『大人の語彙力が面白いほど身につく本』の1と2も今年出版されたばかりの新しい本です。
『大人の語彙力が面白いほど身につく本』レベル1(2017年2月発行)の目次は以下の通りです。
Step 1 言葉を正確につかむのが、語彙力の基本です
Step 2 その「書き間違い」、語彙力を疑われます
Step 3 語彙力アップの鍵は「言い間違い」をしないことです
Step 4 あらたまった言葉を使えれば、大人として一人前です
Step 5 カタカナ語を「武器」にすると語彙力は面白いほど上がります
Step 6 言葉の使い方が魅力的な人は上手に「たとえ」を使っています
情報量が多く勉強にはなりますが、索引がないので辞書的な使い方はできず、また語彙の分類も言葉の意味や使用状況によって分類されているわけではないので、いざという時に特定の言葉を確認するのには不向きです。
また「面白いほど身につく」というタイトルに相応しい教育学的な工夫が凝らされているわけではなくただの羅列なので、「身につく」ほうに期待していると失望せざるを得ません。身につけるには、この本を何度も読むか自分なりのノートなりカードなりを作成して学習する必要があります。もちろん一度見ただけで何でも記憶できる方は別ですが。
『大人の語彙力が面白いほど身につく本』レベル2(2017年9月発行)の目次は以下の通りです。
Step 1 たった一つの読み間違いであなたの日本語が台無しです
Step 2 大人になると、言い間違えても誰も指摘してくれません
Step 3 これを言うだけで、「言葉を知らない人」と思われます
Step 4 意味をおさえないと痛い目にあう日本語です
Step 5 人の品性は書き間違いひとつにあらわれます
Step 6 書き間違いひとつで、あなたの教養がはかられています
Step 7 カタカナ語を使うならこのポイントは外せません
Step 8 大人社会では、言葉を武器にするしかありません
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レベル2も1と同じことが言えます。索引がないので辞書的な使い方はできません。
私にとって参考になったのは、最近変更された外来語や外国名・地名表記法やひらがなで書いた方がいい言葉、そしてレベル1・Step 6の比喩のつくり方やレベル2・Step 8の中の【ご】のつく上級敬語などです。
掲載内容の中でそれは一般的な「大人の語彙力」には属さないのではないかと疑問に思ったのが、アナウンサー泣かせの言葉やプロのライターなら間違えてはいけない書き方でしょうか。知っていれば「通」なのかもしれませんけど、他の重要な語彙や表現と並べて記載することではないように思います。本の構成が基本的に語彙の「羅列」なので余計に「情報のごった煮」のような印象を受けます。
国語に関する世論調査でどの言葉がどれほどの割合の人に本来の意味ではない解釈がされているかを取り上げた章(レベル1、38-42)は、非常に興味深く読みました。言葉というものは時の流れと共にその意味や形状が変わったり他の言葉に取って代わられたりするものですが、まさにその変化の最中の言葉が捉えられるというのは貴重な情報だと思います。変化が完了していない言葉に関しては、本来の意味と現在優勢になりつつある意味の両方を知っていると、コミュニケーションの際に誤解を少なくする一助となると思います。
因みに私はそこに挙げられていた言葉の中で、新しい解釈をする人の割合が50%以上あった言葉のほとんどを、新解釈の方で理解・使用していました。これはつまり、意味の変遷が、ここ20年くらいのことではなく、もっと以前から始まっていたということなのでしょうね。
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