新春、ラジオをなんとなく聞いていた。特番なんだろう、眠りから目覚めつつラジオに聞き入った。面白い。さてはNHKもいよいよやる気を出したのかなと思った。なんと昔の番組を再放送しているのだった、井上ひさしの「ブンとフン」
1969年に、NHKで放送用に作られ、その後あふれる才能のまま、作家になられて・・・つまり、その放送を再放送したのだったか。寝ぼけ眼で聞きながらなんというよくできたラジオドラマかと思いましたねえ。いやあ、ものすごい作品だとすぐ分かりましたよ。なんというのかなあ、面白さと、シャープさと、上質な諧謔精神と・・・2021年のぼくはびっくりした。知らなんだア、これが井上ひさし氏のNHK時代の仕事であったのかあ。そして思いました、50年後、ここまで我々は後退したのだと。半世紀前、こんな作品を、わが国唯一の大放送局は作って流せるほどの度量と才能に恵まれていたのかァと。
その後、プロの作家になられた井上氏の大活躍は記憶に新しいことですよね。
こうも考えましたね、50年間、ここまでわれら日本人は退廃したのかあと。つまりみんな『莫迦』になったのかあと・・・ちょっぴり、この放送局は生まれ変わるおつもりらしいと。
でもそれは幻想だったようです。
だってそれ以降、そんなぼくの期待も空振りに終わりつつあるように思うのですから。
赤と白の歌番組を見ない聴かないという生活になって、20年以上たちます。
いえ娯楽番組はいいのですよ、問題は、報道番組と普段のニュースのあり方で、ぼくなどがっかりしてもうラジオですら聞きたくないという塩梅です。
きっと高給で有名な職員の中にも、これではいけないと思う人々はいらっしゃると思うのですがねえ。
此れなら某週刊誌が書くように、受信料300円でよい、という世界に突入かなあ?
いえ、一つ褒めるとしたら、1月9日に放送した、ピーター・バラカン氏の音楽番組、正月早々の番組、偶然聴いたけれど、よかったですよ。特に最初の、島唄が良かった。思わず、CDが出ていたら買いたいと思ったほどよかったです。
フォト・文 石郷岡まさお