朝日文庫
2020年10月 第1刷発行
解説・冲方丁
280頁
上意討ちにあった豊後安見藩一門衆筆頭の佐野了禅
医師の伊都子は目付方の密命を帯び、佐野家の女人たちが暮らす白鷺屋敷に送り込まれます
しかし、そこでは不審な死が相次ぎ…
了禅の過ちが引き起こした悲劇から自分たちを守ろうと画策する、了禅の妻、長男の嫁と娘、次男の妻、2人の女中、そして伊都子
読者は伊都子のモノローグに導かれながらあれこれ想像を巡らし事件の真相に近づいていきます
ここに描かれる武家の女の生きざま、特に了禅の妻と次男の妻が哀れでなりませんでした
人ではなく家に嫁すものと見做されていた婚姻制度が何だかねぇ
誰しもが自分の思い通りに、ありのままには生きられない
ただ、もがき続けるだけなのだ
いつも葉室作品で味わう爽快感とはほど遠い結末でした
ただ、伊都子が人として医師として優れた人物になるであろうと想像されるあたりには救いがありました
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます