけていない映画だなぁ~って思うんだよね。
それに木村秋則さん本人も映画に出ています。
結婚式のシーンで山崎努さんの隣に座っているのだけれど、
体格が違うにせよ、なんか木村さんって山崎さんと思いの外似ていることに驚きです。
記録映画ではないので仕方ないけれど、
貧乏だって割りには衣装がきれいすぎて、農家の人ってそんなきれいな服で農作業しませんよって。
野良着だったらもっとぼろぼろでいいと思う。貧乏さがぜんぜん伝わらないなぁ。
この映画の中で少し表現が稚拙だなって思う部分があって、
「農薬=悪」という考え方や、「農薬=農家が楽するためのモノ」と思われたとしたら、
それは少し違うと思う。
木村さんの「無農薬栽培」の中でも少し気を付けて欲しいことがある。
木村さんの努力とその成果には敬服しているからこそ、表現の甘さを感じるのです。
作中で野菜の無農薬栽培の表現があるけれど、
野菜の種って、種苗会社から購入した時点で「種子消毒」というものをされていることがあります。
この種子消毒は、農薬を使って居ることとしてカウントされてしまうので、
種から自主採取していない限り、無農薬とはありえないと言っていいほどなのです。
また、酢などを使うことは「特定農薬」と言われる手法ということ。農林水産省のホームページでも書かれています。
「農薬」を毛嫌いする人たちもいるので「特定農薬」というと敏感に反応する人もいるのだろう。
だから「特定農薬」という表現をしていない。
農薬を開発したことで、多くの果樹農家は病害虫を苦労なく駆除することができた。
そのことで価格を安定させて、安定した収入を得て農閑期に出稼ぎに行かないで済むようになった。
こういった収入の安定は、農家にとってはとても大事なこと。
多くの農家にとって、生産の固定費である農薬と肥料については、少なく済むなら済ませたい。
でも、一方でこの固定費の削減によって収入が不安定になるのであれば、
やはり「減農薬」が一定の成果と考えるのだろう。
私も減農薬は賛成なのだ。
消費者にはあまり知られていないけれど、農薬にも使用期限や認可取り消しというものがある。
農家では無駄な農薬を買いたくないけれど、どうしても残ってしまった農薬というものもあるし、
農薬の容器自体、産業廃棄物なのだから、自治体による家庭ゴミの回収時に処分できないこともある。
そうなると、農家はその農薬や容器を農薬回収等で有償で回収・処分してもらっている。
そういうことも農産物の価格にダイレクトに反映されないにせよ、間接的な反映はあるわけ。
だから都会の農家となんのつながりもない人たちは好き勝手に
「無農薬が良い」だとか平気でいうけれど、生産の現場とつながっている人にとっては、
こういう言葉が心ない言葉に聞こえてきたりする。
だから、「奇跡のリンゴ」の木村秋則さんはとても特別。
日本中の農家がこの生産方法に変更することはない。
木村さんの功績は賞賛することだけれど、誰が好きこのんでカマドケシになるというのだろう。
日本の農業は技術的にも世界トップレベルだと思う。
それも、助成金漬けの構造を改革しない限り、いつまでも木村さんは特別だし、
安定した今の制度であれば、今の価格で農産物を手にすることができる。
不安定な生産量、不安定な価格であれば、TPPで日本の農業は壊滅的に破壊されるだけ。
いまの安定した農業の状況でさえも、TPP導入で破壊されると言われているのに。
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