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川上健一「宇宙のウインブルドン」

2020年09月21日 | か行の作家
集英社文庫
1988年7月 第1刷
2016年6月 第6刷
344頁

杉本宇宙(うちゅう)、17歳
彼の野望はサーブ1本だけでウインブルドンで優勝すること
そのために毎日サーブの練習だけをしています
そして、ジャパンオープンで優勝、とうとうウインブルドンに出場し、並居る世界の強豪たちを次々負かしていくのでした

宇宙がサーブ以外は得意ではない、という設定ならまだしもストロークもボレーも全くできない、それなのにウインブルドンで優勝してしまうというのは全く現実味に欠けていて面白くもなんともない小説でした
登場人物たちの名前は、実在のテニスプレーヤーの名をおふざけにもじったもので、心理描写などからも彼らへの尊敬がみられないし、宇宙の性格も17歳とはいえ軽薄で大人をバカにしてオレが一番なところばかりが目について不愉快でした

先日、大阪なおみの優勝で幕を閉じた全米オープン女子シングルスを見ていて、サーブだけで進む試合など、さぞやつまらないだろうと想像してしまいました

本書が発表された1980年代半ばのテニス界のことはよく分かりませんが、こんな小説が成り立つ雰囲気があったのかしら

宇宙のウインブルドンが全て宇宙の頭の中での妄想だったとかアニメだったならまだマシかもしれませんねぇ
これまで読んだ川上作品に当たりはずれはありましたが本作は最低です…




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