アバドの薫陶を得たマーラー・チェンバー・オーケストラの初代コンマスを務め、昨今指揮者としても注目されれいるアントネッロ・マナコルダを指揮に迎えた演奏会である。一曲目のシューマンの「序曲、スケルツオとフィナーレ」では紀尾井のオケから重厚で円やかな響きを引き出し、しかしそれなのに決してもたれない切れ味があるのが特徴で、期待は大きく膨らんだ。続いてはこのアンサンブルのメンバーとしても活躍する池松宏の独奏で、トウビンのコントラバス協奏曲。あたかもチェロのように椅子に座って抱弾く池松の弾きぶりは極めて鮮やかで雄弁だ。楽器の大きさを忘れるような、不自由さを全く感じさせない弓捌きにはまったく感嘆した。アンコールはハープの早川りさこを交えて、マイヤーズの「カヴェティーナ」。ダイナミックレンジを広くとった奥深い響きの名演だった。このアンサンブル、日毎こんなバスが全体を支えているのだから悪いはずはない。休憩を挟んでは、ポツダムのオケとCDも録音しているメンデルスゾーンの交響曲第3番イ短調「スコットランド」だったが、こちらは私にはいただけなかった。たいそう溌剌とした演奏なのだが、そこから来る直線的な刺激は私には余りにも整理が行き届いていなくて騒々しかった。頻出するティンパニーの強打などまるで戦場のバズーカ砲のようで、ついぞメンデルスゾーンの奥深い浪漫を感じることが出来ず、拍手も早々に切り上げてそそくさと会場を後にした。
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