『チャイナ・オレンジの秘密』(1934)は国名シリーズ第8弾で、切手・宝石収集家として知られる出版業者のオフィスで身元不明の男が殺され、来ている服が後ろ前でしかも2本の槍がクロスするように刺さった状態で発見される話です。現場は家具も向きが反対になっており、「あべこべ」が事件のキーワードになります。
この作品の珍しい所は、被害者の身元が最後の詰めになるまで分からないことです。このため動機の面から犯人を探ることが困難を極めます。エラリイ・クリーンも見当違いの「あべこべ」探しにかなり翻弄されます。
例の読者への挑戦の文が挿入されていましたが、相変わらず私にはさっぱりでしたね(笑)
半密室にする(一方の出入り口の閂をかける)目的で使われたトリックも現実味があるのかないのか私には理解できないままでしたが読みごたえはありました。
国名シリーズ
書評:エラリイ・クイーン著、宇野利泰訳『ローマ帽子の秘密』( ハヤカワSF・ミステリebookセレクション)
書評:エラリイ・クイーン著、宇野利泰訳『フランス白粉の秘密』(ハヤカワSF・ミステリebookセレクション)
書評:エラリイ・クイーン著、宇野利泰訳『オランダ靴の秘密』(ハヤカワSF・ミステリebookセレクション)
書評:エラリイ・クイーン著、宇野利泰訳『ギリシャ棺の秘密』(ハヤカワSF・ミステリebookセレクション)
書評:エラリイ・クイーン著、青田勝訳『エジプト十字架の秘密』(ハヤカワSF・ミステリebookセレクション)
書評:エラリイ・クイーン著、大庭忠男訳『アメリカ銃の秘密』(ハヤカワSF・ミステリebookセレクション)
書評:エラリイ・クイーン著、青田勝訳『シャム双生児の秘密』(ハヤカワSF・ミステリebookセレクション)
悲劇シリーズ
書評:エラリイ・クイーン著、宇野利泰訳『Xの悲劇』(ハヤカワSF・ミステリebookセレクション)
書評:エラリイ・クイーン著、宇野利泰訳『Yの悲劇』(ハヤカワSF・ミステリebookセレクション)
書評:エラリイ・クイーン著、宇野利泰訳『Zの悲劇』(ハヤカワSF・ミステリebookセレクション)
書評:エラリイ・クイーン著、宇野利泰訳『ドルリイ・レーン最後の事件~1599年の悲劇』(ハヤカワSF・ミステリebookセレクション)