白痴 上巻/ドストエフスキー
初めて読んだのは4、5年前だったかな??
その時も「面白い」て感じたけど2巡目の方が圧倒的に面白い
ドスト作品はどれも凄い…
読み返すごとに面白さが増す。
先月まで読んでいた「未成年」が良い意味で地味だったせいか
「白痴」の個性的な面々が妙に際立っています
「白痴」の主人公・ムイシュキン公爵
いわゆる「生まれつきちょっと頭のネジが緩い」みたいな意味合いでの白痴ですが
読み進めていくとむしろ頭は良いように思うし、とてもあけすけ・素直な人物
初対面では皆自然と格下に見ちゃうけど
いつの間にか好きになっていて公爵の周囲に人は絶えません
人物描写は「カラマーゾフの兄弟」3男・アリョーシャに若干似ていますが、
彼の様にまるで聖人君子かのごとくあまりにも人ができすぎていて、
腹の奥底では何を考えているのか分からない…といった類の不安を掻き立てられる要素もなく
頭の中で人の事をチラッとでも悪い疑いをかけてしまうとその途端に
「あぁなんて自分は嫌な奴なんだこの中の誰よりも下衆で最低な人間だ」
なんて猛反省したり、良い人でありながらとっても人間的で好ましい主人公です
この作品にたびたび出てくる「気が違った人認定」
登場人物結構皆ぶっ飛んだ面々なので「あいつついに気が違ったんじゃないのか」
なんてセリフが出てくることしばしばです。
ここら辺がこのタイトル「白痴」にかかっているのでしょうか。
ムイシュキン公爵だけの話ではなく、物語の登場人物全員…
というより、実はムイシュキン公爵だけが狂っていないのかもしれません
なんと!
ドスト作品で日本の描写が出てきました。
第一編終わり頃
「日本じゃ恥辱を受けた者が恥辱を与えた者のところへ行って『きさまはおれに恥をかかした、
だからおれはきさまの眼の前で腹を切ってみせる』と言うそうじゃありませんか。
そして、ほんとに相手の目の前で自分の腹を切って、それで実際に仇討ができたような気分になって、
すっかり満足するらしいんですがね。世の中には奇妙な性質もあるもんですねぇ――」
最初、新渡戸稲造の「武士道」読んだの??とチラッと思ったけど
調べたら全然年代が違いますね(笑)
1868年 白痴発行
1900年 武士道発行
お恥ずかしながら武士道はよく知らないのですが…
ドストの描く切腹についてはちょっと聞いたことがないので、多分間違った伝わり方の切腹観だと思いますがどうでしょう
近辺の歴史を大雑把に切り抜いた
1853年頃 露船が開国迫って日本周辺をウロウロ
1870年代 ジャポニスムの流行
1904年 日露戦争
1914年 第一次世界大戦
↑
これを見ると「白痴」は極東の覇権を~!って年代に書かれているものだから
ロシア国内でも日本について話題に出ている時期でしょうか
因みに1913年以降発行の「失われた時を求めて」(プルースト(仏))には
既に日本の描写がちょくちょく~出てきました
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