祥伝社
2011年11月 初版第1刷発行
2012年1月 第7刷発行
327頁
直木賞受賞作
葉室さんは、これでもう直木賞候補にならずに済む、と仰ったとか
芥川賞で、くれるというなら貰っておく、という誰かさんに比べれば遥かに「大人」ですね
江戸時代後期
豊後・羽根藩の奥祐筆・檀野庄三郎は城内で些細なことから刃傷沙汰を起こしてしまうが、からくも切腹を免れ、向山村に幽閉中の元郡奉行・戸田秋谷の元へ赴き、監視、報告するよう命令される
秋谷は、7年前のある事件で、家族とともに向山村に幽閉、家譜編纂と10年後の切腹を命ぜられており、庄三郎がやってきた時、秋谷に残された時間はあと3年となっていた
秋谷に不穏な動きがあれば即斬り捨てるつもりで向山村にやってきた庄三郎だったが、秋谷の静謐な人となりに触れ、考えを改め始める
秋谷は無罪なのではないか?
決して派手ではない物語ですが
武士の生き様を中心に、藩内の政争、この時代を生き抜く百姓たちの力強さ、悲しさ、さらにロマンスや友情
人間ドラマが盛りだくさんに詰め込まれ、読者を厭きさせません
また田舎の風景描写の美しいこと
冒頭
山々に春霞が薄く棚引き、満開の山桜がはらはらと花びらを舞い散らせている
もう読むのを止める事は出来ません
帯に「心ふるわす、感涙の傑作」とあります
ずっと読んできて、確かに素晴しいとは思ったのですが、涙は出ませんでした
となるはずが、何と最後の最後の1頁で涙が…
あぁ~、なんという作品でしょう
時代物がお好きな方に特にお薦めです
トラックバックをありがとうございました。私もつい先ごろ本書を読み終えたばかりです。なかなかおもしろく読みました。
訪問&コメントありがとうございます。
葉室さん、「銀漢の賦」に続いてまだ2冊目ですが、これからも読んでいきたい作家さんの一人になりました。
ラジオドラマだとどんな雰囲気になるのでしょうね。
φ(..)メモしときました♪
私はこれまで時代物は、宇江佐真理さんくらいしか読んでいなかったので、これを機会に少しづつ幅を広げていこうかなと思います。
いつまでも時代小説が廃れないわけが、今作を読んでわかったような気がします。お侍や、古の人々の凛として美しい魂に、日本人の原点を見ようとするのでしょうね。実際にそうだったkどうかは別として・・・。確かに渡しもハマって行きました。
賞を取るとか、皆が良いと思う作品はやはり良いです。(^_^)
ハムリン先生は西南学院大学での学生時代は俳句部と映画研究会だったそうですから素晴らしいシナリオに仕上がっていることでしょう。今から封切りが楽しみです。
期待が持てそうです。
大いに期待したいです!