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夏川草介「臨床の砦」

2024年08月06日 | な行の作家


小学館文庫
2022年6月 初版第1刷発行
263頁

「自分だけが辛いのではないと思えば、踏みとどまる力が生まれる」

2020年の年末から新型コロナ感染者が急増し、医療従事者の体力は限界を超えていました
現場の印象は医療崩壊ではなく医療壊滅
長野県の感染症指定医療機関、信濃山病院に勤務する内科医・敷島寛治を主人公に、未知のウィルスとの闘いに挑んだ医療従事者たちを描きます

当時の感染者、医療従事者たちへの理不尽な誹謗中傷は、現在開催されているパリオリンピックでの選手たちへの攻撃と同じ
どうしてそのような無責任な行動が取れるのか全く理解出来ません
想像力の欠如、関心を寄せているようで実は無関心の裏返し、自分は安全地帯にいるという勘違い
そんな中で逃げずに必死に患者たちを守ろうとした医療従事者たちの勇気と使命感には本当に頭が下がります
現役医師である夏川草介さんだから描けた世界です

当たり前だと思っていた日常を突然破壊し、命を奪い去り、別れの時間さえ与えない新型コロナウィルス感染症
数年後か数十年後か、また新たな感染症が人類を脅かす日が来るのでしょうね…





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