講談社
2022年3月 第1刷発行
313頁
ライターの大路亨はガンを患う元新聞記者の父から辻珠緒という女性に会えないかと依頼を受けます
一世を風靡したゲームの開発者として知られた珠緒でしたが、突如姿を消していました
珠緒の元夫、大学の学友、銀行時代の同僚等を通じて取材を重ねる亨は、彼女の人生に昭和31年に起きた福井県の芦原大火が大きな影響を及ぼしていることに気づきます
前半の第一部「事実」では、主人公・亨と同じく先が読めず、全体像が分からないまま第二部「真実」へ
多くの関係者への取材を通して徐々に明らかにされていく珠緒の人生と、第三者であったはずの主人公が当事者になっていく展開に頁をめくる手が止まりませんでした
様々なネットメディアが乱立し、信頼できるメディアを見抜く力が必要とされる今、私たちはどう生きるべきか
大きなテーマの中に、半世紀前の大火災、バブル前夜の男女雇用機会均等法、バブル期の銀行、最近のゲーム依存症問題、複雑な親子関係、男女関係、暴力団の介入、殺人事件を盛り込み、ミステリーとしても大変面白く読みました
ただ、登場人物が多いのには閉口
それとゲームには疎いため珠緒が開発したゲームの内容だけ把握して専門的な部分は早読みで飛ばしましたけど、重要な内容があったのかも、と思い残すところはあります
塩田さん3冊目
何れも時間がかかりそうと構えるも、どんどん惹きこまれてしまい、あっと言う間に読了です
次はデビュー作「盤上のアルファ」を読もうか思案中です
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