数学教師の書斎

自分が一番落ち着く時間、それは書斎の椅子に座って、机に向かう一時です。

久しぶりの卓球の試合 (1)

2025-02-06 05:09:38 | 日記
 土日に東京へ行きました.4,5日ほど腰痛に悩まされていて,少し卓球の練習のしすぎか?その後,車に座っていて,急に痛くなり出して,いわゆる坐骨神経痛です.行きつけの整体に行くも,どうも金の無駄になりそうで,1回で辞めて,ネットで,坐骨神経痛に効くストレッチの動画をいくつか見ながら,試してみる中で,よく効くのを見つけ,それを毎日繰り返す中で,かなり改善されてきています.
 さて,今回の上京の一つの目的は,45年ぶりに大学時代の卓球同好会の当時の友人と試合をすることです.当時は,暇があるとよく試合をしていて,気がついたら200試合近くやった記憶があり,私の負け越しだったと思います.今回は,昨年暮れに45年ぶりに,大学の卓球同好会の同窓会が京都で開催され,その中で今でも卓球をしているのは,私とその友人だけでした.それで,機会を設けて近いうちに試合をしようと意気投合して,今回の運びになりました. 
 卒業後は,私は紆余曲折あって結局,郷里で高校の教員になりましたが,彼は裁判官として東京地裁を皮切りに,朝のテレビドラマ「虎と翼」で有名になった裁判官が最後に務めた家裁の所長を同じように勤め,そこから最後は高裁の長官まで上り詰め,今は潔くリタイヤしています.
 若いとき,私の結婚式の司会をしてくれた,懐かしい友人でもあります.お互い忙しく,その後は,中々会う機会もなく,気がつけば40年以上も会っていないことになっていました.
 土曜日に東京へ行く前に,金曜日の夜はいつもの様に2時間ほど練習をして試合に臨みましたが,まだ腰の痛みがあり,少し不安もあるものの,ストレッチで痛みが和らぐのもわかって,いざ東京へ.
 土曜の朝,三重の松阪を出発して,快速みえ,

と新幹線のぞみを乗り継いで,3時間ほどの列車の中で,何を読もうかと持っていく本を考えて,読み切れる本をなかなか選定できず,困った挙句,いつでも取り出してどこからでも読めそうということで,
を選びました.
ブックカバーをして,いざ出発.
 適当に開きながら,グレブナ基底の基本的な確認とその簡単な応用例として,ラグランジュの未定係数法の例と,パラメータ表示された式から,パラメータ消去の例を読んでいきます.
 パソコンもなく,したがって,mathematicaのような数式処理ソフトも使えない中で,手計算でグレブナ基底を計算してみました.
 高校生に,最大最小問題でのラグランジュの未定計算法を紹介することでは,接線ベクトルや法線ベクトル,偏微分等を話しながら,少し大学で習う数学も紹介することにより,視野を広める狙いです.例として,楕円の方程式g(x, y)=x^2/a^2 +y^2/b^2=1の下で,f(x, y)=x+yの最大値を考えます.高校ではx=a cos t , y=b sin tと置いて三角関数の合成を用いて,三角関数の合成からfの最大値は求められますが,ラグランジュの未定係数法では
▽f(x, y)=λ▽g(x, y) , g(x, y)=1 ・・・①
の連立方程式を解くことで,極値を与える座標とλが求まります.ここで,▽f(x, y ) = (f_x, f_y)・・・(*)を表します.この連立方程式を解くことで,極値を与える座標が求まり,最大値も求まります.生徒には(*)の意味などを説明して,①の正当性を説明しながら,三角関数の合成による結果と比べます.特に,容易にx=a cos t , y=b sin t のように媒介変数表示ができない例も示して,その有効性を示します.
 さて,この連立方程式を解く際に,lex順序 λ>x>yで,
▽f(x, y)ーλ▽g(x, y) , g(x, y)ー1
のグレブナ基底を計算することで,極値を与える座標が求まります.この例の場合では,結果もわかりやすいので,列車の中で手計算で,グレブナ基底を計算していきました.
 パラメータ消去の例では,円のパラメータtによる表示として,
x=(1+t^2)/(1-t^2), y=(2t)/(1-t^2) ・・・②
を考えました.高校では,この場合は,上記の式をtとt^2の連立方程式と見なし,tとt^2について解き,t=f(x, y), t^2=g(x, y)を求め,
 {f(x, y)}^2=g(x, y)
とすれば,パラメータtは消去されます.高校の授業では,この後,②がどのようにして導かれるか,すなわち,単位円と (-1, 0) を通る傾き t  の直線との交点の座標 (x, y) が②のように表示されることを,図を書いて計算を示しながらの説明を行います.
 今回は,②の分母を払い,f_1 (t, x, y) = 0, f_2 (t, x, y) =0として,f_1 (t, x, y) と f_2 (t, x, y) のグレブナ基底をlex順序 t > x > y で求めるとパラメータ t を消去した式が得られます.これも結果はわかっているので,手計算で行いながらアルゴリズムの確認を行いました.
 上記の2つの例のでは,連立方程式を解く際にlex順序でグレブナ基底を計算することが有効であることを示していますが,グレブナ基底をこのように手計算で実行するのもアルゴリズムの確認などにも有効です.そういえば,昔,途中で計算間違いをしなくても手計算で1時間以上要する具体例を計算したを思い出しました.
 新幹線の車内には手元に小さなテーブルが下せるものの,ノートは使えない広さなので,
メモを使います.右は,計算するのに横長で便利です.左は通常のメモ書きですが.ちなみにパーカーのボールペン,ジョッターの長さがカバーにぴったりの長さです.計算はシャープペンシルでいつもの
ぺんてるのTAFFの9mmです.もう10年以上使っています.折れない,消しゴムが使いやすくよく消える,安い,使いやすいので,まとめ買いしてあります.
 今はパソコンなどで文字を入力することが殆どで,車内で計算している人などは皆無でした.そんな訳で,名古屋までの列車内では本を読み,名古屋から東京までの新幹線では計算しながら時間を過ごすことができました.やっと,東京につきました.(続く)