角川文庫
2020年2月 初版発行
解説・渡部潤一
335頁
奈良・日月神社のご神体である剣と鏡の調査を依頼された考古学者の藤波三次郎は、鏡がトルファン出土の「禽獣葡萄鏡」と似ていることに気づき、ウィグル出身の研究者・可敦(カトゥン)に協力を求めます
2人は剣とキトラ古墳の繋がりを見抜き、古墳の被葬者の謎へと迫りますが、可敦が拉致されそうになります
民族運動の指導者である可敦の兄に圧力をかけようとする中国政府の仕業なのか?
可敦は単なる研究者ではないのか?
キトラ古墳の謎と国家の陰謀が絡み合う壮大なミサイエンスミステリです
前作「アトミック・ボックス」の主人公、社会学者・宮本美汐や元警視庁公安部の捜査員だった行田安治、広島の新聞記者・竹西オサムも登場します
キトラ古墳の盗掘に始まり、一挙に現代へ、また遣唐使、壬申の乱の時代へ、そしてまた現代へ
読者は、時間軸では飛鳥時代~現代、空間軸ではトルファン~瀬戸内~奈良、そして社会問題と考古学、とあちこち連れ回され、ミステリーの面では最後の最後まで可敦の真の姿が明らかにされないことで、想像を掻き立てられる面白い読み物でした
池澤さん、次は何をボックスに仕立てられるのでしょう
楽しみです
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