
表紙だけでは「動物園の話?」と思うかも知れません。
自然科学系博物館「かなでの森博物館」で繰り広げられるあれや、これやの話です。
主人公は、奏山市役所に勤務する薄井透、26歳。
存在感が薄いし3年もいた市役所の部署で名前すら覚えてもらっていません。
「ムダを省くことが使命」と思って働いていたら、自身が市役所から省かれて、博物館に3年間出向になってしまったという人物です。
法律で決まっていることすらあまり知られていませんが、博物館法という法律があります。
博物館と名乗れるには広さや人員等に決まりがありまして、満たさない場合は、博物館相当施設(この表示は法律上だけですね、だいたい資料館等と称します)等と称します。
ここで出てくる博物館は、自然科学系なので、動植物に関する研究者がたくさん登場します。
これがまたかなり変わった印象の方々です。
印象としては佐々木倫子さんの漫画「動物のお医者さん」の登場人物を思い出してしまいます。
今、食べ物系の漫画が多い反面、博物館や美術館を舞台とした漫画はそれほど多くない印象です。
前出「動物のお医者さん」は、大学の獣医学部を舞台にしています。他にも獣医学部を舞台にした漫画は見たことがありますが、自然科学系博物館を舞台にしたものは読んだことがありませんでした。
細野不二彦さんの漫画「ギャラリーフェイク」で少し取り上げられたくらいでしょうか?
主人公は、市役所から出向者で、ムダを省きたいタイプなので、研究者達に振り回され戸惑いながらも、受け入れてもらっている最中という状況です。
今後は、年間予算のこと、経営計画など、たくさんの振り回される要素があります。
何だったら、この文化施設も今流行の指定管理者制度で研究者達がてんやわんやの状況に陥るところも見たいです。
あと、私のようにパートで働く研究者達以外のスタッフの様子も見てみたいかも。
文化施設の裏側をどこまであぶり出せるのか、そこまで描けるのなら、画期的な漫画になると思います。
単に文化施設の研究者達を傍観する公務員の話なら、単なる行政漫画にしかなりません。
今後の展開が楽しみです。