幻冬舎文庫
2012年8月 初版発行
2017年11月 23版発行
文庫化によせて・吉永小百合
319頁
書簡形式の連作ミステリーです
面白い設定で湊さんの力量が窺えます
「十年後の卒業文集」
高校の放送部で一緒だった仲間たち
部長だった浩一と副部長だった静香の結婚式で久しぶりに再会します
その後、高校時代のあの事件の真相はどこにあるのか?
卒業後、地元に残ったあずみと、東京へ出て結婚後は夫の赴任先の海外で暮らすことが多い悦子の間で書簡が交わされます
「二十年後の宿題」
高校教師の敦史は定年を迎えた小学校時代の恩師の依頼で、彼女のかつての教え子六人に会いにいき、その結果を報告するという形で書簡が交わされます
六人と先生は二十年前の不幸な事故で繋がっていて五人目までは会って話を聞くことが出来たのですがどうしえも六人目が会ってくれそうもありません
「十五年後の補習」
中学時代の万里子と3人の男子生徒、純一、一樹、康孝が絡んだある事件
当時の被害者・万里子と彼女を助けた純一は恋愛関係にあり同棲中ですが純一が国際ボランティア隊としてP国に行くことになります
赴任先は停電することが多いことから手紙でのやり取りが始まりました
手紙が届くのにおよそ25日かかります
その時間と距離が、手紙という手段を使うことで縮まっていくのでした
松下奈緒さん主演のドラマを観て原作を知りました
ベースとなる中学時代の事件は同じですがかなり脚色されていました
ドラマはイマイチでしたが原作は良かったです
そもそもドラマ化が難しかったのかもしれませんね
「一年後の連絡網」
「十五年後の補習」の純一と同期の国際ボランティア隊員、正晴とT国へ派遣されている亮介の手紙のやり取りです
その中に、純一を訪ねて来た女性がいた話が出てくるし、亮介の近所に「二十年後の宿題」の登場人物の一人が住んでいるみたいで思わずニヤリ^^
正晴から亮介への手紙の最後に『手紙は大きな活力源』と書かれていて、メールは便利でいいけれどたまには手紙を書いてみるのも良いかな、など思いました
巻末の「文庫化によせて」を読んで吉永小百合さん主演の映画「北のカナリア」は「二十年後の宿題」を原案としたものと知りました
映画で自分が演じられる役となかなか出会えないと思っていたところ本作に出会えた、と仰っています
『自分が演じられる役』とはどういった意味なのでしょう!?
大女優は仰ることが違いますね~(*_*)
私はあまり好きではなくて…
実績のある素晴らしい女優さんとは思うのですが、何を演じても『私は吉永小百合よ!』って感じがして鼻につくんです
それほど美人とも思わないし…
湊さんの著書云々より吉永さんの女優人生を読まされたこの頁は糊でくっつけてしまおうかと思ったりして…
( ;∀;)
当たり障りなく避けるのが一番です(笑)
NHKドラマ「夢千代日記」の頃はまだ好きも嫌いもなく一生懸命観てましたけど(#^^#)
gooのコメントは投稿者が編集、削除できないのが不便です。
ただ、「一年後の連絡網」だけは、印象的だったので少し覚えています。
確か、湊かなえさんも、トンガだったか・・・どこか、え?!ってびっくりするような南の島に海外協力隊で1年くらい行ってた、ってのを聞いてびっくりしたことがあるんですね。もしかして、この作品の中のことは、実体験から来てるのかなーって思った記憶があります。
純一がP国へ行くにあたっての色々はきっと湊さんが感じたこととでしょうね。
色んな体験が小説の素になるんですね!
湊さん、これまで読んできたつもりでいたのですが調べたら本書が初めてでした。湊さん原作のドラマや映画を観てて読んだ気になっていたみたいです。
(;´∀`)