日本人に生まれて

前期高齢者の仲間入りをしました。昭和、平成、令和を振り返りながら、日常の出来事を綴ります。

演劇鑑賞

2017-11-17 09:38:08 | 日記
 毎年楽しみにしている劇団の講演が行われています。16日午後2時から始まる時間帯を予約、15分前到着、指定席へ時間どおり幕があきました。



 今回の劇のテーマは、幸田露伴と文の親子の絆でした。
 まず、露伴の名前の由来に興味ひかれました。所持金を神社にあるお賽銭箱に投入、一文なしになり、草枕で一晩過ごし朝目覚めると草の葉に露がぽたりと落ちたそのとき文学に開眼したエピソードです。露を名前の一字に入れ、初心を忘れないようにしたのでしょう。神様も意気に感じてインスピレーションを与えたことと思われます。

 次に、露伴が文に対してとる態度です。文がかわいそう、憎たらしいくそじじい、思わず感情移入してしまいました。明治時代の父親は頑固で、優しい気持ちがあるにもかかわらず、それを表現できないのかする気がないのか、あれでは一緒に暮らしていてもつまらないのではないだろうかと劇を見ていて、しだいに気持ちが沈んでいきました。
 あの頃の父親たちは多かれ少なかれ露伴と同じだったのでしょう。女、子供は共に暮らしていて、楽しくなかったのではないでしょうか?一昔前言われていました。怖いもののたとえで
  地震 雷 火事 おやじ
 平成時代にはおやじの三文字は消えてなくなりました。いいことかどうかわかりませんが、私はふにゃふにゃパパです。それはそれで誇らしいことだと露伴を見て、改めて確信しました。人生明るく、楽しくお互い手と手をとりあって助けあいながら暮らすのが人間のしあわせではないでしょうか?

 最後に戦争の悲惨さです。言論の自由を失い、軍部の方針にそぐわなければ逮捕され拷問にあい思想の転換を迫られる。獄中で亡くなる人もたくさんいたことでしょう?露伴の弟子、三木清もそのうちの一人で、この人は哲学者で西田幾多郎のあとを継ぐ人材でした。すぐれた人たちの将来を奪う戦争はしてはならないのです。
 B29爆撃機による破壊行為、防空壕、疎開、もんぺ、空襲警報、劇中舞台が真っ赤にそまり爆弾を落とす効果音がなり響きました。思わず驚きそして鳥肌がたちました。お笑いになるかも知れませんが、それだけ舞台に引き込まれていた証拠でした。実体験された方々はもっと大変な苦労されたことでしょう。逃げようと文は露伴を説得しますがくそおやじは、言うことを聞きません。素直が一番、老いては子に従え、諺がありますが
頑固一徹、聞く耳を持たない姿にあきれたり、いらだったりした自分の心の動きにさせるだけすばらしい演技でした。

 限られた時間の中でたくさん印象に残る場面がありました。脚本と演技の素晴らしさを満喫した至福の時間でした。
 次回の作品が楽しみです。

 

 
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