桂冠指揮者のダン・エッティンガーが久方ぶりに東フィルに戻ってきて振った「午後のコンサート」だ。最初のワーグナーの歌劇「ニュルンベルグの名歌手」の第一幕の前奏曲から筋肉質の引き締まった音で、「エッティンガー節」が炸裂した。重厚さより金管の華やかさが目立った音色だったが、要所では踏ん張ったような独特なリズムを求め、やはりドイツ感は満載だった。続いてシックな黒いドレスを纏い髪に真っ赤なバラをあしらったバイオリンの服部百音が登場して、ワックスマンの「カルメン・ファンタジー」。超絶技巧が見事に決まり、エッティンガーのバックもそれにピタリと寄り添った。盛大な拍手にアンコールはオケ伴でパガニーニの「常動曲」を鮮やかに、そしてニュアンス豊かに弾き切った。休憩を挟んでフィナーレはリムスキー=コルサコフの交響組曲「シエーラザード」。エッティンガーは東フィルを煽って、オケの機能を十全に発機させ、壮大な絵巻物を描いた。そんな中、コンマス三浦章宏の繊細でしなやかなソロが光った。アンコールはロッシーニの歌劇「ウイリアム・テル」より”スイス軍の行進”。強弱のダイナミクスを大きくつけた迫力満点な演奏に会場は大きく沸いた。
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