(1月16日)アルジェリア人質事件発生
アルジェリア東部イナメナスにある国営企業(天然ガス精製施設)をイスラム系武装集団が襲撃。
日本人を含む各国の従業員を人質にとり、隣国マリ北部へのフランスの軍事介入停止や逮捕されているイスラム過激派の釈放などを要求したが、翌日、アルジェリア政府軍が攻撃を開始。
更に、特殊部隊の強硬突入も行われ、当面の拘束事件は終結したものの、抱える複雑な諸問題は何ら解決していない。
犯人側は勿論、多くの人質も命を落とした(日本人の犠牲者は皆、株式会社日揮の関係者)。
背景が複雑なので、一概に誰が悪い・これが原因だと断定することが出来ないのが、日本人的視点からすると問題の深層をより見えなくさせている。
なので、ここでは「人質救出」に焦点を絞るが、何より人命尊重を掲げる我が国の常識に照らすと実に乱暴な解決法に思える。
しかし、理不尽な要求には一切屈しない・妥協しないという原則こそが世界基準であることを忘れてはならない。
なので、これは絶望的な物言いになってしまうが、外国で生活する場合、ある種の「覚悟」が必要と言える。
さて、犯人側は今後どうするか。
このまま黙って引き下がる筈もない。
特に、今回名前のあがったフランスは要注意だろう。
(1月21日)大阪市立桜宮高校の体育科・スポーツ健康科学科の入試中止が決定される
事の始まりはある「事件」から。
桜宮高校バスケットボール部顧問が、キャプテンを務める2年生男子生徒に体罰を含む厳しい指導を行い、それを苦に2012年12月、生徒が自殺。
調査の末、目下同校に自浄能力がないと判断した大阪市教育委員会が上記の決定を下した(この決定に、橋下徹大阪市長の意向が強く反映していることは言うまでもない)。
生徒を死に追いやった直接の原因が顧問にある以上、真っ先に責任が問われるべきは彼である。
次に、学校内で起きたことが自殺の引き金になった点、また、体罰の常態化を制止出来なかった点も考慮し、学校に管理責任があるのも当然。
更に、学校のお目付け役を担う教育委員会も責任を免れない。
加えて、教育委員会は行政機関なので、そのトップである橋下市長が責任を追及されてもおかしくない。
ところが、下された結論は入試の中止。
何故事件に関わっていない中学生(受験生)に矛先が向かわねばならないのだ?
順番ってものがあるだろう。
橋下市長のいう通り、現下の桜宮高校は教育現場と呼ぶにはには相応しくない環境なのかも知れない。
それはそれで早急に解決せねばならないことだ。
しかし、そういう学校であっても、選ぶ・選ばないは受験生次第。
彼らの選択権を奪う権利は、市長にはない。
そもそも、今回入試を中止することが、体罰追放につながるのか?
どう考えも結び付かない。
問題解決の本質からずれている。
橋下市長は自らの大学浪人の経験をもとに、今回の決定を前向きに捉えるよう主張するが、自分の行動の結果としての受験失敗と、自分には何の関わりもない事件に端を発する受験機会喪失を同列に扱うのは無理がある。
彼の頭には教育委員会の抜本的改革があるようで、それは確かに間違いではない(寧ろ推進すべき課題だ)が、その為にこの事件を強引なかたちで利用してはならない。