奔馬 豊饒の海2巻/三島由紀夫
1巻『春の雪』の悲恋とはうってかわって若く純粋な志が一本の柱となっている『奔馬』
1巻で主人公・清顕の友人だった本多が38歳の大人になって再登場❕
あれ~これ主人公不在で物語が進んでいくのかな??
と思った矢先、
なんと!清顕の生まれ変わりとして
18歳の『勲』が登場。
これ、輪廻転生もののお話だったのね~
かつて清顕の書生だった飯沼の息子だ。
飯沼好きだったので再登場してくれて嬉しい👏
…と思ったけど、大人になった飯沼は若い頃と比べて魅力が落ちたというか
家庭を持って、良くも悪くもただの大人として描かれている。
まぁ大人になるとはこういうことか😐
主人公・勲は神風連(熊本で実際起こった役人を殺した後切腹するという事件を起こした連中)
に憧れて、『昭和の神風連』になるため密かに同志を集める。
腐敗した数人の財閥を殺した後で自刃することに異常に✨憧れて✨いるのだ。
勲は腐敗を正すことよりも自刃すること自体に対しての憧れが強すぎる気がする
この巻は三島由紀夫自身の思想がたくさん詰まったものかなと感じるとちょっと引き締まる思いがしました。
1巻では蓼科
2巻では槇子が女のおそろしい~部分を発揮😱
それにしても、三島の主人公の恋人はいつも年上な気がする。年上好きかしら
「純粋な志」を大人達の手で穢された勲ですが、最後は~。。。
次は南国の、女性に生まれ変わると匂わせて終わり
暁の寺 豊饒の海3巻/三島由紀夫
タイのお姫様、ジン・ジャンが
清顕・勲の生まれ変わりとして登場。
7歳の小さな女の子ですが、『自分は日本人の生まれ変わりだ、日本に帰る!!』と
勲の時とは違い、前世の記憶が残っている様に思えます。
衛星のごとくこの転生に接点を持ってしまう本多。
まだ7歳の異国の姫と今後どう絡んでいくのか、不思議でなりませんでしたが…
一気に数十年と時が経ってジン・ジャン再登場はなんと18歳❕
日本に留学という形で本多と再会👏
この巻が今までと違うのは、本多がほぼ主人公であること。
そしてとにかく本多が気持ち悪い!😱💦
若い頃の清顕程とは言わないけれど、綺麗だった本多くんの姿はもうどこにも見当たりません
これが歳を取るということなのか…
小さくて可愛かった頃から知ってる近所の子供が
大人になって事件起こし捕まって、
『ええ!?あの子が!?!?』ってショックを受ける住民の気分。
50過ぎた良い歳のおっさんが、のぞきしたり18歳の異国美女に本気で恋したり…
あの日本的な良い奥さんだった梨枝も、そりゃ嫌な女になってきますわ😒
本多だけでなくこの巻は良い歳した大人たちが道徳心とかそういうの飛び越えたことを色々やらかしてて
大変気持ち悪いんですが、暇な金持ちたちの終着点ってこういうことなんかしら??
そして驚いたことに蓼科、まだご存命だったんだ…!
やっぱり存在感が圧倒的だわ。
本多の恋も結局意外な形で終わってしまい、
ジン・ジャンも知らぬ間に20歳で亡くなったと聞きます。
前回までは生まれ変わりの予告を本人たちが残していたけど、今回は何も手掛かりなし😐
最終巻、どうなるんだろう??
天人五衰 豊饒の海4巻/三島由紀夫
豊饒の海、最終巻❕❕
いやこれ、ほんと読んで良かった…
終わりがもう心にぽっかり穴が開いたかの様になってしまったけど、
あのラストを持ってくるなんて三島由紀夫の手腕に打ち震えた…!!
本多76歳で登場。
妻の梨枝は他界しており、友人の慶子と時々旅行をしながら余生を送る日々
ある日三保の松原へ行った時、清顕・勲・ジン・ジャンの生まれ変わりかもしれない『透』と出会います。
なんと!1回会っただけの透を何の確証もないのに養子に迎えてしまいます。
透は容姿端麗・頭も良い素晴らしい好青年✨
しかし本性が現れるにつれ、本多にとって地獄の様な生活が始まる…
精神的・肉体的に虐待!😱
本多が騒いだとしても外面の良い透、外部の者からは本多の老人性被害妄想だと決めつけられます。
なんて恐ろしい展開…!!
だ~れも信じず他人を傷付けることしか考えない透が、唯一心の拠り所にしている人…
それが狂女・絹江
絹江は三島作品にしては珍しいタイプの登場人物。
この世のものとは思えない程の醜い容姿だけど、自分のことを絶世の美女だと思い込み、
全ての男は自分を狙っていると勘違いし毎日被害妄想で過ごしています。
そんな狂女・絹江が透のストッパーになっていただろうに、
本多が養子にしたことによって一時期絹江と離れ離れになってしまったので透の中の悪が暴れ出した様に思えます。
途中から絹江を本多の屋敷に住まわせるようにはなるけど、透の悪は平気で本多を痛めつけるまま
破滅に向かうのは止められず…
最後、慶子が手を下したことにより透は絶望し、自殺未遂で完全失明。
本多は本多でのぞきで捕まり週刊誌に叩かれ世間から冷たい目で見られていたし、
狂女・絹江には妊娠の兆候が…
本多家は完全にこの代で零落してしまいましたとさ…
ラスト、本多が清顕の死と聡子の出家以来足を踏み入れていなかった月修寺に行きます。
今まで避けて通っていたあの場所
1巻以来出て来なかった聡子の、満を持しての再登場❕
清顕の話をすると、『清顕さんとはどなたですか??』と聡子さん…
えっ😱
本当に忘れているのか、忘れたふりをしているのか、はたまたそんな人は最初からいなかったのか、
死期の近い本多には相当ショックな返答だったでしょう。。。
この靄にかかったような幻想的な終わり方…
素晴らしい読了感が味わえました。
三島由紀夫のこの作品読んで、別の小説も読みたくなりました😄
楡家の人びと 北杜夫 (にれけのひとびと)
三島が感銘を受けた!そうで
これも3巻に渡りある一家の生活と零落とが描かれている
そしてこの北杜夫はトーマス・マンに影響を受けてるんだって😆
『ブッデンブローク家の人々』まだ読んでないけどこっちも読まなくっちゃね!
『魔の山』は大好きな小説。これも読み返したいの
読みたい小説、第一軍だけ絞ってみても全然読み切れる気がしないよー💦
今後どれだけの作品が読めるかな。
別館のハンドメイドブログです
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