朝日新聞出版
2019年10月 第1刷発行
209頁
「私」の住む家は元は幼稚園で、何もかもが小ぶりにできています
講堂には亡くなった子どもたちの遺品が収められたガラスの小箱があり、子どもたちの魂が成長しています
大人たちは自分の小さな子どもに会いに来て冥福を祈るとともに子どもたちの成長に合わせて新たな品物を収めます
今日は、いよいよ従姉の息子の結婚式
町の多くの人が招待され晴れの日を祝ってくれています
死んだ我が子の遺品に慰められて生きる生活
私たちが「普通」と考えている暮らしとは全く違います
ゾッとするような設定ですが小川洋子さんが描くとその異常さに違和感を持たなくなるのが不思議です
繊細で奇妙な物語
このところイマイチのめり込めまない作品が続きましたが、本作は久々、小川ワールドを楽しめました
思うに、街全体が、現実の中のファンタジーではなく100%異世界だったことと、「私」の『死』への畏敬の念と優しさが丁寧に描かれていたからかもしれません
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