季節を感じさせるモミジの木が、こじんまりとした店を粋な外観に見せている。
柿渋色に染められた小さな暖簾には「山もと」と白抜きされているものの、
“と”は万葉仮名の“登”をくずした字だから、
人によっては「やまもや」と読んでいる人もいて、ジェネレーションギャップを感じさせる。
その暖簾の横の柱に、小さな木札が下げられ、
あなご丼、かき揚丼、三目丼 800円
天ぷら定食 900円
と書かれている。
暖簾を入ると、右に小あがりがあり、
左には板場と8席ばかりのカウンター席が並んでいる。
座れば、即、お茶を出しながら、「定食ですね」と聞いてきた。
コクリと頷くと、調理白衣に和帽子を少しずらしたマスターが、
太い菜箸で粉をふるったボールをざっくりとかきまわす、
三角巾にエプロンの2人のご婦人が板場の定位置に動き始める。
1人は、カウンターに、ご飯、味噌汁、お新香、天つゆをセットする。
セットされるのを見越して、カウンター前の台に置かれたトレイに、
マスターが海老2匹とキスの揚げたてを載せた。
すると、もう1人のご婦人が、マスターの差し出すボールに、揚げる野菜を入れる。
本来ならお座敷天ぷらよろしく、食べるそばから揚げたてを載せていくんだろうけど、
デジカメして一向に手をつけずにいる私を察してか、
次々と天ぷらを載せる。
人参、茄子、ピーマン、玉葱、椎茸・・・都合、9点。
(外観)
(店内)
goo地図
絶妙でキビキビとした動きといい、身ごしらえといい、
磨き込まれた店内といい、職人の風格を感じさせる。
見上げると、表彰状がいくつも掲げられていた。
誇りをもって仕事しているんだなと感じさせる店だった。
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