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1月の法語はお正信偈29句目「摂取心光常照護」のご文が書き下されています。
摂取(せっしゅ)の心光(しんこう)つねに照護(しょうご)したもう
この句に続く句をあげてみますと、
摂取心光常照護 已能雖破無明闇 摂取の心光つねに照護したもう。已によく無明の闇を破すといへども
貪愛瞋憎之雲霧 常覆真実信心天 貪愛(とんない)瞋憎(しんぞう)の雲霧(うんむ)、つねに真実信心の天に覆へり。
譬如日光覆雲霧 雲霧之下明無闇 たとへば日光の雲霧に覆はるれども、雲霧の下あきらかにして闇なきがごとし。
(注釈版『浄土真宗聖典』p203)
いろいろな縁に触れては涙し、時として激怒し、様々な煩悩に振り回されてまたまた無明の闇に陥ったようになりますけれど、その私がお念仏にもようされて行くことは最早無明の中ではなかったのです。厚く雲や霧に包まれていても太陽が出ている限りその下は暗闇ではないのと同じように信心のはたらきによる心の状態は無明ではないのです。いつもすっきり晴れわたらないのは自らの煩悩の雲霧の所為であると自悔すべきことと云えます。
数年前から当山の若院がお正信偈の現代語による意訳を試みていますが、この一群の詩偈の訓みと解釈には随分と難渋すると話していましたが、どうにか越えられたようです。今年中には本となって出版される予定のようです。大人向けの絵本と云う体裁をとっています。楽しみにしていて下さい。