新潮文庫
2012年9月 発行
2020年5月 30刷
解説・本多孝好
434頁
一生に一度だけ、死者との再会を叶えてくれるという使者(ツナグ)
急死したテレビタレントと、ひと時だけ彼女と関りを持った地味なOL
かつて使者の手を借りて亡き夫と会った母親と、癌で彼女を失った不遜で不器用なその長男
いつも親友を立てていた朗らかな女子高生と、彼女の事故死に秘密を抱えるその親友
突然、失踪した謎の多い女性と、彼女に去られて失意の中に生きる男性
一晩だけ、朝日が昇るまでの間、短い邂逅の後、死者は死者の世界へと消えていき、残された生者の胸に残るのは、前向きな希望、止め処ない悔恨、感嘆、悲嘆、落胆、様々な感情です
それぞれカラーの違う4つの物語に、使者をつとめる男子高校生の物語が加わります
鬼籍に入った親や祖父母、親戚、友人、知人が生きていた頃、自分はどんな関りをもっていたのか、色々なことを思い出しました
自分だったら、誰に会いたいでしょう
自分が死者だったら、誰からの申し出にOKを出すでしょう
そもそも、使者に再会を願うでしょうか
樹木希林さんと松坂桃李さんの映画が良かったので読んでみました
辻村さん、まだ数冊読んだだけですが外れ無しです
辻村さんは重すぎないけれど軽くない内容なので次々と手にする気持ちになれないように思います。
そうそう、よく練られていますよね~。
じっくり読み続けていきたい作家さんです^^
”善人ばかりの甘ったるいだけの良い話には飽食した”などと言いながら、こういうちゃんと良く練られた話を読むとホッとしますね。
そういえば私も辻村さんは高評価が多いのですが、さほど読了数が伸びません。なんでしょうね。