「ムッシュ・アンリと私の秘密」
原題 L’ETUDIANTE ET MONSIEUR HENRI
英題 THE STUDENT AND MISTER HENRI
2015年 フランス
【ムービープラス】
偏屈な老人、アンリ(クロード・ブラッスール)と彼のアパートの空き部屋に下宿することになった女学生、コンスタンス(ノエミ・シュミット)が織りなす奇妙な交流を描いたヒューマンコメディ
何をやっても上手くいかず、市場で働く父親(ギョーム・デュ・トンケデック)にも認められないで鬱々とした日々を過ごすコンスタンス
奮起一番、パリの大学への進学を目指し家を出て下宿先を探します
家賃がネックになりなかなか見つからず困っていたところ、アンリ老人がある条件と引き換えに無償で部屋を貸してくれることになります
その条件というのは、老人の息子の結婚を破綻に追い込むというもの
気が進まないながらも背に腹は代えられず条件をのみます
アンリ老人は最初の印象ほど偏屈ではなく優しい面を併せ持っています
逆にコンスタンスが案外厚かましくて今どきの若者らしい面をみせます
情けない息子と鬱陶しい嫁
アンリ老人の指示通り色仕掛けで息子に近づくコンスタンスですが、ある事実が分かって…
4人の絶妙な絡みが面白可笑しいです
自分のことを何の取り柄もない人間と思い込んでいるコンスタンスの背中を強力に押してくれるアンリ老人
結局、その後押しも報われることなく終わってしまうのですが、アンリ老人が遺した手紙を読んだコンスタンスは新たな一歩を踏み出そうとします
ベタな物語ですが、心がほっこりする温もりのある作品でした

「ジェナンドー河」
原題 SHENANDOAH
1965年 アメリカ
【BSプレミアム】
南北戦争の激戦地、シェナンドー河畔で農場を営むアンダーソン一家
彼らは世帯主のチャーリー(ジェームズ・ステュアート)の考えで南北どちらにも加担せず中立を保っていました
しかし、ある日、末息子のボーイが偶然、軽い気持ちで被っていた南軍の帽子を見咎められ、北軍に連れ去られてしまいます
チャーリーは長兄のジェームス一家を残して他の息子たち、娘と共にボーイを取り戻しに向かいます
希望は少ないとわかっていても強いリーダーシップで子供たちを励まし続け、ついにボーイを見つけるのですが、勘違いで発砲した南軍の少年兵により息子の一人を射殺されてしまいます
少年兵に対し怒りをぶつけるのかと思いきや、「大人になって、もし自分の息子が殺されたら私を思い出せ」と説教するチャーリー
ようやく自宅に戻ったチャーリーたちでしたが留守宅を守っていたはずのジェームズと妻の姿はそこにはありませんでした…
ボーイが南軍の帽子を被っていなければアンダーソン一家にこのような悲劇は起こらなかったのでしょうか
戦争の理不尽さ、残虐さ、悲しさが強く印象に残りました

「鉄道員」
原題 IL FERROVIERE
1956年 イタリア
【BSプレミアム】
第二次大戦後のイタリアで鉄道員として働く初老の父親・アンドレア(ピエトロ・ジェルミ)とその家族の姿を幼い末っ子・サンドロ(エドアルド・ネヴォラ)の視点を通して描きます
厳格過ぎて長男と長女からは敬遠されているアンドレア
仕事の後まっすぐ帰宅することはほとんどなく、閉店まで酒場で飲んで歌って酔いつぶれ、家に帰っては妻や長男、長女を怒鳴りつけたり暴力を振るうような父親ですがサンドロにとっては英雄です
しかし、運転中の踏切事故、スト破り、長男の家出、長女の不倫騒動など、不運な出来事に見舞われ続けるアンドレアは酒に溺れるようになり家にも戻らなくなります
サンドロの腐心で家族との和解の兆しもみえてきますが、病がアンドレアの体を蝕んでいました
英雄とはほど遠く、自分勝手で家族への尊敬も持ち合わせないアンドレアですが、彼は彼なりに誇りをもって一生懸命生きたのでしょうね
カルロ・ルスティケッリによる有名すぎる音楽は知っていましたが映画を観るのは初めてです
名作といわれるのに納得です
時間をおいて再度鑑賞して、自分の感想が変わるのか、変わらないのか確認したいです

「潮風のいたずら」
原題 OVERBOARD
1987年 アメリカ
【シネフィルWOWOW】
ヨットから海に転落し記憶喪失になった大金持ちで傲慢な夫人(ゴールディ・ホーン)
彼女に嫌な思いをさせられた大工の男(カート・ラッセル)は、復讐とばかりに自分が夫だと偽って彼女を家に引き取り、家事や子供の世話をさせます
疑問を感じながらも家族の面倒をみていき、男や子供たちを愛おしく思うようになります
傲慢やるかたない女性が、性格美人に変わっていく様が気持ちよかったです
結末は予定調和ですが、それでいいのです
(#^^#)

「ライトスタッフ」
原題 THE RIGHT STUFF
1983年 アメリカ
【ムービープラス】
1953年から63年にかけて実施されたアメリカ初の有人宇宙飛行計画=マーキュリー計画の飛行士に選ばれた7人の男たちの友情や苦悩と、1947年に人類で初めて音速の壁を破った孤高の戦闘機パイロット・イエガーの生き方を対照的に描きます
原題の意味は『正しい資質』
それに尽きる内容です
多少の違いはあれど国中の脚光を浴びる7人のパイロットたち
対して、宇宙ではなく地球で地道に音速の壁に挑戦し続けるイエガー
ラストで描かれる彼の姿が、言いようのない余韻を残し本作の価値を高めています
ゆったりしたBGMと宇宙から見た地球、夜明け、満月etcの画像の美しさも素晴らしかったです

※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます