別に聴き耳を立てていた訳じゃないですよ、
今日これから書くことは、ほんとのことなのです。
その証拠に、カフェの席に座ると、今読みかけの本を読みだしたのだった。
船戸与一の本をね。
どうしても、隣の老婦人の話が気になる、聞くとは意識せずとも、聞こえてくるのだから
目をそちらに移さずに、聞こえてきたお話とは、
お子さんが人材派遣業の企業の世話で、ある会社で働いているのだそうな。すかさず、
内心、ぼくは4割とか5割以上ピンハネするとかいう噂のあの人材派遣業で、ですかねえなどと思ったりするが、もちろんひとり勝手に思いながら本を読む。
それで凄い、と思ったのは以下のことでした。
なんでも、音楽方面の仕事のようで、ここまで詳しく書いていいんかなあ、
とにかく、ある仕事をして採用されたらしかったのですね、お子さんの作品が・・・
それで、老婦人は、印税何千万も入ってくるかしらとお連れ合いの老婦人に言っているのである、聞くともなく聞こえてくるからしょうがないのだ。
ははあ、創作に対する印税というものの誤解があるなあとぼくは本を読みながらちょっと思った。
ぼくの知り合いの友達が懇意にしているミュージシャンは、某音楽著作権管理団体に・・・
いやあボカシテ書きますと、その著作権管理団体はどうも不思議な印税の配分をしているらしい。つまり、どんぶり勘定というのか、いやはっきり言えば、音楽の使用に比例していないのだと聞いたりするのだが。
ぼくもある時期、写真の著作権で食べていた時期がありまして、その世界では正確に使われた分だけ写真の使用料金が入ってくるシステムでした。
音楽の世界とはその規模といい売り上げる額の大きさが天地ほど違う世界ですので全然比較することはできませんが。
哀しいかな、どこの世界でも、名前の通った人と、それほど名前の通っていない人へのフィーは違いがあるのがさほど珍しいことでもなさそうなのですよ。
本に関しての印税だって、いろいろあるのかもしれない。
その点、写真の使用料金は、いろいろだろうが、同じエージェントに扱われる写真ならば、
ぼくの体験する限りでいえば、使用条件によって同一価格なのだと思う。
ごく普通の主婦の場合、印税というとすぐ、何千万という話になっているような感じをして
ぼくは読みかけの本を置いて、うぅむとひとりうなったのでありました。
でも、今はフォトエージェンシーも各社、相当売り上げが落ちているのだとも聞きますと
ますます、うぅむとうなりたくなるのであった。
フォト・文 石郷岡まさを