徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

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書評:辻村深月著、『ふちなしのかがみ』(角川文庫)

2018年05月14日 | 書評ー小説:作者サ・タ・ナ行

『ふちなしのかがみ』は都市伝説や怪談、おまじないや占いなどをテーマにした短編集で、収録作品は「踊り場の花子」、「ブランコをこぐ足」、「おとうさん、したいがあるよ」、「ふちなしのかがみ」、「八月の天変地異」の5編です。

学校の階段にいて、そこを熱心に掃除すると現れるという「花子さん」が一番完成度の高い怪談で、確かに「どっかで聞いたような話」という既視感はあるのですが、類似性があるだけで同じものではない新しいストーリー。実は一番怖いと思いました。トイレに行けなくなるほどではありませんが(笑)

「おとうさん、したいがあるよ」と「ふちなしのかがみ」は結局どういうことなのかいまいち理解しづらい不思議なお話ですが、先が気になってついつい読まされてしまう感じの短編です。

「ブランコをこぐ足」は「こっくりさん」の変形である「キューピット様」をよくやっていた女の子がいきなり勢いよくこいだブランコから飛んで死んでしまい、「呪い?」と噂される話。クラスメートなどの証言が集められて構成されてますが、私にはただ単にその子が自分の役割(キューピット様を呼び出す役)に嫌気がさして自殺したんじゃないかと思えます。

「八月の天変地異」は小5の男の子が自分のクラスでの相対的地位が低いのを苦にして、見えない友だちを作り出して自慢してしまい、それが自分の空想であることがばれないように天変地異を神様に願っているお話です。これもなんとも不思議なお話しですが、優しさに溢れたいい印象を受けました。

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