時代小説文庫(ハルキ文庫)
2017年8月 第1刷発行
271頁
着物始末暦シリーズ第9巻
着物の始末屋・余一が着物から人の心を読み取り困りごとを解決していくシリーズ
大隈屋の若旦那・綾太郎は朝からうんざりしています
西海天女と呼ばれている唐橋花魁が吉原で最後に着る打掛を大隈屋で作ったことが江戸中の噂となり、それを一目見ようと客が押しかけてきたからです
唐橋に恨みを持つ札差の澤田屋や井筒屋江戸店店主・愁介がつけ狙う名か、唐橋の最後の花魁道中は無事に終わるのでしょうか
「師走の嵐」「白に染まる」「道中の行方」「寿の袖」
夫婦になって半年、お糸に子が宿ります
子が出来たことで余一にも変化が
甘い父親になりそうなのでお糸は厳しい母親になる、と微笑ましい二人です
子宝祈願の山王様で会った尼僧は想像通り、余一の母親のことを知っており、余一の産みの母は赤ん坊を慈しんでいたこと、余一の名前は、“余った一”ではなく“我ひとり”という意味だと知らされたお糸は、余一はもう“我ひとり”ではなく家族がいると話します
惚れ合って一緒になった二人がいよいよ本当の家族になっていけそうで嬉しくなります
唐橋花魁の打掛騒ぎで大活躍の六助
井筒屋の仕返しから六助を庇った千吉
千吉の世話に暇ないおみつ
経営が左前と噂される井筒屋は江戸店を畳むのか
千吉とおみつの関係に変化はあるのか
綾太郎は呉服店の若旦那として益々頼もしくなってきて、あとはお玉との間に子ができれば、ですがこればかりは…
読み始めた頃はほどほどの小説と思っていましたが、気づけば登場人物たちがどんどん魅力的になってきて次が楽しみで仕方なくなっていました
と思ったら残り1冊でシリーズ完です
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