128の1『岡山の今昔』和気町(和気郡)
瀬戸内海に沿って備前を西に行くと、そこは和気(わけ、現在の和気郡和気町)、赤磐市(あかいわし)がある。山陽本線の上郡から西へは、兵庫県との県境を越えて岡山県の吉永、和気とたどっていく。
現在の和気町は、2006年の合併によりできた。岡山県の南東部に位置し、面積は約144平方キロメートルと、広くない。地形は、中心部に小盆地があるものの、山や川、田畑が広がる。
人口は1万450人を数える。JR岡山駅より電車で約30分のところにあり、自然あふれることでの魅力がたっぷりだとつたわる。
当地においても、悩みは人口減少なのだが、思いきった取り組みが進められている。
同町がまとめた、住民基本台帳に基づく2017年人口動体態によると、この1年間で47人が増えたという。内訳は、転入が459人に比べ、転出が410人ということで、中でも、結婚や転勤によるのを除いた定住目的の移住者が106人てあった。
この町の重要視するのは教育とのことで、かの閑谷学校からの伝統なのか、とにかく素晴らしい。目玉は、2016年度に小中学生に無料公営塾を開いたり、2017年度には中学校に英語特区を導入している。
(続く)
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211の21『岡山の今昔(19~20世紀、児島虎次郎)
児島虎次郎(こじまとらじろう、1881~1929)は、現在の高梁市成羽の出身、日本における印象派の代表的な画家の一人だ。
1902年(明治35年)には、上京して、東京美術学校西洋科に入る。1904年(明治37年)に東京美術学校西洋科を卒業する。成績優秀で、飛び級したという。1906年の作品に、「登校」というのがあって、母と娘が連れだって、平ら地の林間をゆったりあるいている。研究科に進み、1907年(明治37年)には、東京府主催の勧業博覧会美術展にて一等を受賞する。
1908~1912年には、ヨーロッパに留学する。大原家の援助があった。それからは、色彩豊かにして温かい雰囲気を醸し出す作品が多い。風景画では、「ベゴニヤの畠」や「酒津の秋」などが有名だ。花や木に包まれた人がたのしげにいたりしていて、こちらは観ていて心地よい。日本の風景というよりも、どことなく、パリ郊外の野や原っぱのような気がしないでもない。
人物画は、こちらをちゃんと見ているものが多いようだ。女性の落ち着いた、静かな表情に、こちらもゆったりした気分に浸れる。また、自画像らしきものもあり、こちらは控え目ながらも、少し気難しい性質が表れているようなのだが。
児島には、20世紀に入って父・孝四郎の紡績事業ほかを継いだ大原孫三郎という友達がいた。大原は、紡績業を営むだけでは満足できなかったらしい。大原は、野趣というよりは、西洋の洗練された文化・文物をたしなむ素質を宿していたのだろうか。友人の画家である児島に、西洋風の美術館をつくる夢を託す。児島はその期待に応え、西洋美術を中心とし、同時に集めた中国や朝鮮、エジプト美術なども加え収集に精を出す。
実にたくさんの西洋絵画などを現地で探し、大原に送り、それらが基礎となり、今日の大原美術館の所蔵ができていく。この二人の友情なくして、倉敷文化の一大快挙は望めなかった。彼こそは、文化・芸術の地方都市・倉敷の草創期を現出した恩人の一人だといえよう。
(続く)
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129の2『岡山の今昔』久米南町(久米郡)
久米南町は、北から東を三咲町、南を赤磐市と岡山市、西を吉備中央町に囲まれる。
悩みは、県内1位の高齢化率41.9%(2015年10月時点、岡山県「岡山県の高齢者(65歳以上)の市町村別状況」より)だという。
この場合、パソナ岡山の収益は、「ガールズファームの野菜の売り上げと、籾(もみ)庵の収益のみ。町から委託金が出たのは初年度だけで、給料も支払わなくてはならない。しかも、3年間の契約期間が終われば、彼女たちは巣立っていく」(取材・小田礼子「企業の就農支援で誕生した農業女子」、「でぽらDePOLA」51号)のだという。
人が命をつないでいくのには、それなりの環境が保たれておらねばならない、そのことを今さらながら、気づかせてくれる。
二つ目には、ハスの花にちなんだニュースから、地元紙にこうある。
「岡山県久米南町宮地の「宮地やすらぎの里」でハスが見頃を迎えた。濃い緑の葉の間から、ピンクや白色の花がふっくらと顔をのぞかせ、訪れた人の目を楽しませている。14日は「はすの花まつり」が開かれる。
地元住民が1997年、休耕田に水を引いてハス園(約60アール)を整備した。現在は、赤系の八重咲き種「誠蓮(まことばす)」や白い花弁の先がほんのりと紅色がかった「酔妃蓮(すいひれん)」、一重咲きの古代種「大賀ハス」などが咲き競う。
早朝から午前10時頃までが見頃。葉にたまった朝露や雨粒がこぼれ落ちる様子がしっとりとした風情を醸している。7月いっぱいは楽しめるという。(中略)
まつりは午前10時スタート。川柳傘踊りや久米南中学吹奏楽部、蓮花太鼓などのステージがある。ハスの実が入ったおこわなどが販売され、ハスの葉を煎じたお茶も振る舞われる。
国道53号沿いの「道の駅くめなん」(久米南町下二ケ)周辺に道案内ののぼりを立てている。」(2019年7月13日 、山陽新聞テジタル)
それにしても、三種類のハス競演とは珍しい。それから、「ハスの実が入ったおこわ」とはどんなであろうか。さらに、「ハスの葉を煎じたお茶」とは、さぞかし苦いのではなかろうか。
(続く)
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