散歩の閑人:メタ坊っちゃまのYOASOBI?

若気の至りが過ぎてメタボでも、世遊びは辞められない。

住所について、思う。<その1>

2017年03月10日 | ☆たまに修行

「旭川市役所の住所が51年間誤ったままだった」と、読売新聞ニュースに掲載されました。
主な内容は、
 地方自治法では市庁舎の住所を条例で定めることになっていて、現庁舎が完成した1958年、「6条通9丁目46番地及び7条通9丁目47番地」と定めた条例が施行。ところが66年に一つの土地に合体されたため、登記簿上、「7条通9丁目47番地」は消滅していた。現在、2021年度の新庁舎完成を目指して作業を進めるなか、基本計画をまとめる過程でこのことが判明したので、市は開会中の定例市議会に住所を変更する条例改正案を提案した。・・・
とのこと、これに新聞社の付けた見出しは***市役所住所、誤ったまま51年「理由わからぬ」***2017年03月09日 09時13分

とはいえ、これは新聞社のスクープなのではなく、市が改正条例を提案したからわかったことで、それを鬼の首を取ったかのような見出しを付けて記事にしました。
 最近、記者発表記事をもらって、裏付けも取らず、我こそは正義のような記事を出す報道ってどうなんでしょう?

 記事の中で気になったのは、土地の合筆(複数筆の土地を一つにすること)を超合金ロボのように「合体」と表現していること。登記簿はいろいろな登記があるので「土地登記簿」と正確に、土地の表示だとすると「番地」ではなく「番」と記載すること。
それから「番地」表記されるのは「建物登記簿」で、市役所だけではなく、一般の住宅やビルでも建設当時は土地の表示と一致していたものが、土地の分合筆などにより建物の表示と一致しなくなるのはよくあることで、だからといって法務局がむやみに職権で訂正することはしないので、決して「誤り」とはしてません。
 そのような場合、よくある例では、建て替えが生じた場合に、従前の建物の滅失登記をして、建物登記をすると新たに底地の地番を用いて番地表示の登記がなされます。つまり、旭川市役所も同様だったということです。
 ただ、市役所の建物登記をすることの代わりに、条例で定めることになっているので、なくなった地番の番地表示を削除する必要があり、そのため市では、合筆後の地番の番地表示もこれまでの条文中に存在するので法律上の問題はないとしています。

 旭川市の事務所の位置に関する条例(昭和32年2月28日条例第3号)
第1条 旭川市の事務所の位置は,この条例の定めるところによる。
第2条 旭川市の事務所は,次の場所に置く。
    旭川市6条通9丁目46番地及び7条通9丁目47番地
附 則 この条例の施行期日は,市長が別に定める。(昭和33年11月規則第32号で,同33年11月3日から施行)

 ちなみに、みなさんのまわりに建っている建物の約半分ぐらいは、建物登記がされていないってご存知ですか?
 土地は不動産価値も高いので、第三者が転売するのを防ぐために、土地の表示や所有者をしっかり土地登記しておくのに対し、建物は不動産価値が年々下がっていくだけでなく、居住していれば第三者が何かしようとしてもすぐ知れるところとなりますので、高い登記手数料を払ってまで建物登記をする人が少ないという訳です。

 横浜にこだわってみた場合、横浜市役所の位置はどうでしょうか?

 横浜市の事務所の位置に関する条例(昭和
34年3月14日条例第2号)
 
市の事務所の位置に関する条例をここに公布する。
 
市役所の位置条例(昭和25年10月横浜市条例第38号)の全部を改正する。
 
地方自治法(昭和22年法律第67号)第4条第1項の規定に基き、市の事務所の位置を次のとおり定める。
  
横浜市中区港町1丁目1番地
付 則 この条例は、規則で定める日から施行する。(昭和34年9月規則第50号により同年同月15日から施行)

 土地の番号は、明治の地租改正で土地に番号を付けたことに始まります。
 それから、土地の取引が始まって、分筆・合筆が繰り返されていく訳ですが、権利関係をはっきりさせるため、現行の不動産登記では、分筆された親番や消滅した地番は原則用いないことにしています。とすると、条例にある横浜市役所のある土地の表示は「港町1丁目1番」、そこに建つ建物は「港町1丁目1番地」のまま現在に至っていることになります。ところが、道路の拡幅や地下鉄・JR線の整備などで土地の表示を変更する必要が生じて2筆に分筆をした場合、「港町1丁目1番1」と「港町1丁目1番2」となり、「港町1丁目1番」の土地表示はなくなることになります。
 だからといって、建物の表示は変えなければならないかというと「住居表示に関する法律」が重要ポイントとなってきますが、それはまたの機会にいたしましょう・・・。


 興味のある方は、手数料さえ支払えば誰でも登記簿情報を入手できますので、試してみてください。


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