新潮文庫
1975年7月 発行
2010年7月 53刷改版
2011年12月 56刷
解説・久保田正文
258頁
黒部第三発電所
昭和11年8月着工
昭和15年11月完工
人間の侵入を拒み続けた嶮岨な峡谷の岩盤最高温度165度という高熱地帯に隧道(トンネル)を掘鑿する難工事であり犠牲者は300余名を数えた
トンネル貫通への情熱にとり憑かれた男たちの執念と、予想もつかぬ大自然の猛威との対決
極限状態における人間の姿を見事に描いた記録文学
昭和30年代の黒部川第四発電所の工事の様子を描いた「黒部の太陽」は有名ですが、それ以前にこのような工事が行われており、多大な命が失われたことを初めて知りました
戦時中、電力供給を増やすため無理を承知で進められた工事
国策に従わざるを得ない建設会社と現場監督
仲間の死を目の当たりにしながらもお金の為に過酷な現場で黙々と働く人夫たち
高温になるトンネルの中で作業を進めるために次々と産み出されるアイデア
うまく進むかと思った矢先、あざ笑うかのように彼らを襲う自然の猛威
どこまでが事実なのでしょう
淡々と記録を綴る部分と実写部分をうまく繋いでおり、そこから伝わってくる熱気と迫力に圧倒されました
あんぶろじぁさんの譬え、誉めていることになってると思います!
をかじった記憶があります
本当の話を嘘っぽく書いたり
創作を本当っぽく書いたり…
"日本のマイケル・クライトン"みたいな貴重な作家です(←これでは誉めてるかどうかあやふや…)