『日本史で学ぶ経済学』はタイトルから想像できるように日本の歴史上の経済現象を振り返り、今日のプラットフォーム経済や仮想通貨経済などの現象との本質的な共通点を探り、注意点や今後の展望のヒントを与えようとするものです。
目次
はじめに ―経済学のレンズで歴史を学ぶとビジネスのヒントが見えてくる
基礎編
第1章 貨幣の経済学(なぜ鎌倉・室町時代に中国千が流通したのか?他)
第2章 インセンティブの経済学(日光電気製銅所の「働き方改革」ー金銭的インセンティブ他)
第3章 株式会社の経済学(株主と経営者のインセンティブ関係ー所有と経営の分離他)
応用編
第4章 銀行危機の経済学(なぜ銀行危機が起こるのか?ーゲーム理論による分析他)
第5章 取引コストの経済学(三井高利と荻生徂徠の共通点ー取引コストの正体他)
第6章 プラットフォームの経済学(商人と座の誕生ー日本の「商売」の原点」他)
第7章 教育の経済学(明治・大正時代の小学校教育ー教育と経済成長の関係他)
学校の授業で、または受験勉強の一環で学ぶ日本史はデータの詰め込みに偏りがちで、社会情勢・経済の変遷の流れがほとんど分かりませんが、本書を読むことで、例えば戦前の財閥と戦後の系列の違いや、徳川吉宗の享保の改革が取引コストを削減する構造改革だったことや、織田信長の楽市楽座が商人の誘致のための法整備と治安の提供であったこと、これが基本的にはアマゾンやメルカリなどのプラットフォーム・ビジネスと同じであることなどが見えてきて、ただの歴史用語だったものが立体的に捉えられるようになります。