仁と出会って、会ったこともない彼に恋をした。
毎日気になって、幸せな気持ちにしてもらった。
楽しかった。
彼のことを深くなんか知らなかった。
日本語が話せて、背が高くて、会話してて楽しくて。
でもところどころ子供っぽくて。
冷静に判断すれば、それだけ本当に好きだったと言えないかもしれないけれど、
逆にそんな情報だけで冷静な判断なんか出来ない。
2人とも、不思議だけど、恋に落ちていた。
私は訊いた。
「仁ちゃんは決められる立場じゃないって言ってたけど、じゃぁ私が決めていいの?」
「うん」
「私が決めた通りになるの?その権利がある?」
「うん」
「じゃあこうしたいっていうのがあるけど、それ言っていいのかな」
と私が回りくどい事を言っていると、業を煮やしたのか勝手なのか、仁が話し始めた。
「一番良いのは」
「なに?」
「出来るだけ早く一度会って、そしたらいろいろな事が簡単になると思う」
いやだからそれもっと早くやっとけよ。
と思ったが言わなかった(笑)
私はハッキリとした口調で言った。
「仁ちゃん、会おうよ」
仁はうんと答えた。
「いつ?」
「俺が来月試験が始まるから、できるだけすぐがいい。でも俺が行けるのが週末だから」
「じゃぁ週末に休みとるよ」
「わかった」
仁は続けた。
「だから、明日起きたらすぐホテルと飛行機予約する」
(´⊙ω⊙`)
「…実はね。仁ちゃんが来るって言ってた頃、美容院に行ったんだよ。
綺麗にして会いたいなと思ったから」
「ほんとうに?」
「うん」
「うわ、今それを聞いてもっと悪いと思ってる」
「もういいよ許してあげるよ」
「ごめん…」
「怒ってないよ。怒ってないけど………」
本当に来るのかな。
「今度はちゃんと来て」
仁はうんと答えた。
でも前回の件でかなり罪悪感を感じていたのか(いやじゃぁもっとちゃんと埋め合わせろよの一言)
「でも今度は全部予約してから約束する」と言った。
来るんちゃうんかい。
私は言った。
「来て、メイちゃんに触って」
「うん触るよ。俺が悪かったから、今回は何でもしてあげる」
「何でもして」
「うん」
「仁ちゃん、悪い子だったからね。たくさん優しくしてね」
「わかった、ちゃんと埋め合わせするよ」
私が花とか好きだよと言うと、彼は笑った。
「じゃあ俺の鼻の写真送ってあげる」
「そのハナじゃないよ」
「知ってる(笑)わかったよ」
「じゃあ、明日起きたら調べて」
「うん」
ふと見ると、時刻は丑三つ時。
「仁ちゃん、今日はもう寝よう」
「俺が眠いのわかった?」
いや私が眠い(笑)
「メイちゃんももう寝る?」
「うん寝るよ」
そっか、と答える仁はどこか嬉しそうだった。
「おやすみメイちゃん」
「おやすみなさい、明日また連絡して」
「わかった」
じゃぁね、と言って電話を切った。
暗い部屋に、窓から入る街灯の光が筋を作っている。
月明かりなら優しくおぼろかもしれないけど、人工的なそれはそこだけ煌々として見えた。
なんでこんな事になったんだろう。
あたし、仁のこともう好きじゃないのにな。
今ならそう思えるけれど、その時の私は
何度も書いた通り
きちんと終わっていなかった彼とのことがまだ心に溜まっていて
どんなに咲人のことが好きだと実感しても
思い出の綺麗さに縛られていたのだと思う。
仁に、きちんとして欲しかったんだと思う。
どんな方向でもいいから。
私は多分、結構センチメンタルで情深い人間だ。
と同時に
結構疑い深い。
仁が本当に来たら私、どうするんだろう。
本当に来たら。
本当に…?
来る気がしなかった。
そして
約束をした翌日
仁は連絡してこなかった。
続きます。
毎日気になって、幸せな気持ちにしてもらった。
楽しかった。
彼のことを深くなんか知らなかった。
日本語が話せて、背が高くて、会話してて楽しくて。
でもところどころ子供っぽくて。
冷静に判断すれば、それだけ本当に好きだったと言えないかもしれないけれど、
逆にそんな情報だけで冷静な判断なんか出来ない。
2人とも、不思議だけど、恋に落ちていた。
私は訊いた。
「仁ちゃんは決められる立場じゃないって言ってたけど、じゃぁ私が決めていいの?」
「うん」
「私が決めた通りになるの?その権利がある?」
「うん」
「じゃあこうしたいっていうのがあるけど、それ言っていいのかな」
と私が回りくどい事を言っていると、業を煮やしたのか勝手なのか、仁が話し始めた。
「一番良いのは」
「なに?」
「出来るだけ早く一度会って、そしたらいろいろな事が簡単になると思う」
いやだからそれもっと早くやっとけよ。
と思ったが言わなかった(笑)
私はハッキリとした口調で言った。
「仁ちゃん、会おうよ」
仁はうんと答えた。
「いつ?」
「俺が来月試験が始まるから、できるだけすぐがいい。でも俺が行けるのが週末だから」
「じゃぁ週末に休みとるよ」
「わかった」
仁は続けた。
「だから、明日起きたらすぐホテルと飛行機予約する」
(´⊙ω⊙`)
「…実はね。仁ちゃんが来るって言ってた頃、美容院に行ったんだよ。
綺麗にして会いたいなと思ったから」
「ほんとうに?」
「うん」
「うわ、今それを聞いてもっと悪いと思ってる」
「もういいよ許してあげるよ」
「ごめん…」
「怒ってないよ。怒ってないけど………」
本当に来るのかな。
「今度はちゃんと来て」
仁はうんと答えた。
でも前回の件でかなり罪悪感を感じていたのか(いやじゃぁもっとちゃんと埋め合わせろよの一言)
「でも今度は全部予約してから約束する」と言った。
来るんちゃうんかい。
私は言った。
「来て、メイちゃんに触って」
「うん触るよ。俺が悪かったから、今回は何でもしてあげる」
「何でもして」
「うん」
「仁ちゃん、悪い子だったからね。たくさん優しくしてね」
「わかった、ちゃんと埋め合わせするよ」
私が花とか好きだよと言うと、彼は笑った。
「じゃあ俺の鼻の写真送ってあげる」
「そのハナじゃないよ」
「知ってる(笑)わかったよ」
「じゃあ、明日起きたら調べて」
「うん」
ふと見ると、時刻は丑三つ時。
「仁ちゃん、今日はもう寝よう」
「俺が眠いのわかった?」
いや私が眠い(笑)
「メイちゃんももう寝る?」
「うん寝るよ」
そっか、と答える仁はどこか嬉しそうだった。
「おやすみメイちゃん」
「おやすみなさい、明日また連絡して」
「わかった」
じゃぁね、と言って電話を切った。
暗い部屋に、窓から入る街灯の光が筋を作っている。
月明かりなら優しくおぼろかもしれないけど、人工的なそれはそこだけ煌々として見えた。
なんでこんな事になったんだろう。
あたし、仁のこともう好きじゃないのにな。
今ならそう思えるけれど、その時の私は
何度も書いた通り
きちんと終わっていなかった彼とのことがまだ心に溜まっていて
どんなに咲人のことが好きだと実感しても
思い出の綺麗さに縛られていたのだと思う。
仁に、きちんとして欲しかったんだと思う。
どんな方向でもいいから。
私は多分、結構センチメンタルで情深い人間だ。
と同時に
結構疑い深い。
仁が本当に来たら私、どうするんだろう。
本当に来たら。
本当に…?
来る気がしなかった。
そして
約束をした翌日
仁は連絡してこなかった。
続きます。