メイサと7人の外国人たち

アラサー元お水とキャラの濃い外国人達の冒険記

君を口説きたい。

2018-05-23 18:04:36 | 
『じゃあ次は仁さんの番ね』




送信ボタンを押し、私はベッドの上でウーン、と伸びをした。
寝っ転がってるとは言え、ずっと携帯とにらめっこしていると体が固まってしまいそうだ。
話し始めた時に作っていた夕飯はとっくに食べ終わり、気がつけばもう23時を過ぎていた。
彼とのチャットは深夜まで及ぶことが多い、と言うか、そもそも始めるのが遅かった。
すぐに、トーク画面に彼からの返信が浮かんだ。





『僕の番?』


『そう。次は仁さんの話を教えて』


『そうか。じゃあ









僕がメイサさんをナンパしてみる』








はい?






『(笑)』


『行くよ』





えっ何?
何するの???
よくわからんがとりあえず……







『どうぞ』






と、予想外の仁さんの返答にハテナマークを浮かばせながら送った。
すぐに入力中サインが点き、そしてまたすぐ、彼からのメッセージが届いた。







『よかったら、僕とお茶しませんか?』







(´⊙ω⊙`)








私の返事は







『オッケー!』







軽っ!!






すぐに仁さんから『やった』と返信が来た。
この時2人は、距離にして1200km離れたところに住んでいた。
当然彼は今まさに私とお茶しようとしているわけではなく、急いで戦闘服(ボディコン)に着替える必要もなかったのだが、よく分からないオンラインナンパを快諾した形になった。








仁さん何言ってんだろう(笑)
でもまぁ、ナンパごっこ?したくなるくらいには私のこと魅力的だと思ってるってことなんだろうな。






そんな見解のままその日は終わり、その数日後に、私達は初めて電話していたのだ。(やっとそこに戻る)







「メイサさんは料理得意そうだね」


「んー、まぁそうね。趣味だし」


「あっそうだ。僕も自炊しなきゃいけないから、どんなものをとったらいいか教えてほしい」







いいわよ!と私は鼻息荒く答えた。








「ズバリね…」


「うん」







ジャジャーン!







「色の濃い野菜よ!」







(´⊙ω⊙`) (・∀・)イロノコイヤサイヨ!!









短い沈黙の後、仁さんが言った。








「色の濃い……野菜。」








プーッ!!と、どちらともなく吹き出した。
いや、私の方が激しかったかもしれない(笑)








「えっ何何?なんでそんなにびっくりしているの?(笑)」


「いや、僕は、もっと具体的な食べ物の名前、教えてもらえると思ってたのに(笑)ハハハ(笑)」


「ハハハハ!(笑)今おかしかったよねー(笑)」


「うん(笑)ハハハ(笑)じゃあさ、じゃあさ、」


「なに?」








仁さんは笑いを堪えながら言った。








「キュウリは?」








私は答えた。








「色の濃い野菜だよ」









私達はまた吹き出し、声を上げて笑った。
何でもないこのフレーズが、もうとにかく面白くて、間違いなくこの日1番のヒットになった。
笑い声で息絶え絶えの中、私は涙を拭いながら言った。








「あー……面白いねぇ」


「そうだね(笑)メイサさんと話すと本当に楽しいよ」


「そう言ってもらえると嬉しいわ(笑)」


「また明日、時間がある?」


「え?……あるよ」


「よかったら、また明日話せたら嬉しい」








気がつけば私達は、4時間も電話していた。
初めてのチャットもとても長かったけれど、電話とチャットではレスポンスにかかる時間も違うので、電話で4時間も話し続けられたなんて、ずいぶん楽しかったんだなぁと自覚させられた。






私は思わず笑顔になって、ウン、勿論、と答えた。
嬉しそうに笑う仁さんの声が聞こえた。









「じゃぁおやすみ。また明日連絡するね」


「うん、おやすみなさい」








電話を切った後、私は胸が暖かい気持ちでいっぱいなことに気がついた。
すごく楽しかったな。仁さんと話していると、時間が経つのがあっという間。
こんなに沢山話せるなんて、ちょっとすごいことなんじゃないかな?
もしかして、いや、もしかしなくても私は………









仁さんのこと、好きになるかも。









続きます。

年下の男の子

2018-05-21 19:25:23 | 
それは私が1人でバーにいた時の事だった。
一杯引っ掛けながら本を読んでいた私のもとに一人の男が現れた。







「読書中邪魔してごめんね。隣に座ってもいいかな?」







本から目を上げると、そこには青い目のオサレな男が立っていた。
すぐ後ろから、もう一人友達らしき男が来ているのが目に入った。
私はちょっと照れ臭そうに返事した。







「どうぞ。読書中っていうか英語の勉強中なの。よかったら手伝ってね」







彼は少しビックリしたような顔をした。
ま、そーだよね。
何もバーで勉強する事ないし、英語が喋れないってのも意外だっただろうし。ハハハハ!(乾いた笑い)



一応軽く名前だけ紹介しあったものの、彼は連れと話していたので、私たちはほとんど会話しなかった。
しばらくして連れがいなくなったかと思ったら、彼がまた話しかけて来た。







「君は何人なの?」


「日本人よ。あなたは?」






彼は完全な白人で、白い肌に青い目、ブロンド。
長い睫毛や高い鼻などなど、とても私からはかけ離れた容姿をしていた。
彼は微笑んで答えた。






「僕はこの国の人間だよ。でも、両親は違う国の出身なんだ」


「じゃああなた、英語もご両親の国の言葉も話せるのね」


「まぁね」


「羨ましいわ」


「そう?君は休みの時は何をしているの?」


「んー、今のところはこの街を散策したりしてるけど…あなたは?っていうか、あなた仕事は何してるの?」


「僕は今は大学生だよ」







だっ?!




ちょちょちょちょちょちょっと待って




じゃ、じゃぁあなた………







「ふふふ」





不意に彼が笑ったので、私は不安になった。
えっもしかして私、何か変な英語喋った??
正直この子とこんな騒がしいところで話すのも結構大変なのよ。
全然ゆっくり喋ってくれないし。
私は彼の腕に手を置き、すがるような姿勢で尋ねた。






「どうして笑ってるの?私、何か変なこと言った?それとも英語が変?」






すると彼は首を振り、私を見つめて笑顔を見せた。







「僕はただ、君の瞳を見ているだけだよ」







(΄◉◞౪◟◉`)






さらに!!
彼は私の背に手を回し、尋ねた。







「君、何歳なの?」







え゛っ





「わ、わたし、あなたよりずっと年上だと思うわよ」

「何歳?教えてよ」

「あなたは?あなたは何歳なの?」

「僕?」






彼は微笑んで答えた。






「21歳だよ」






ʕ ʘ □ ʘ ʔ






にっにじゅっっっっっ★☆?◾️!?!?






「21!?やだ!私、あなたより本当にずっと年上よ!」


「いくつなの」


「私31歳よ。あなたより10個も上だわ」







彼は怪訝な顔をして答えた。






「年齢はただの数字だよ。関係ないさ」





いやアンタ聞いたじゃん







ナンパされるっていうのは私の人生において、さして珍しい出来事ではなかったけれど、
大抵は年上か同い年くらいの人にされていた。
少なくとも、10個も年下の男のからナンパされるなんて、私が日本にいたらぜっっったいあり得ない!!!と思う。




そんな今世紀最大の出来事(それは言い過ぎ)を黙っていられるわけがなく、
私はバカ丸出しで会う人会う人にこの話をしていた。
日本人は皆そらすごいやと良いリアクションを返してくれたが、
外国人達は「この国ではそんなに珍しくないよーっていうか年上の女って日本ほど嫌がられないよ」という反応だった。
それは仁も同様だった。






『メイサさんは、20歳くらいに見えるから、年下の男たちもナンパしてみてるんだと思う』






右手でジュゥジュゥ音を立てるフライパンを振るいながら、逆の手の中でそう映し出された文章を見つめた。






ふーん?
仁さんもそう思うんだ。
ていうかそれって、仁さんもその一人だって事?







『ははは、そうかな。』


『メイサさんはモテそうだね』


『そんなことないよ(笑)』


『そういえばメイサさんは、僕の国の人とは話したことがある?』


『あるよ。日本にいた時の話だけど』


『本当?!』






それはもう、ちょうど10年遡った頃になるけれど。
当時私は女子大生で、友達と二人、近くの大学の学祭に遊びに行った。
当時私の友達は国際交流学科という学科に属していて、私なんかよりずっとインターナショナルな事をしていた。
けれど元々の性格が大人しいことや、日本で外国人と知り合うのは難しかったりして、外国人の友達というのは残念ながら一人もいなかった。
やや盛り上がりに欠けた学祭はいろんな意味で収穫ゼロと言って良い感じだったが、
そろそろ帰ろうかぁ…というところで私達は、街路樹の脇で一人佇むハンサムな白人を見つけたのだ。




おぉっ。
ブロンドにパステルカラーのストライプシャツがめっちゃ似合ってるじゃん。
しかも背も高いし、さっすが白人さん!







「ねぇね!あの外人さんカッコよくない?」


「え?あっ本当だ。うんカッコいいね」


「みずき、外国人の友達欲しいって言ってたじゃん!声かけに行こうよ!!」


「えぇっ?!」


「ね!話してみようよ」


「(笑)メイサがやってくれるならいいよ」


「オッケー任して。頼も〜!」







彼は、突然話しかけに来た私達にさして驚いた表情も見せず、でもちょっとヘラヘラと対応してくれた。
当然、この時私が話したのは日本語オンリーで、今思えば、さして英語も話せないのによく話しかけたなぁと自分の行動力に感心する。
だけど、彼は予想以上に日本語が堪能で、この大学で勉強している留学生だということがわかった。
フレンドリーな彼は、私の「この子国際交流学科だから友達になったげて!」というぶしつけなお願いを快諾してくれた。
当然私も含めて3人で連絡先を交換し、数日後、私は彼の提案で2人で飲む事になった。
「メイサは日本語を教えて、俺はメイサに俺の国の言葉を教えるのはどう?」とかなんとか言っていたけど、
後で聞いたら、好みだったから口実にそう言っただけだったとわかった。(笑)
まぁそんなもんだ。






『友達のために、仁さんの国の人をナンパしたのよ(笑)』


『本当?!メイサさんがどうやってナンパしたのか気になる(笑)』


『超普通だよ。この子の友達になって!って言ったの。他に言えることないし(笑)』


『メイサさんは自信がある。それがいいところ』






そ、そうか?
自信も何も、出たとこ勝負な性格なだけなんだけどなぁ。
そもそも、嘘は言ってないし、流石に一目惚れしたとかでもないし。
ま、その彼とは結局付き合ったんだけどさ。





私はふと思いつき、仁さんにこんな文章を送ってみた。







『じゃー、次は仁さんの番ね』


『僕の番?』


『そう。今度は仁さんが教えて』







私ばっかり過去の話したんじゃフェアじゃないもんね〜。
仁さんの話も聞かせてちょうだいな。




駄菓子菓子。




仁さんの反応は予想外だった。





続きます!





本を読むように

2018-05-18 10:56:22 | 
事の始まりは、1人の外国人からの紹介だった。





「メイサはこのアプリ知ってる?言語学習にすごく便利だし面白いよ。無料だし」






と、送られたリンクをもとに調べてみると、確かに彼の言う通り面白そうなアプリだった。






へー、無料ならいいじゃん?
やってみるか。





ポチポチとプロフィールを登録し、自分の母国語と勉強している言語、写真をアップした。
瞬く間に数多の男達からメッセージが届いた。
なるほど、これは言語学習だけじゃなくデート目的な利用者も多いわけね?
ま、いいわ。真面目な人もいるだろうし。





私は届いたメッセージから彼らのプロフィールを確認し、英語が堪能そうな人にだけ返事を送った。
それから、ハンサムな男の子にも。
当然こちらからもメンバー検索はできるので、日本語を話したい女の子を探してたくさんメッセージを送った。
そのうちの何人かとは数通やりとりをしたが、そのうちに返事が来なくなったりこちらも話題が切れてしまったりした。
たえず返事をくれるのは男の子達だった。






ちなみに、男の『子』と書いているが、男性をそう呼ぶのは私の癖でもあるけど、実際彼らは私より年下な事が主だった。
これは私の予想なのだけど、言語を勉強している人というのは、その機会と時間がある人なわけで、多くの学生がそれに当てはまるんじゃないかな。
事実、デート目的じゃなく本当に勉強している子は20代前半の子が多かった。






そんな風にアプリを使い出して3日目くらいだっただろうか。
1人の男の子からメッセージを受信した。




ピロリン





『はじめまして。仁です。よろしくお願いします。』











おぉっっ






日本語だ〜〜〜!!!





そう。このアプリを使い出してからずーっと疑問に思っていたのだが、なぜか日本語で連絡してくる奴が全然いないのだ!
みんな決まって、Hi とかHelloとか一言送ってくる。
ほんでもってどんなに会話が進んでも、日本語を一切送って来ない。
稀にすごく日本語が上手な奴もいたが、それは10に1あるかないかで、あとは日本語を勉強してすらいない奴ばかりだった。




そんな中、初っ端から日本語で、しかもきちんとした文章でメッセージを送ってきた仁は異彩を放っていた。
すぐさま彼のプロフィールを確認すると、プロフィールも全て日本語で書かれており、そのスキルの高さが明らかだった。
おまけに他のメンバーからのレビューも好評だ。






おぉ、すごいじゃん!!超レアキャラだわ!!



しかも






イケメンやん。







いょっしゃ〜〜〜!!!





いやいやいや、正確に言うとそんなに好みではありませんでした。←何様
だけれど、それでも十分にキレイそうなことがうかがえるお顔の写真がアップされていたので、こりゃいいやと気軽にお返事してみたわけです。







『はじめまして、メイサです!よろしくお願いします(^ ^)日本語お上手ですね!』


『そう言ってくれて嬉しいですが、まだまだです…』


『十分上手だと思いますよ。日本語の試験を受けるんですね。頑張ってね!』


『ありがとう!メイサさんは何か趣味はありますか?』






ってな感じで、私達はお互いの簡単な自己紹介やたわいもない事をたくさん話した。
1つ気になることと言えば、彼がどうして私に連絡してきたのかだ。
もちろん私は彼が勉強している日本語のネイティブスピーカーだけど、一方で彼の母国語は英語ではない。
今まで私は英語が母国語の人だけヒットするようにフィルターをかけていたのだが、彼は英語が自分の母国語じゃないにもかかわらず私に連絡してきた。
もちろん彼は英語が得意なんだろうけど、少しは躊躇わなかったのかしら。
し、か、も。
なんと彼は、私より8つも年下だったのだ。







『そういえば、どうして私に連絡したの?』





私の不意な質問に、彼はすぐに整理整頓された文章を送ってきた。
ちなみに英語でね。
それを日本語で即答できるほどのスキルはまだなかった。(まぁまぁな文法でゆっくり返すことは出来るだろうけど)





『メイサさんのプロフィールを見て、メイサさんは真面目にプロフィールを書いているなと思った。あと、住んでいる所が日本じゃないことにも興味を持った。それから、メイサさんの写真を見て、優しそうだなと思ったんだ』







あら。そう。



でも仁さん、嘘ついたな。




や、さ、し、そ、う?









『なるほどね!』


『メイサさんは?どうして僕のメッセージに返信したの?』







ふふ、と笑って、私は軽快にボタンをタップした。







『1. 仁さんのプロフィールを見て日本語が上手そうだなと思った。
2.他のメンバーからの評価からもいい人そうだと思った。
3.で、写真が結構可愛かったから返事したのよ。ははは(笑)』





すぐに仁は、『そんなのこと言ってもらったら、いい気持ちで勉強できそう!(笑)』と嬉しそうに返信してきた。






あっらー、可愛いじゃん♡
そからも私達はいろんな事を話して、その内容は本当になんでもない事ばかりだったけれど
驚くべきはその時間だ。






『見て、もう夜中だよ』






仁が送って来たメッセージを見て、私も驚いた。
なんと、5時間もチャットしていたのだ!
初対面(って会ってないけど)なのに。






『本当だね!楽しかったからあっという間だった』


『そうだね。メイサさん明日仕事?』


『そう。もう寝なくちゃ…』


『おやすみなさい!また明日よかったら話そう』






え、また話すの?
でも嬉しい!






『うん!おやすみなさい』








その日を境に。








ピロリン








『メイサさん、こんばんは』








毎日のように、少なくとも、確実に隔日では、
彼とチャットするようになったのだ。








『そういえば仁さんは、このアプリで電話したことある?』







何度目かのチャットの中で、私は彼にそう聞いてみた。
私達の会話はいつも話題が尽きることがなく、たくさん笑ったり勉強したり、とても楽しかった。
彼は英語が母国語ではないにしても、私よりはるかに流暢だから助けになったし、
私は彼の日本語を丁寧かつ正確に訂正してあげた。
けれど、それ以上に私達は、なんでもない会話それ自体を楽しんでいた。








『まだないね。話す練習もしたいからやる気はあるけど』


『そっか。たくさんレビュー貰ってるから、電話してるのかなと思ったんだ』







そんならやってみようということになり、その日の夜に私たちは初めて電話で話すことになった。







ど、どんな感じだろ〜。
楽しみだけど、電話で話すのとチャットするのとではまた違うかもしれないな。
とりあえずちゃんと話せると良いけど…。
ってゆーか私の英語力大丈夫か(滝汗)






いろんな期待と不安が入り混じったまま、私は時間が来るのを待った。
そして、約束した時間になったその瞬間。







ピロリン







仁から『こんばんわ!』というメッセージを受信した。
まさにその時間ちょうど、0分0秒と言えるタイミングだった。







『ははは(笑)時間ピッタリだね』


『うん。話せる?』


『話せるよ。このアプリでどうやって電話すればいいのかな』←知らないんかい







僕かける、というメッセージを読んだ後、すぐにトーク画面が着信画面に変わった。






おぉ。
出ねば。(そらそうだ)








「もしもし」







すると








「もしもーし」








おぉ!
これが仁さんの声!!!








変!









ソーリーーーー!(笑)








私はふと、仁が歌が苦手だと言っていたのを思い出した。
歌が得意だという人は大抵美声の持ち主だったような……。
ということは仁はやっぱり声が微…モグモグ。。。







と失礼なことを考えてしまうぐらい微妙な声にビビりつつ
なんとか平静を装い(そんなに?)私は会話を続けた。
声に驚いたせいかどんな会話をしたかあまり思い出せないが(そんなに?!←いや本当にびっくりしたんだって)
チャットの時同様、いやそれ以上に、彼がリードして会話を盛り立ててくれたことはよく覚えている。
気になっていた日本語も、日常会話としては全く問題ないと言えるほどに上手だった。








「そっかぁ。仁さんはそんなこと考えてるのねー」





シャク





「そうだね。メイサさんは?」






シャクシャク






「私?んー、そうねぇ」





シャクシャク、シャクシャクシャク






「ねぇちょっと待って。メイサさん何食べてるの?」








バレた。







「え?イチゴ」


「えぇ?イチゴってそんな音するの?」


「うーん、なんかこのイチゴ硬いみたい」







と私は赤い円錐形の果物をつまみ上げながら首を傾げた。








「でも確かに日本のイチゴはこんな音しないかも」


「ポテチか何か食べてるのかと思ったよ」


「違うよ〜(笑)でも、なんでわかったの?」


「いや、音聞こえたから」


「うそ~本当に?恥ずかしいぃぃぃ」


「すごくよく聞こえたよ(笑)」


「本当に?うわー絶対わかんないだろうと思って食べてたのに〜」


「(笑)」








恥ずかしがりながらも笑ってしまう私につられ、仁も楽しそうに笑った。







「仁さんは果物好き?」


「好きだね。何が好きだと思う?」


「んー………わかった」









ポチポチポチ




ピロン





トーク画面にりんごの絵文字が浮かんだ。
すぐさまそれを見たらしき仁が声を上げた。







「あー。好きだね」


「でしょ?」


「どうしてわかったの?」


「わかるのよん。あと、これも迷った」








ピロン







「あー。チェリーも好きだよ」


「だよね」


「メイサさんは俺の事、なんでもわかっちゃうね」


「そうだね。仁さんはわかりやすいからね」


「はは(笑)確かに、よく嘘がつけないって言われる。そういう人のことを僕たちの国の言葉で、こう言う」









ピロン







「………えっと」←読めない


「日本語にすると、本を読むみたいにわかる、って言うんだ」








へーーー。







「面白い表現ね。仁さんは本なのね」


「はは、そうだね」


「私は?」


「メイサさんは…うーん、まだよくわかんないな」


「読みにくい本?」


「ちょっとね。でも色んなこと、すごくたくさん話してくれてると思う」







そうね、と私は微笑んだ。







「メイサさんは、どんな人とでも話せる?話すのが好きな人?聞くのが好きな人?」


「んー、相手によるかなぁ。喋るの好きだけど相手が喋ってたらずっと聴いてる。で、相手があまり喋らない人ならずっと喋ってる(笑)」


「なるほど」


「でも仁さんはたくさん質問してくれるから私も話しやすいし、自分からもたくさん話してくれるから、すごく自然に話せてる」


「それは、僕も思ってた」


「え?」


「メイサさんと話すとき、何も無理しないで話せる。それに、すごく楽しい」








仁さん………









好きになっちゃう。









バカバカ〜!!どんだけ簡単な女やねーーーーん!







思わず胸キュンしてしまったが、表面上はあくまで余裕そうに「よかったぁ、嬉しいわ♩」と答えた。
だってそうじゃない?8個下の男の子だよ?!
8個も年下相手にオタオタしてるとこなんか見せられないよ。






8個下といえば、ちょうどその頃リアルライフでも面白い出来事があった。
それは東京にいた時には絶対起こり得なかった……と言っても過言ではないのかなーと思う出来事。
日本人にとってあまり馴染みがない、そして外国ではそこまで珍しくない出来事…。








続きます!