徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

ドイツ情報、ヨーロッパ旅行記、書評、その他「心にうつりゆくよしなし事」

抗がん剤のお値段とがん代替治療の死亡率(がん闘病記14)

2017年11月09日 | 健康

今日は血液検査とドクターとの面談でした。例によって血液に異常なし、特記すべき副作用なしということで、待ち時間1時間強プラス検査・診察時間15分で済みました。次の、最後の抗がん剤投与は11月21日。その後に最終検査と放射線治療医との面談が予定されています。

抗がん剤のお値段

さて、これまで抗がん剤の納品は別薬局で、ここの請求書には自己負担額しか記載されていなかったのですが、9月19日分から納入薬局が一本化され、昨日初めて抗がん剤の本来の価格が表記された請求書が来ました。Σ(゚Д゚)

ただ「抗がん剤」としか記載されてないので2種類(パクリタクセルとカルボプラチン)あるうちのどちらがどの価格なのかは不明ですが、一つは262.73€で、もう一つは650.28€!その他の投薬を含めて1回の抗がん剤治療でトータル1092€(約14万9千円)になります。高いんだろうなとは思ってましたけど。。。本当にこの治療費の大部分を補償してくれる健康保険のありがたみが分かります。私の1回の抗がん剤治療の自己負担分は42€前後(約5600円)だけで、治療費全額の4%弱に過ぎません。

つくづく日本で病気にならなくて良かった!と思ってます。


がん代替治療の死亡率

今日はダイヤモンドオンラインに気になる記事を発見しました。「がん代替療法の選択で死亡率は最大5倍超に、米国の研究」という医学ライター・井手ゆきえ氏の記事です。

以下引用。

誰でもがん治療は怖い。告知のショックから立ち直る間もなく情報の波に翻弄され、重大な決断を迫られる。この選択が自分の生命を左右するかもしれない、という恐怖に不安が募る。

 そんなとき「がんが消えた!」「免疫でがん細胞をたたく」等の“万能感”と“わかりやすさ”が差し出されたら、どうだろう。日頃から科学的・合理的思考の持ち主を自任していても「民間療法」や「代替療法」に気持ちがふらりと揺らぐ。

 しかし、だ。8月に米国立がん研究所の機関誌に掲載された研究によると、「転移のない早期がんの治療に代替療法を選んだ患者が、5年以内に死亡する確率は、標準療法を選んだ患者より2.5倍高い」という。

 乳がんに至っては、代替療法を選んだ患者の死亡リスクが、標準療法を選択した患者の5.7倍にもなった。大腸がんは4.6倍、肺がんは2.2倍へとそれぞれ上昇。一方、前立腺がんではリスクの変動は認められなかった。

 本来、転移がない早期乳がんに対する標準療法の5年生存率は、9割以上だ。大腸がんも同様で、転移がないステージ1~2の5年生存率は9割超。リンパ節転移があるステージ3でも8割を超える。

 肺がんはがんの組織型で進行スピードが違い、一概にはいえないが、進行が遅い非小細胞肺がんならステージ1~2の5年生存率は、標準療法で6~9割に達する。

 少なくとも標準療法が進化している乳がん、大腸がん、一部の肺がんでは、代替療法によって手遅れになる可能性が極めて高い。

 一方、前立腺がんの多くは進行が遅く「無治療経過観察」が普通に選択される。平たくいえば放置であり、代替療法に高額な費用をかける意味からして不明だ。

 代替療法を選択するタイプは、より高収入、高学歴で併存疾患が少ない若い人らしい。背景には、これまでの成功体験や現代医療への不信、健康に対する信念などさまざまな理由があるだろう。

 しかし、がんの治療は自分にとって未知の領域だ。無手勝流に走る前に、標準的な選択肢に目を向けることが自分を救う道になる。

 

この記事を読んで、抗がん剤治療・放射線治療擁護記事かと思いました。「8月に米国立がん研究所の機関誌に掲載された研究」とあるだけで、研究者の名前もリンクも記事中になかったので不審に思って、ソースを探してみました。

ソースは「Journal of the National Cancer Institut」に8月10日に発表された、Skyler B. Johnson、Henry S. Park、Cary P. Gross、James B. Yuらによる研究論文「Use of Alternative Medicine for Cancer and Its Impact on Survival(がん代替治療の選択とその生存率への影響)」のようです。

この研究では560人のがん標準治療を受けた患者と280人のがん代替治療を選択した患者が統計的に比較評価されています。統計のベースとしては人数が少なすぎるきらいがあります。患者データは米国立がんデータベースから2004-2013年の症例を使用したようです。

ここで言う「がん標準治療」は抗がん剤治療・放射線治療・手術およびホルモン治療を指しています。「がん代替治療」はこうした標準治療以外を指しており、対象となった280人の患者がどんな治療を試みたのかは全く分かっていません。代替治療のセラピストやその治療を受ける患者たちは往々にして情報公開に消極的であるために米国立がんデータベースを使用し、標準治療かそうでないかの区別を利用して統計的評価をしたとのことなので、この代替治療の「十羽一絡げ」は少なくとも意図的ではないようです。

上のダイヤモンドオンラインの記事にある「代替治療を選択するタイプ」の記述は、原文にある「女性」という属性と「がんステージが高い」という属性が抜けています。意図的なのか不注意なのかは不明ですけど。

「死亡率は最大5倍超え」は確かにセンセーショナルな見出しですが、よく見るとそれほど確実な所見というわけでもなく、色々制約のある中での一つの統計的データに過ぎないことが分かります。

代替治療ごとの5年後生存率の統計がないことがとても残念ですね。ぼったくりの怪しげな療法もなかにはかなり混じっているようなので、情報公開に消極的なのも頷けます。

がん闘病記15


唐突ながん宣告~ドイツの病院体験・がん患者のための社会保障(がん闘病記1)

化学療法の準備~ドイツの健康保険はかつら代も出す(がん闘病記2)

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抗がん剤投与2回目(がん闘病記7)

抗がん剤投与3回目(がん闘病記8)

医者が満足する患者?(がん闘病記9)

マリア・トレーベンの抗がんハーブレシピ(がん闘病記10)

抗がん剤投与4回目(がん闘病記11)

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抗がん剤投与5回目(がん闘病記13)&健康ジュースいろいろ

書評:Kelly A. Turner著、『9 Wege in ein krebsfreies Leben(がんが自然に治る生き方)』(Irisiana)


抗がん剤投与5回目(がん闘病記13)&健康ジュースいろいろ

2017年11月03日 | 健康

 

今回は祭日の関係で火曜日ではなく木曜日に抗がん剤投与を受けました。投薬プランは前回と同じ。

今回はいつもよりも吐き気が強かったように思います。吐くほどではなかったのですが、胃からのある種の突き上げを感じて非常に気分が悪い感じでした。それは抗がん剤投与の前の投薬で起こりました。Dexamethason というステロイド系抗炎症剤に続いて Zantic と Tavegil という薬品が静脈注射されるのですが、これの後にいつもより気持ちが悪くなり、ふらふらしてきました。「うーん、気持ち悪いな」と思っている間に Carboplat(=カルボプラチン)の点滴が始まり、怒涛のような眠気に襲われます。眠気はいつものことです。この点滴は30分間で終わり、二つ目の抗がん剤の Paclitaxel の点滴が始まると、これは3時間かかるので、かなりまとまって寝ることが可能です。このあたりで気持ちの悪さも大分収まり、ただただ爆睡です。トータル2時間半ほど点滴中に寝てました。

なにごともなく全部終わったのは12:45で、今までの中で一番スピーディーでした。その代わり迎えの車を外で10分以上待つ羽目になってしまいましたが。気温10度以下の外で10分待つのはかなり苦痛ですね。

帰宅後はお昼ご飯を食べて、本を読んだりネットやったりしてたのですが、午後2時過ぎに寝落ちして4時間弱寝てしまいました。このため夜は例によって普通の時間には寝られず、朝方4時ごろになってようやく寝つきました。昼頃まで通しで寝れるかと思いましたが、そうもいかず、朝8時過ぎには目がさえてしまい、午後にまた昼寝するという細切れ睡眠となってしまいました。

眠気やだるさ以外の副作用が出てくるのは明日か明後日あたりでしょうか。今回も関節痛以外の深刻な副作用が出ないことを願いたいものです。

抗がん剤投与も残すところ後1回。あと少しの辛抱です。

がん闘病記14

健康ジュースいろいろ

さて、抗がん剤治療の傍ら、10月26日に高いスロージューサーを購入して毎朝色々ジュースを作って飲んでます。ジューサーと一緒に届いたジュースレシピの中から特に免疫力増進のレシピを選んで片っ端から試してみたわけですが、これは2度と作らないと思ったレシピもいくつか…(笑)

最初に作ったのはオーソドックスにニンジンジュース。これを毎日4か月飲んで肺転移までしていたがんが治ったという報告もあります。

 

次に挑戦したのはにんじん、セロリ、レモンの組み合わせ。これはさっぱりとして飲みやすいレシピでした。

 

その次のレシピはピーマン、玉ねぎ、にんにく、パセリの組み合わせでしたが、あいにくパセリを切らしていたのでバジルで代用しました。これはにんにくの味が強烈過ぎて、お水と変わりばんこに飲むか薄めるかしないと飲めない代物でした。(''◇'')ゞ

 

次のレシピはフルーティな組み合わせで、キウイ、ぶどう、イチゴでしたが、イチゴが売ってなかったので代わりにラズベリーを使用しました。非常に美味しかったですが、300㎖のジュースの材料費は4€強と、かなりお値段の張るものに…

 

次に試したのが免疫力増進ではなく、「痩せる」レシピ。たまたま家にある材料でできるものだったのであまりもの処分を兼ねて作ってみました。西洋ネギ、キャベツ、ニンジンの組み合わせです。これは色はニンジンの色が際立ってますが、味ではネギが勝ち過ぎていて、にんにくの入ったジュース同様薄めないと飲めないような代物でした。

 

次の免疫力増進レシピは、ニンジンとカリフラファ―のジュースにクルクマのパウダーをかけたもの。これは多少くせがあるものの、そのまま飲めるジュースでした。

その次に試したのが豆腐・アボカド・豆乳のスムージー。本来はミキサーで作るのですが、現在うちのミキサーは故障中なので、スロージューサーのフードプロセッサー機能を使ってアボカドとお豆腐をまず細かくし、その後に豆乳を混ぜてみました。レシピでは豆腐400g、豆乳100㎖、アボカド1個となっていましたが、使用した豆腐が非常に硬いものだったので300gに減らして、かつ豆乳を200㎖に増やして混ぜたのですが、スムージーというよりはスプーンで食べるムース状になって今いました。味は多少退屈な感じがしないでもないものの、そこそこおいしいです。お好みでちょっと味を足したい感じですね。

抗がん剤投与の日は再びニンジン・セロリ・レモンジュースを作りました。

 

今朝は「痩せる」レシピで、赤いピーマン、玉ねぎ、ほうれん草の組み合わせ。仕上げにナツメグをおろして振りかけます。ほうれん草からでる泡と色がちょっとえぐい見た目ですが、味は普通に飲めるものです。玉ねぎの味もしますが、にんにくや西洋ネギほど自己主張しません。

がん闘病記14


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2017年10月18日 | 健康

今日は血液検査とドクターとの面談のためにがん専門クリニックへ行ってきました。

前回の抗がん剤投与前の血液検査では血小板の値が上がってましたが、今日はまた正常値に戻っており、全然心配ないようです。

抗がん剤投与後の副作用は、だるさと関節痛のみ。関節痛は投与後2日目に始まって2日間で収まりました。それ以外の、例えばドクターが特に心配している発熱なども全くなく、吐き気とか食欲減退とか「どこの話?」というくらい無縁です。

世の中には「抗がん剤治療は効果がないばかりか死ぬ原因」とか言って全否定する人もいますが、かと言って代替療法でがんが寛解するのかと言えばそうでないケースもかなりあります。実際にはこの分野では分かってないことが多いので、なにごとも極端な決めつけはよくないと思いますね。

有名な2012年に「Nature medicine」に発表されたNelsonを始めとするアメリカの研究者たちの論文では確かに抗がん剤治療が抗がん剤に対する免疫をもつがん細胞の発生に一役買っていることとそのメカニズムが明かされていますが、これはあくまでもより効果的な抗がん剤を開発するための研究の一環としての論文であり、ちまたの「抗がん剤効果なし」という主張を追認するものではありません。

ドイツでも確かに抗がん剤を含むがん治療剤は巨大な市場(2015年度は28.5億ユーロ)であり、抗がん剤を調合できる薬局またはその権利のある薬局が全国でたった600件しかないことを鑑みれば、少数ががっぽり儲けている構図が明らかになり、またそこに健康保険組合とのやり取りで不正請求(抗がん剤の価格を上乗せて請求)も少なくはないそうで、実に問題の多い所ではあります(Handelsblatt, 7. Sept. 2016, "Das hässliche Milliardengeschäft mit Krebsmitteln")。

とは言えドイツのトレンドとしては化学療法を止めて代替療法へ行くのではなく、「総合的な治療」への移行です。つまり化学療法単独ではなく食事療法や生活習慣改善および精神衛生上のケアを含めたトータルケアですね。私の通院しているクリニックにも栄養コンサルタントがいます。私を担当してるドクターは食べ物に関しては「何食べてもいいよ」とおおらかです(笑) 体重を維持することと散歩などの軽い運動をできる限りすることは勧めてますけど。

因みにドイツのテレビなどで現在話題になって、問題視もされているのは「メタドン(Methadon)」という鎮痛剤です。この鎮痛剤が抗がん剤投与の際に効果を高める作用があることが分かってきており、現在臨床試験の最中です。ただ、これが抗がん剤との併用ではなく、単独でもがん患者の生活の質を高め、あまつさえ寛解を達成できたという報告もあるため、多くのがん患者たちがこの奇跡の薬を求めて、これを処方してくれる医者のもとに殺到しているようです。メタドンはがん治療薬としては認可されていないため、あくまでも「鎮痛剤」として処方されます。

閑話休題。

食事の話に戻りますが、食事の基本はやはり「体を酸性にしないものを食べる」ことでしょう。新鮮な野菜・果物などのアルカリ性食品8割、善玉の酸性食品(全粒のパンや玄米、ナッツ類、発酵食品など)2割摂取するのが良いと例えば「Zentrum der Gesundheit(健康センター)」というサイトの記事で推奨されてます。肉・魚・卵もオーガニックのものを少量であれば「善玉酸性食品」にカテゴライズされているのは意外な感じがしないでもないですが、私も完全なベジタリアンではないのでこういう食品リストの方が実践しやすいです。

こういう食生活の他に3週間前からマリア・トレーゼンの抗がんハーブレシピに従って「ヤドリギ茶6週間療法」をやっています。

私が抗がん剤の副作用が少なく、人混みに行っても変な感染症をもらってこないで済んでいるのはこうしたハーブティーを含む食生活改善によるものではないかと考えています。元々の抵抗力が強いというのもあるでしょうけど、ただ病気をもらってこないというだけでなく抗がん剤投与にもかかわらず快食・快便で肌の調子までいいのはやっぱり食べ物のおかげだと思いますね。

まあそんな感じで結構体調がいいんですが、今日のドクターとの面談で「化学療法後」のことを言われてちょっと「うえっ」となってます。抗がん剤投与はあと2回で終了になり、その後は精密検査をしてどうするか検討する、ということは了承していたのですが、実は私が手術を受けたマルテーザー病院での腫瘍カンファで決まった治療方針によれば「抗がん剤治療、後場合によっては放射線治療」となっていたそうです。「だから検査の後は放射線治療医との面談の予約を入れておく」とドクターに言われました。放射線治療が必要と判断されるかどうかはまだ分かりませんが、治療は3か月くらいかかるようです。

感覚的に放射線治療はお断りの方向で考えてます。「必要なし」と言われればそれに越したことありませんが、「必要あり」でもやるつもりはないです。

がん闘病記13


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2017年10月11日 | 健康

10月10日、抗がん剤投与も4回目となり、1サイクルの3分の2が終了しました。今回も特に問題なく、クリニックに居た時間は朝8時過ぎから午後1時まででしたがそのうちの2時間近く完全に熟睡してました ( ̄∇ ̄;)

帰る頃には若干めまいがして足元がふらつく感じでしたが、迎えの車のところまで歩く分には問題有りませんでした。

投薬プランも前回と同じ

血液検査の方は、なぜか血小板値がまた350x10^3以上に上がってました。来週の火曜日にまた血液検査と担当医との面談があるので、何か問題があるのか聞いてみるつもりです。

クリニックから帰宅後軽く果物などをつまみながらネットやってたんですが、1時間くらいしたら猛烈に眠くなり、3時間ほど爆睡。このため、夜は普通の時間に眠れなくなって、朝4時過ぎにようやく就寝。今日起きたのは昼過ぎでした。自宅療養中で時間的な拘束がないと睡眠時間も自由でいいですね。

 

今日は会社の10月分の給料明細がメールで届き、漸く傷病手当への補助金の計算が完了したようで、8・9・10月分が16日にまとめて支給されることになり、ひとまず安心しました。やはりお金の心配というのは精神衛生上よくないので、しなくて済むに超したことはありません。

あと気になるのは抗がん剤治療の効果ですね。元の子宮・卵巣がんは病巣切除でなくなっており、併発していた腹膜がんに切除しきれていない可能性があるため、予防的な抗がん剤治療ということですが、この腹膜がんには血液検査で分かるようなマーカーがないので、1サイクル終えて精密検査しないとどうなっているのか分からないというのが厄介です。精密検査と言っても普通のCT撮影では発見できるとは限りませんし。現に子宮がん切除手術前にしたCT撮影では腹膜がんどころか、卵巣転移すら発見されませんでした。手術中の細胞診で初めて転移が確認されたわけです。なので精密検査をどれだけ信用すべきなのかかなり疑問です。漠然と再発の不安とともに生きていくしかないんでしょうね。

がん闘病記12


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マリア・トレーベンの抗がんハーブレシピ(がん闘病記10)

2017年09月27日 | 健康

がんの民間療法は、怪しいものから将来的に臨床試験に耐えうる有望なものまで様々あり、玉石混交の情報がネットに溢れかえっています。また、自分ががん治療中であることを公表していると、様々な方がそれこそ多種多様の情報を良かれと思って提供してくださいます。ただ、情報発信源が日本語だと、ドイツに住む私には到底実践できないものが残念ながら多くあります。

そこで着目したのがこちらの薬草学(Heilkräuterkunde)です。一時魔女狩りで薬草に詳しい女性たちが弾圧されて多くの知識が失われてしまったものの、修道院などを通じて何百年も脈々と続いてきた長い伝統があります。現在では特にマリア・トレーベン(Maria Treben、1907~1991)というオーストリアの薬草学研究家のレシピが権威を持っています。戦後のチェコスロバキアからのドイツ人追放の結果としてドイツのヴュルツブルクの収容所に収容され、そこでチフスにかかり、薬がないため姉妹がクサノオウの汁を調達し、それを飲んだらすぐに状態改善したという体験から薬草学に興味を持ち、研究に没頭するようになったそうです。彼女の著作は多数ありますが、なかでも有名なのは「Gesundheit aus der Apotheke Gottes – Ratschläge und Erfahrungen mit Heilkräutern(神様の薬局による健康~薬草に関する助言と体験)」という本で、何か国語にも翻訳されたベストセラーとなりました。日本語訳版は「薬用ハーブの宝箱 アドバイスと体験」

また、彼女が有名になったのは Schwedenbitter(シュヴェーデンビッター)と呼ばれるスウェーデンの医師クラウス・サンスト(Claus Samst)によって再発見されたハーブリキュールのレシピとその体験談を出版したことによります。

シュヴェーデンビッターはハーブのネットショップで購入可能です。私が購入したものには「マリア・トレーベンの伝統的レシピによって製造」と書かれてあります。薬局に行けば自分で作れるタイプのドライハーブミックスが買えるそうです(ハーブリキュール作りで薬要らず)。

前置きが長くなってしまいましたが、マリア・トレーベンのレシピ集には抗がんハーブのレシピも紹介されているのです。「Heilkräuter aus dem Garten Gottes(神様の庭の薬草)」という本はスタンダードな薬草処方ばかりでなく、絶対に医者にかからなければならないような病気に対する薬草処方も扱っています。その章のタイトルは「信仰は山をも動かす」( ゚Д゚)

そこで紹介されているのが、いくつかのがんを抑制するまたは予防する効果のある薬草です。

Labkraut (Galium verum)

残念ながら日本語名は見つかりませんでしたが、昔から民間では抗がん効果が高いといわれている薬草だそうです。この薬草のジュースをバターと混ぜて外用薬として病巣(腫瘍のある場所)に塗るといいそうです。

皮膚がんなどにはもしかしていいかも知れませんが、体の奥のがんには外用薬でどれほどの効果があるものかかなり疑問ですね。

 

Mistel(Viscum album、ヤドリギ)

推奨されているのはヤドリギのお茶の6週間療法です。

最初の3週間は日に3杯、次の2週間は日に2杯、最後の1週間は日に1杯のヤドリギ茶を飲むというものです。

ヤドリギ茶のつくり方は、乾燥したヤドリギの葉を10~12時間水に浸し、葉を取り除いてから温めます。

お湯を注いで終わりではないのが少々面倒ですが、夜に次の日の分(1杯は150㎖)を準備して、朝になったら温めてポットまたは水筒に入れて夕方までに飲み切るようにするのがよさそうです。

ヤドリギは通常、めまいや関節の病気、または軽度の高血圧に効果があると言われています。

この6週間療法は体の抵抗力を高めるためのものだそうです。

 

Ringelblume(Calendula officinalis、キンセンカ)

がん患者は長期間このキンセンカのお茶を飲むといいそうです。

キンセンカ茶はヤドリギ茶ほど手間がかかりません。乾燥したキンセンカの花をティースプーン大盛り1杯取り、カップ1杯の熱湯を注ぎ、30秒間おいたら完成です。それを毎日3~4杯飲むのだそうです。

また、キンセンカのジュースは外用薬として皮膚がんの患部につけるとよいとか。

 

Zinnkraut(別名多数。Equisetum arvense、スギナ)

スギナは癌を抑制する効果があるそうです。スギナ茶を1日1杯飲むとよいとのことです。

スギナ茶は乾燥スギナをティースプーン大盛り1杯取り、カップ1杯の熱湯を注ぎ、30秒間おいたら完成です。

 

ミックスティー

がん抑制効果があるというミックスティーは次の3つの薬草から作られます。

  • Brennessel(Urtica、イラクサ)100g
  • Schafgarbe(Achillea millefolium、セイヨウノコギリソウ)100g
  • Ringelblume(Calendula officinalis、キンセンカ)300g

イラクサ

セイヨウノコギリソウ

 

この3種のハーブミックスをティースプーン6杯取り、1.5リットルの熱湯を注ぎ、30秒おきます。ハーブを取り、煮だしたハーブティーをポットに入れて、20分毎に一口飲むといいそうです。

 

Schwedenbitter(シュヴェーデンビッター)

最後にシュヴェーデンビッターの登場です。

ヤドリギ茶、キンセンカ茶、スギナ茶のうちのどれかと一緒に毎日シュヴェーデンビッターをスプーン3杯飲みます。

スプーン1杯のシュヴェーデンビッターは食前と食後に分けてハーブティーのカップ半分ずつと共に飲むのだそうです。

 

以上がマリア・トレーベンの抗がん薬草処方です。

私自身効果のほどは半信半疑なのですが、基本的に体の抵抗力を高めることを目的としているので、その点では間違いはないということと、お値段がさほど高くないということの2点を以ってやる価値があると判断しています。

退院してから上記のハーブティー各種を不定期にしか飲んでませんでしたが、これから本格的に飲もうと思っている次第です。

これまでは免疫力を高める要素が多く含まれるパイナップルやマンゴーをフルーツサラダにしてよく食べてましたが、これから冬に向かうに連れて新鮮なフルーツが少なくなっていくので、その代わりにハーブティーを飲むのがいいかなと考えてます。

子宮がん(卵巣転移、+腹膜がん)の診断以来、食生活も多少変えました。「多少」しか変えなかったのは、もともと添加物を避け、オーガニックのものを気を付けて食べていたからです。変えた部分は:

  • 砂糖を完全に排除したこと、
  • 4脚動物の肉を排除したこと(鶏肉は時々食べる)、
  • 乳製品を完全に排除したこと、
  • 精製小麦粉を完全に排除したこと、
  • 代わりに新鮮な野菜・果物を多く食べる
  • パンは白パンの代わりに全粒粉パンを自作
の6点です。
乳製品は元々乳糖不耐症のためにそれほど多くは取っていなかったのですが、時々乳糖フリーのチーズやバターやヨーグルトを食べていたので、これを止めたわけです。完全にベジタリアンというわけではなく、魚を食べ、また時々鶏肉や卵も食べるという、「ペスコ・ベジタリアン」もどきの食生活になりましたが、消化不良を起こしたり、下痢したりすることが全くなくなりました。
白米から玄米に替えたのは1年以上前ですが、その効果を実感するようなことはありませんでした。でも子宮がん診断後の食生活チェンジにははっきりと効果が表れています。主に消化器系の問題の解消で、抗がんという観点でどれほどの効果があるものなのかは不明ですが、ハーブティー同様に基礎体力・免疫力を高めるという観点から有意義なことだと解釈しています。
 
 

 


医者が満足する患者?(がん闘病記9)

2017年09月26日 | 健康

あんまり「闘病」という感じがしない日々を過ごしています。先週の3回目の抗がん剤投与の二日後くらいから脚の付け根や腰や脛などが激しく痛み出し、鎮痛剤を服用せざるを得ませんでしたが、土曜日にはもう散歩にも行けるくらい回復しました。歩く際に多少のぎこちなさを感じることはありましたけど。

それ以外の副作用といえば、睡眠障害くらいでしょうか? 平均睡眠時間は5時間くらいで、昼寝することも殆ど無くなりました。

抗がん剤の典型的な副作用といえる吐き気や食欲不振、便秘、その他感染症による発熱など一切ないので、ありがたいことです。

今日は血液検査と担当医の教授との面談でがん専門クリニックに行ってきました。

今回はCVポートの扱いのうまい看護師さんが不在で、ポートからの採血がうまくいかず、仕方なく腕の静脈からの採血となりました。担当した看護師さんはこちらには熟練しているようで、一発でうまくいきました。

血液の解析機にかけてあっという間に結果が出ました。白血球の値がやや低めですが、問題のない範囲。血小板の値も順調に下がっていました。血栓症防止のための注射をしなくなってから大分経ちますが、注射がなくなっても体は順調に手術の傷跡から回復しているということなんでしょうね。

血液検査の後しばらく待ってから担当医教授との面談がありました。私の具合や副作用について聞かれましたが、「関節痛と若干の睡眠障害以外は何もない」と答えると、うんうんと頷いて、「血液も問題ないし、私はあなたに満足してます」とおっしゃっいました。そして11月末までの治療日程を書いたメモを渡してくれました。面談時間は1・2分といったところでしょうか。

なんとなく「そうか、私は医者が満足する患者なんだ」と妙な気がしました。まあ要するに「手間がかからない」という意味合いだとは思いますが。

抗がん剤投与後の1週間弱を除けば比較的元気なので、ずっと就業不能証明書を出してもらって自宅療養しているのには若干気が引けるのですが、2週間働いて1週間休むという働き方も会社の同僚には迷惑な話だと思わなくもないです。

健康保険組合の方からは就業不能証明書に記載されている最後の日付から2日後にきっちりと傷病手当が給付されました。今日が2つ目の就業不能証明書の最終日なので、また2日後には傷病手当が振り込まれていることでしょう。

問題は、会社が出してくれるはずの補助金(固定給と傷病手当の差額)です。うちの会社は月初めの1週間くらいにその月の給与計算をして16日に給与が振り込まれるように処理します。このため、8月分は給与全額が振り込まれてしまって支払い超過となりましたが、9月分は8月分の支払い超過分が情報として記載されているのみで、固定給の支払は無しとなっているところまではよかったのですが、なぜか変額給の一部前払い分(ボーナスの一部が毎月前払いされて年間を通じての月収の安定化が図られている)だけが給付されることになっており、傷病手当への補助金についての記載は一切無しだったのです。長期病欠の社員は初めてというわけでもあるまいに、なんだかやってることが無茶苦茶です。人事サービスに問い合わせたら、「健康保険組合から傷病手当の給付額の通知が来てないので補助金の計算ができない」ということだったので、こちらに来ている通知をスキャンして人事の方にメールで送ることになりました。さてこれで10月分の給与明細で全部修正されて、かつ補助金の給付となるのかちょっと心配です。ルーチンを外れると、修正に2・3か月かかるなんていうことはざらにあるので。。。

傷病手当がもらえるだけでも日本で病気休職している多くの人たちから見たらうらやましいことなのかもしれませんが、もらえる権利があるものはやはりきっちりと回収しておかないと やはり傷病手当だけだとこれまでの月収の55%くらいしかなくて、若干赤字になってしまいます。

さっさと治療を済ませて、できるだけ早く復職したいものですね。

がん闘病記10へ。


唐突ながん宣告~ドイツの病院体験・がん患者のための社会保障(がん闘病記1)

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抗がん剤投与3回目(がん闘病記8)

2017年09月19日 | 健康

 

 

今日(9月19日)は3回目の抗がん剤投与を受けました。これで予定された抗がん剤治療の半分が終わりました。

今回は抗がん剤投与中の問題は起こりませんでした。前回びっくりするようなことが起こったので、また何か起こるのではないかとビクビクしてたのですが、何事もなくてほっとしました。

投薬プランを見ると、抗がん剤投与前の Dexamethason というステロイド系抗炎症剤が8mgから16mgと2倍の量になってました。私は Paclitaxel の点滴速度を下げるのかと思ってたのですが。。。

 

今回の投薬プラン

I Akynzeo 300mg⇒吐き気・嘔吐抑制剤

II Dexamethason 16mg⇒ステロイド系抗炎症剤

III Paclitaxel 300mg⇒抗がん剤

IV Carboplat(=カルボプラチン)500mg⇒抗がん剤

V 生理食塩水 100㎖

VII Emend⇒吐き気・嘔吐抑制剤(3日間治療)

とにかく、Dexamethason 増量のおかげなのかどうは知りませんが、Paclitaxel の点滴中になんら危ない症状は現れず、CVポートの抵抗が一時的に強まって点滴ポンプが止まるという些細な問題だけでした。何度か姿勢を正して解決しました。ただこの際のクリニック側の応対はよろしくなかったですね。ちょうど朝番の優秀な看護師が帰り、引継ぎで来た若手看護師がとろかったというか。点滴ポンプが止まるとピーピーとアラームが鳴るので、これを聞きつけた看護師はすぐに飛んで来ないといけないはずなんですが、来なかったので、患者用にそれぞれの席に常備されているナースコール用ベルを鳴らしたんです。しかも3回。それでようやく若手看護師がやってきた。点滴ポンプがただ止まっただけなので、大事に至ることはありませんが、これがもし患者の様態の急変などの緊急事態だったら大変です。同室に居た他の患者さんが「とんでもないわ」と怒ってました。そのおかげで私自身の怒りというか不満はむしろ引っ込んでしまったのですが。推測ですけど、多分先にポンプのアラームが鳴ったので、私のナースコールもそのアラームのせいと解釈、つまり「緊急事態じゃない」という解釈をしたから看護師さんは先に片づけるべきことを片づけてから来たのだろうと思います。希望的観測かもしれませんけど。

クリニックには朝8時から午後1時過ぎまで拘束されてました。心拍数を測れるFitbitの記録によると、うち9:22~10:37は寝落ちしていたようです。

帰宅後は取りあえず温かいお茶を飲んで、3時間近く爆睡しました。それでもすっきりとはならずに倦怠感が残ってますが、食欲は結構あり、おやつも晩ごはんもそれなりの量を食べたと思います。

前回は関節痛やかゆみなどの副作用が抗がん剤投与2日目以降に出ましたけど、今回はどうなることやら。寝込んで動けなくなるようなことは前回もなかったので、今回もそんな感じでそこそこ元気に平穏に過ごしたいですね。

がん闘病記9


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抗がん剤投与2回目(がん闘病記7)

2017年08月30日 | 健康

 

8月29日に2回目の抗がん剤投与を受けてきました。朝の8時にがん専門クリニックに行き、出てきたのは午後2時。

投薬プランは基本的に前回と同じでしたが、Emend という吐き気予防の薬は前回と違って抗がん剤投与前にもらって、服用しました。前回は薬が届くのが遅れて後付けになってしまったようです。

今回は残念ながら平穏無事には済みませんでした。Paclitaxel 300mgという抗がん剤の点滴が始まってしばらくすると、急に妙な咳が出て、おやっと思っている間に腰が痛みだし、世界がグルグル回り、動悸が激しくなり、息が止まるのではないかと思えるほど苦しくなって、死ぬんじゃないかとびっくりしました ( ゚Д゚)

すぐに看護師さんに知らせて点滴を止めてもらいました。

「深ーく息を吸って、吐いて、吸って、吐いて」という看護師さんの指示に従って呼吸をしている間にだいぶ楽になりましたが、血圧も高く、脈拍数も高いままでした。腰の痛みもすぐには取れませんでした。すっ飛んできたドクターが、生理食塩水の点滴の後に血圧が正常値に戻ったら、抗がん剤の点滴を半分の速度で再開するように指示しました。

抗がん剤点滴再開後、30分位経ってから点滴速度を上げ、またしばらくして元の速度に戻しましたが、それで問題は起こらずに済みました。猛烈な眠気に襲われはしましたが。「寝てていい」という看護師さんの言葉に甘えて、座ったままで1時間ほど爆睡してました。( ̄∇ ̄;)

今回持たされた薬は Emend のみで、他の吐き気対策用の薬 MCP や便秘薬の Movicol N2 は渡されませんでした。便秘薬は前回頂いたのがたくさん残っているので問題はないですが、MCP はどうなんでしょうね。飲まなくて済むならそれに越したことはありませんが。

点滴中に問題が起こった割には、投薬が終了した後の体の状態は比較的よく、お迎えの車のところまで階段を登って行くのもそれほど億劫には感じられませんでした。また帰宅後は、本当はすぐに寝たかったんですが、軽くパイナップルを食べた後、急ぎの小さい翻訳依頼(340語)が入っていたので、それを1時間弱で片づけてからようやく就寝。1時間ちょっと寝てから、また軽く食べて、メールを読んだり、フェースブックをやったりして、また夜の8時少し前位から10時くらいまで寝て、またフェースブックやったり読書したりして、夜中にまた寝るという感じでした。

その翌日の今日は、すでに散歩に出かけられるほど回復しました。

前回の抗がん剤投与後3-4日やたらと寝ずにはいられなかったのは、抗がん剤だけでなくてその前に受けた手術の疲れがまだあったのかも知れませんね。毎回寝込まずに済むなら、それはうれしい。


さて、治療手帳(Therapie-Pass)に記入される血液値が気になったので調べてみました。記入されているのは、Hb(ヘモグロビン、赤血球)、Leukozyten(白血球)、Thrombozyten(血小板)の三つ。

こうして見ると、白血球以外は正常値の範囲外にあり、ヘモグロビン濃度からすると、私は若干貧血気味で、血小板数は多すぎということになります。ただし、血小板増加症(Thrombozytose)と呼ばれるのは500,000以上の時らしく、私のは手術後間もない8月8日の値でも455,000だったので問題なし、ということみたいですね。その後は下がって来てますし。これも毎朝注射している血栓症予防薬 Clexane のおかげですかね。注射の手際がだいぶ良くなってきましたが、それも来週で終わりになります。

がん闘病記8


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2017年08月26日 | 健康

会社を病欠して、早いもので6週間経ちました。最初の抗がん剤投与から2週間で髪が抜け始めました。脱毛が始まってから4日目で、もう傍目にも分かるほど髪が薄くなってます。正確には毛根近くで「切れる」だけなので、いわゆる脱毛症のような不可逆性のものではなく、抗がん剤投与が終了すればまた普通に生えて来るそうなので、この点に関してはそうショックを受けてません。前述のようにかつらはすでに用意してありますし。

さて、私は6月26日から7月3日まで最初の子宮掻爬術で会社を休んで、次の7月17日の大手術までは普通に働き、7月17日から今に至るまで病欠しているのですが、「病欠初日」がこの場合6月26日になるのか7月17日になるのか定かではなかったのですが、昨日会社から分厚い手紙が来て、6月26日~7月3日の病欠もいわゆる「病欠時の賃金継続支給(Lohnfortzahlung im Krankheitsfall)」期間である6週間のうちにカウントされ、8月19日をもって給与支払いが停止するとのことでした。そのお知らせの他8ページに及ぶ長期病欠にまつわる決まりごとの情報が添付されてました。

前に「ドイツにおけるがん患者のための社会保障」でも書きましたが、病欠6週間を経て、43日目以降は健康保険組合の方からそれまでの税込み給料の70%が傷病手当として病欠初日から数えて最長78週間支給されます。ただし、健康保険料の計算ベースとなる給料が傷病手当の計算ベースとなります。通常健康保険料は、税込み月収の約15.5%(労使総額)と定められていますが、52,200ユーロ(2017年度)を超える分の月収には保険料が控除されます。このため、限度額を超える月収がある場合、傷病手当は税込み月収の70%ではなく、限度額52,200ユーロの70%、月額3,045ユーロまでしか支給されないことになります。この額から更に年金保険料、失業保険料、介護保険料が差し引かれることになります。


健康保険組合からは8月19日に分厚い手紙が届き、傷病手当申請書が添付されてありました。申請手続きがオンラインでもできるようにコード番号とパスワードが記載されていたので、オンラインで手続きを済ませました。あまりのスムーズさにびっくりです。

その健康保険の手紙の中に、会社によっては固定給与と傷病手当の差額を補助金として出すこともあるので会社に問い合わせるように書いてありました。私の会社は、私が問い合わせるまでもなく、給与停止の知らせと共に補助金に関することも知らせてくれ、私の方から特に手続きをする必要がなく、自動的に給付される旨が書かれてありました。なんというか、手厚いですね。

ちなみにその補助金給付の期間は、うちの会社では勤続年数によって変わります。

  • 勤続年数4年以上:病欠初日から数えて12週間
  • 勤続年数8年以上:病欠初日から数えて18週間
  • 勤続年数12年以上:病欠初日から数えて26週間

私の勤続年数は12年以上なので、現在進行中の化学療法が終了した後に職場復帰すると仮定すれば、補助金支給期間26週間でカバーされるため、がん治療による減収がかなり少なくて済みます。実際どうなるかは分かりませんけど、取り敢えずこの半年間は働かずして給料全額が保障されることは確かなので、経済的には安心です。変動給与分(15%)は諦めなくてはなりませんが。この会社からの補助金がなくなると、変動給与分どころか、保険料算出限度額を超える分全額と限度額の30%が欠けることになるので、かなり厳しい状況になりますね。。。

こうした傷病手当に対する補助金給付は業種別労働組合と会社側で締結する労働協約によって規定されているため、労働協約に参加している会社ならば給付期間や条件に多少の差はあるものの、補助金自体は給付することになります。労働協約に不参加の会社は大抵が労働協約の定める給料を払う余裕のない零細企業ですが、比較的大きな企業でも労働協約不参加のところはあるにはあります。そういうところでは補助金のような温情的な人件費はまず拠出しないと考えて良さそうです。

ただ6週間の賃金継続支給は賃金継続支給法(Entgeltfortzahlungsgesetz)に定められた雇用者の義務なので、労働協約に不参加でもこれは免れられません。払わないのは違法行為です。

がん闘病記7


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え、緑茶は膀胱がんのもと?(がん闘病記5)

2017年08月15日 | 健康

今日は血液検査のためにがん専門クリニックへ行ってきました。

採血はCVポートで試してダメだったので、腕の静脈から。今日は上手な人で、一発で当たり、痛みも殆どありませんでした。

血液の方には全く問題ないそうで、その点では今のところ抗がん剤に対して問題ある反応をしていないと言えます。

ドクターとの面談で、副作用のことなどを話しました。肌のかゆみやかぶれやすさなどは、抗がん剤 Paclitaxel に含まれるイチイの植物毒によるもので、取りあえず我慢するしかないとのことでした。関節痛もその副作用の一つですが、ひどくなったらイブプロフェンなどの鎮痛剤を服用していいと言われました。

また抗がん剤点滴後は普段以上に水分を取ると循環器系の問題も起きにくく、「起き上がれない」、「だるい」といった症状が緩和されるとのことです。次回の点滴は8月29日なので、そのあとは気をつけることにしましょう。

こうして話が水分に至ったところで、私がよくお茶を飲んでいることを伝えると、「緑茶ばっかりじゃないでしょうね?」と質問されてちょっと驚きました。「お茶は、緑茶や様々なハーブティーまたはジンジャーティーなど色々だし、水もよく飲む」と答えると、彼はうんうんとうなずいて「それでいい」と言い、「緑茶ばかり飲んでると膀胱がんになるからね」と衝撃的なことをのたまいました。

今まで緑茶は健康にいいと思っていたのでビックリ( ゚Д゚)

でもがん専門医が言うことならそれなりに根拠があることなのでしょう。

調べてみると、緑茶に含まれる没食子酸エピガロカテキン(Epigallocatechin gallate、EGCG)は強力な抗酸化活性を示すため、がん治療に有益とされる一方で、この活性ゆえに発がん性の可能性もあるというようなことを見つけました。直接に膀胱がんに関する記述は見当たりませんでしたが、がん専門誌などにそういう報告があったのかも知れませんね。

何事も「過ぎたるは猶及ばざるが如し」。

がん闘病記6


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