バイオリニストの和波孝禧氏が音楽監督として毎年主催するサマー・コースの冒頭を飾る講師等による土曜午後のマチネー・コンサートである。場所は長坂駅前にあるコミュニティステーションに併設されている中規模のホールである。まずはサマーコンサートらしい幕開けでモーツアルトの喜遊曲ニ長調K.136。1stバイオリン和波孝禧、2ndバイオリン山本大心、ビオラ田島高宏、チェロ荒庸子による演奏。2曲目は土屋美寧子の独奏でショパンの夜想曲作品9-2。作曲者が加えた装飾を生かした版で弾かれたのが興味深かった。そして田島のバイオリン独奏でチャイコフスキーの瞑想曲作品42-1。朗々とした美音が心に沁みた。続いて荒のチェロ独奏でフォーレのエレジー作品24。前半の最後は和波のバイオリン独奏でクライスラー編曲による「ロンドンデリの歌」と同じくクライスラー作曲の「シンコペーション」。和波は若々しく見えるがすでに喜寿を迎えたというから驚きだ。そのせいか音に芯というか、圧がなくなり気味のように思えるのだが、その分メロディの歌い回しに独特の滋味が感じられて心打つ演奏だった。休憩後は全員が登場してブラームスのピアノ五重奏曲へ短調作品34。ここでサマーコンサートらしからぬ大曲が据えられて、演奏者達の唯ならぬ意気込みが感じられた。和波の力感は不足しているとは言え、このコースの受講生でもあった山本がそこを巧みにカヴァーし、全体に纏まったアンサンブルで楽章を追って白熱する熱演であった。とりわけ土屋のピアノの牽引力が大きな支えとなっていたと思う。最後はハンガリー舞曲第5番のアンコールがあって和やかに終演となった。
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