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西加奈子「舞台」

2014年04月28日 | な行の作家

 

講談社
2014年1月 第1刷発行
186頁

 

 

葉太・29歳
初めての一人旅
初めてのニューヨーク初日
「ニューヨークの歩き方」を暗記して、観光客ではなく、いかにもその場に馴染んでいる人間のような振りをして、ある目的の為に向かったセントラルパーク
そこで、あろうことかパスポートや現金やクレジットカードやスーツケースの鍵etc
ほぼ全てを入れたディバッグを盗まれてしまう

どうする!
葉太の歪んだ自尊心は、領事館や警察に駆け込むことを許しません
ポケットに残っていたわずかなお金で何とかやっていこうと考えます

 

小説以外に対しては素直になれない
田舎出身であることを恥じ、なりたい自分になるため振る舞う父に対する反発心
そんな父に気に入られようと下手な化粧と洋服で身を飾る母を心底バカにしている
幼い頃から、イタイ奴と思われないよう最大の努力を重ね、人に注目され、望まれることをし、周囲の感情をあおることに強烈な至福を感じる
とにかく自意識過剰
彼の人格形成に大きな影響を与えたのは父親でしょう

 

このままニューヨークでホームレスにでもなるのか?
自分の殻を打ち破る快感を知った葉太
舞台から降りて素の自分と向き合うことが出来るのか?

 

 

29歳、父の建てた家に住み、職を転々とし、父の残した遺産を使ってニューヨークへ行き、観光初日ですべてを盗まれ、英語も話せず、最後には、母に助けてもらう男。挙句、日本に帰ったら武勇伝を伝えるはずだった友人も、度重なる葉太の「逃亡」で、実は今や、一人もいないのだった。
自分は、なんて、情けない人間なんだ。
なんて、のん気で駄目なボンボンなんだ。

 

葉太君、気付くの遅すぎ!

 

 

葉太には死んだ人が見えるということなのですが、あれは実際に見えていたのでしょうか
祖父や父、グラウンド・ゼロで亡くなったたくさんの人々
結局、空っぽに近い自分を認めることを恐れている葉太の潜在意識が見せているただの幻なのではないでしょうか
葉太のバッグを盗んだ男も、荷物が戻らない理由づけをしたかっただけなのではないかと思いました

 

いやぁ~、西さん、大阪弁じゃなくてもビシビシ読ませてくれます

最後にはちょっとだけ葉太が気の毒に思えてきて切なかったかな

 

 

 


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2 コメント

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ぼんぼん (latifa)
2014-04-30 11:11:47
こにさん、こんにちは!
GWいかがお過ごしでしょうか。

いやーホントなんというか、鞄を盗まれてからの葉太の行動とか、あわわわ・・・・状態でした。
西さん、関西弁じゃなくても、読ませますよね。
返信する
latifaさん (こに)
2014-05-01 08:24:33
今日はお天気も回復して暑くなりそうですね!

5/3~のお休み
特に予定もなく行き当たりばったりになりそうです(#^.^#)

葉太君
荒療治ではありましたが、何とかやっていけそうな結末でホッとしました。
女の子に満足のいく朝食を要求するのは止めなさい!と言いたかったデス。
アハハ
返信する

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