移りゆくバスからの眺めを眺めながら、ぼくは 竜宮城からふるさと、わが町に戻ってきたであろう urasima
おじいさんのことを思っていた。いつも同じバスに乗って街に出かけることはあっても、この十余年間、すっかり貧乏に打ちひしがれたものには、車を手放したものであるから 本当に久しぶりにわが町を縦横にクルージングして眺める風景は実に興味深いものであった。あ、ここは知ってるぞ、ううむ、こんな新しい店ができたのか、あ、ここの自転車屋さん、初めてみるが 看板から見るにセンスも良さそうだ 今度、我がバイク持ってきて見てもらおうなどなど。
スピード、この十余年間の貧乏生活の流れが百万分の一にでも凝縮して流れゆくように、車窓から脳に飛び込む風景に、ただただ見とれて、久し振りにデジャビューの光景を見る充足感があった。そこには、この街の消長、廃れゆく街風景と元気がびんびん溢れる街風景とが感じられて興味の尽きない1時間近くのバスの旅であった。
やはり、たまには違った路線に乗って見るものだな。ぼくもやり直せるし、街もきっと大丈夫だ、そんな思いを抱くことが出来そうだった。
やがて、ついたホテルは、車に乗っていた頃は、よくきていたところだった。世界にはこの程度のホテルは普通に良くあることだろうが、ドアマンのサービスやコンシェルジュのサービスにはちょっぴり緊張した。
が、実はぼくがこの十余年、失われた貧乏というドン底時間を後悔するような出来事が 待っていたのだった。
続く
エッセイ 石郷岡 まさを
おじいさんのことを思っていた。いつも同じバスに乗って街に出かけることはあっても、この十余年間、すっかり貧乏に打ちひしがれたものには、車を手放したものであるから 本当に久しぶりにわが町を縦横にクルージングして眺める風景は実に興味深いものであった。あ、ここは知ってるぞ、ううむ、こんな新しい店ができたのか、あ、ここの自転車屋さん、初めてみるが 看板から見るにセンスも良さそうだ 今度、我がバイク持ってきて見てもらおうなどなど。
スピード、この十余年間の貧乏生活の流れが百万分の一にでも凝縮して流れゆくように、車窓から脳に飛び込む風景に、ただただ見とれて、久し振りにデジャビューの光景を見る充足感があった。そこには、この街の消長、廃れゆく街風景と元気がびんびん溢れる街風景とが感じられて興味の尽きない1時間近くのバスの旅であった。
やはり、たまには違った路線に乗って見るものだな。ぼくもやり直せるし、街もきっと大丈夫だ、そんな思いを抱くことが出来そうだった。
やがて、ついたホテルは、車に乗っていた頃は、よくきていたところだった。世界にはこの程度のホテルは普通に良くあることだろうが、ドアマンのサービスやコンシェルジュのサービスにはちょっぴり緊張した。
が、実はぼくがこの十余年、失われた貧乏というドン底時間を後悔するような出来事が 待っていたのだった。
続く
エッセイ 石郷岡 まさを
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