ようやっと両思いになった翌日は、偶然にもバレンタインデーだった。
私は特に誰にあげるでもなかったのでチョコを買うこともなく、のんびりと1日過ごしていた。
…と、言いたいところだが、
つい昨日両思いになったばかりだったので何やらソワソワと落ち着かなかった。
昨日は仁さんとあんな話ができて嬉しかったな。
いつかきっと会えるんだろうな。
えーうそうそ本当?8個下の子が私に実際会って大丈夫なのかなぁー(汗)
ってゆーか、仁さんて私と付き合う気?っていうか付き合ってる気??あるのかな???
ハッ!ってか彼女いないの!?
私はふと彼の写真を思い出した。
好みじゃないわ、とは言ったものの流石に美形の方だろうと思ったし、
頭もいいし会話も上手でやんわり肉食系。
これで彼女がいないっていうのもなんだかあり得ないようなあり得るような………。
ま、全てはタイミングなんですけどね。
よ、よぉーし。
聞いてやれ!
『仁さん、こんにちは♪』
『メイサさん、こんにちは!』
『今日は何してるの?』
『勉強していたよ。明後日まで試験期間だからね』
『そっかぁ。大変そうだね。お疲れ様』
『ありがとう!』
な、何をどうでもいい話がしてんねーん!!
き、きかんと!!
『えっとー、実は聞きたいことがあるんだけどー、いいかしら?』
『もちろん』
『仁さんは、今、彼女はいるの?』
ピロリン
『NO』
ぃよぉーーーーし!!!
心の中でガッツポーズをしているなど、仁さんは知るよしもないだろう(て言うか知らないでいてお願い)。
『そっか♪そういえば今日はバレンタインだね』←すぐ話変えた
『そうだね。』
『日本人はチョコあげるけど、あなたの国でも何かするの?』
『勿論。恋人同士で食事したりプレゼントあげたりするよ』
『へぇー、同じだね』
『メイサさん、僕の義理チョコは?(笑)』
『仁さん、義理チョコの意味間違ってない?(笑)好きな人にあげるのは本命チョコって言うんだよ』
『僕、もらえるの?』
『仁さんにだけあげるよ』
嬉しい、と可愛い返事が返ってきた。
と、思ったらもう一報続けてメッセージが届いた。
『メイサさんは何が欲しい?』
『え?私も何かもらっていいの?』
『もちろん』
『うーん何がいいかなぁ。何ならくれる?』
『なんでもいいよ』
うーん、と私は考え込んでしまった。
バレンタインと言えばチョコレート以外思いつかないティピカルジャパニーズなのだ。
しかも男子からもらうの?お花とか欲しいけど、そういうのでいいのか?
しばし悩んだ挙句、私は『仁さんのあげたいものでいいよ』と答えた。
仁はすぐに返事をくれた。
『じゃぁ、メイサさんが欲しいものをあげる』
『仁さん、私が欲しいものわかるの?』
『うん』
『どうして?どうやって知ったの?イチゴか人参?(笑)』
『違うよ(笑)』
仁さんはどこか楽しげに返信してきた。
『1.昨日メイサさんは僕のことを好きって言った。
2. 今日僕に彼女がいるか聞いた。
以上の事からメイサさんが僕から欲しいものはある言葉だと推測しています』
(OvO)
『いい読みね』
『間違ってる?』
『ううん、合ってるよ』
『:)』
そそそそれは
あの、その、何か言ってくれるんでしょうか?
その、確定的な言葉というかなんと言うかその……
『何を言ってくれるのかな~、楽しみだな♪』
『今言って欲しい?』
『えー、気になるけど。仁さんは今言いたくないの?』
『大事な事だから、メイサさんにとって、会って聞いたほうがいいんじゃないかと思ってる』
大事なことですと
『そうだね♪じゃぁその時まで待ってる♪』
『うん。楽しみにしてて :)』
ちょちょちょちょっと~!!
それってもうあれ、こここコケーッコッコこくはモゴモゴに決まってるんじゃないのー!?
ていうか、前回のはそれに含まれないのかしらん???
ここで少し触れておきたいのが、仁さんのバックグラウンドだ。
仁さんは生粋の何処かの国の人なのだが、お父さんの所有していた本をきっかけに日本に興味を持った。
そのまま日本について学ぶうちにどんどんと興味が増していき、日本人の友達を作ったり日本の会社でインターンシップをする程になった。
完璧というには程遠いものの流暢と言える日本語力はひとえに彼の独学の成果で、
いまでは定期的に日本を訪れるほどの親日家である。
そんな彼なので、日本文化について学んだり取り入れるのが大好き。
いつかした彼との会話では、『僕の国と日本はとても似ていて、だけど違うところは日本の方がちゃんとしていると思う』
『例えば日本人は告白をするけど僕らはしない。日本人の方がわかりやすくていいと思う』
と、のたもうていたのだ。
私は頬杖をついて彼の言葉を思い出していた。
するってーとアレだな。
やっぱちゃんとした話をしたいっていうのは、そーゆーことなんだな。
その姿勢も、どこか日本人ぽいというか、細やかな感じがするわね。
『ところで』
不意に仁さんが切り出した。
『メイサさんはどんな物をくれるのかな』
『え?チョコレートじゃないの?』
『バレンタインだからチョコレートもいいけど、実際に僕がメイサさんから欲しいものは、それじゃない』
(°_°)
『え、じゃぁ、なーに?』
『メイサさんからしかもらえない物で、甘いものがいいな』
あ ま い も の ?
それってつまり。。。
ポチポチポチ
『なるほど。
じゃ、私はチョコレートで出来た口紅を探した方がいいってことかしら?』
ピロリン
『:)』
さすがだね、と仁さんは続けた。
『メイサさんは僕のこと、本当によくわかってるね』
『私は仁さんの先生だからね』
『メイサ先生はいつも、素晴らしいレッスンをしてくれるね』
『もちろん』
『次はどんなレッスンを受けられるのかな?』
ポチポチポチ
『次のレッスンは、いかにして唇の上のチョコレートを上手に食べるか、よ』
ピロリン
『先生……先生となら、上手くやれる自信があります。
でも僕はスローラーナーなので、たっぷり時間をかける必要があると思います』
矛盾しています
『仁くん、先生のチョコレートを食べ切るつもりですか?』
『勿論です。さもなければ、チョコレートが無駄になりますから』
私は思わず吹き出した。
フザケ切った一連の流れも面白かったが、彼のちょいちょい挟んでくるロジカルな言い訳がまた面白かった。
『大事なこと』の全貌はわからなかったが、だいたいの目星はついた。
ひと月以上になるという日本旅行が終わった後で、まぁいつか会えるのだろうと思った。
その時にその『大事なこと』を教えてもらい、直接会ってビールでも飲みながら
こんなおフザケが出来るのかなと思ったら、とても楽しみだった。
そしてこんな風に、仁さんのアプローチは少しずつ変わっていった。
続きます。
私は特に誰にあげるでもなかったのでチョコを買うこともなく、のんびりと1日過ごしていた。
…と、言いたいところだが、
つい昨日両思いになったばかりだったので何やらソワソワと落ち着かなかった。
昨日は仁さんとあんな話ができて嬉しかったな。
いつかきっと会えるんだろうな。
えーうそうそ本当?8個下の子が私に実際会って大丈夫なのかなぁー(汗)
ってゆーか、仁さんて私と付き合う気?っていうか付き合ってる気??あるのかな???
ハッ!ってか彼女いないの!?
私はふと彼の写真を思い出した。
好みじゃないわ、とは言ったものの流石に美形の方だろうと思ったし、
頭もいいし会話も上手でやんわり肉食系。
これで彼女がいないっていうのもなんだかあり得ないようなあり得るような………。
ま、全てはタイミングなんですけどね。
よ、よぉーし。
聞いてやれ!
『仁さん、こんにちは♪』
『メイサさん、こんにちは!』
『今日は何してるの?』
『勉強していたよ。明後日まで試験期間だからね』
『そっかぁ。大変そうだね。お疲れ様』
『ありがとう!』
な、何をどうでもいい話がしてんねーん!!
き、きかんと!!
『えっとー、実は聞きたいことがあるんだけどー、いいかしら?』
『もちろん』
『仁さんは、今、彼女はいるの?』
ピロリン
『NO』
ぃよぉーーーーし!!!
心の中でガッツポーズをしているなど、仁さんは知るよしもないだろう(て言うか知らないでいてお願い)。
『そっか♪そういえば今日はバレンタインだね』←すぐ話変えた
『そうだね。』
『日本人はチョコあげるけど、あなたの国でも何かするの?』
『勿論。恋人同士で食事したりプレゼントあげたりするよ』
『へぇー、同じだね』
『メイサさん、僕の義理チョコは?(笑)』
『仁さん、義理チョコの意味間違ってない?(笑)好きな人にあげるのは本命チョコって言うんだよ』
『僕、もらえるの?』
『仁さんにだけあげるよ』
嬉しい、と可愛い返事が返ってきた。
と、思ったらもう一報続けてメッセージが届いた。
『メイサさんは何が欲しい?』
『え?私も何かもらっていいの?』
『もちろん』
『うーん何がいいかなぁ。何ならくれる?』
『なんでもいいよ』
うーん、と私は考え込んでしまった。
バレンタインと言えばチョコレート以外思いつかないティピカルジャパニーズなのだ。
しかも男子からもらうの?お花とか欲しいけど、そういうのでいいのか?
しばし悩んだ挙句、私は『仁さんのあげたいものでいいよ』と答えた。
仁はすぐに返事をくれた。
『じゃぁ、メイサさんが欲しいものをあげる』
『仁さん、私が欲しいものわかるの?』
『うん』
『どうして?どうやって知ったの?イチゴか人参?(笑)』
『違うよ(笑)』
仁さんはどこか楽しげに返信してきた。
『1.昨日メイサさんは僕のことを好きって言った。
2. 今日僕に彼女がいるか聞いた。
以上の事からメイサさんが僕から欲しいものはある言葉だと推測しています』
(OvO)
『いい読みね』
『間違ってる?』
『ううん、合ってるよ』
『:)』
そそそそれは
あの、その、何か言ってくれるんでしょうか?
その、確定的な言葉というかなんと言うかその……
『何を言ってくれるのかな~、楽しみだな♪』
『今言って欲しい?』
『えー、気になるけど。仁さんは今言いたくないの?』
『大事な事だから、メイサさんにとって、会って聞いたほうがいいんじゃないかと思ってる』
大事なことですと
『そうだね♪じゃぁその時まで待ってる♪』
『うん。楽しみにしてて :)』
ちょちょちょちょっと~!!
それってもうあれ、こここコケーッコッコこくはモゴモゴに決まってるんじゃないのー!?
ていうか、前回のはそれに含まれないのかしらん???
ここで少し触れておきたいのが、仁さんのバックグラウンドだ。
仁さんは生粋の何処かの国の人なのだが、お父さんの所有していた本をきっかけに日本に興味を持った。
そのまま日本について学ぶうちにどんどんと興味が増していき、日本人の友達を作ったり日本の会社でインターンシップをする程になった。
完璧というには程遠いものの流暢と言える日本語力はひとえに彼の独学の成果で、
いまでは定期的に日本を訪れるほどの親日家である。
そんな彼なので、日本文化について学んだり取り入れるのが大好き。
いつかした彼との会話では、『僕の国と日本はとても似ていて、だけど違うところは日本の方がちゃんとしていると思う』
『例えば日本人は告白をするけど僕らはしない。日本人の方がわかりやすくていいと思う』
と、のたもうていたのだ。
私は頬杖をついて彼の言葉を思い出していた。
するってーとアレだな。
やっぱちゃんとした話をしたいっていうのは、そーゆーことなんだな。
その姿勢も、どこか日本人ぽいというか、細やかな感じがするわね。
『ところで』
不意に仁さんが切り出した。
『メイサさんはどんな物をくれるのかな』
『え?チョコレートじゃないの?』
『バレンタインだからチョコレートもいいけど、実際に僕がメイサさんから欲しいものは、それじゃない』
(°_°)
『え、じゃぁ、なーに?』
『メイサさんからしかもらえない物で、甘いものがいいな』
あ ま い も の ?
それってつまり。。。
ポチポチポチ
『なるほど。
じゃ、私はチョコレートで出来た口紅を探した方がいいってことかしら?』
ピロリン
『:)』
さすがだね、と仁さんは続けた。
『メイサさんは僕のこと、本当によくわかってるね』
『私は仁さんの先生だからね』
『メイサ先生はいつも、素晴らしいレッスンをしてくれるね』
『もちろん』
『次はどんなレッスンを受けられるのかな?』
ポチポチポチ
『次のレッスンは、いかにして唇の上のチョコレートを上手に食べるか、よ』
ピロリン
『先生……先生となら、上手くやれる自信があります。
でも僕はスローラーナーなので、たっぷり時間をかける必要があると思います』
矛盾しています
『仁くん、先生のチョコレートを食べ切るつもりですか?』
『勿論です。さもなければ、チョコレートが無駄になりますから』
私は思わず吹き出した。
フザケ切った一連の流れも面白かったが、彼のちょいちょい挟んでくるロジカルな言い訳がまた面白かった。
『大事なこと』の全貌はわからなかったが、だいたいの目星はついた。
ひと月以上になるという日本旅行が終わった後で、まぁいつか会えるのだろうと思った。
その時にその『大事なこと』を教えてもらい、直接会ってビールでも飲みながら
こんなおフザケが出来るのかなと思ったら、とても楽しみだった。
そしてこんな風に、仁さんのアプローチは少しずつ変わっていった。
続きます。