文春文庫
2004年9月 第1刷
2012年7月 第17刷
解説・木田元
270頁
駅前の居酒屋で高校の恩師と十数年ぶりに再開したツキコさん
憎まれ口をたたき合いながらセンセイと肴をつつき、酒をたしなみ、キノコ狩りや花見、島へと出かけた
歳の差を超え、切ない心を互いに抱えつつ流れてゆくセンセイとツキコさんのゆったりとした日々
居酒屋で先に声をかけてきたのはセンセイ
名簿とアルバムでツキコさんの名前と顔を確認済だったようです
「キミは顔が変わりませんね」
ツキコさんのほうは「はぁ~」って感じ
そういえばこの先生に国語を教わった…名前が出てこない…
というわけで「センセイ」と呼ぶことに
特に約束をするわけでもなく
居酒屋で偶然会えば一緒にお酒を飲み、二軒目へはしごしたり、そのままそれぞれの家に帰ることもある
まれに三軒目四軒目までまわると、たいがいセンセイの家で最後の一杯をしめくくることになる
「ま、近くですから、お寄りなさい」と最初にセンセイが言ったときには少し身構えたツキコさんですが、格別なことが起こるわけでもなく、またお酒を飲んでとりとめの無い話が続く
一緒の時間を過ごし、会話が積み重ねられていくに従いツキコさんの中に膨らんでくるセンセイへの思慕
親子ほども年が離れているのですが、全く違和感がありません
ツキコさんにはセンセイが必要なのです
ただ、それだけ
物語は全部で22の章にわかれています
中の、センセイと口をきいていない、で始まる章「二十二個の星」のラストがとても素敵でした
口をきいていない原因は居酒屋で流れていたラジオの野球中継で、センセイが読売ファンでツキコさんがアンチ読売だと判明したこと
これはやっかいだ、と思いましたが
ツキコさんの気持ちはそこを簡単にクリアしてしまいます
もっと二人の『ケンカ』を楽しみたかったのですが
とても素敵なラストに『ケンカ』の原因なんてどうでもよくなりました
「さようなら」といって別れた後に満ち足りた気持ちを残してくれる相手にはそうそう出会えるものではありませんね
凡人は歳の差恋愛には障害も多かろうと想像してしまいますが、何となく、何ともなく、淡々と、しかし真面目に次のステップに進む二人
最終章「センセイの鞄」の最後の3頁はジワリ泣けてきました
15万部も売れてベストセラーになったというのも頷ける作品でした
あーーー、こにさんの感想を読みながら、色々と記憶がよみがえってきました。
やっぱり、この小説が大好きです。
今年の春だったかな・・・
娘も、これを読んで、センセイとはプラトニックなままでも良かったんじゃないかな?という話をしました。
まあ、あっても、なくても、どっちでも良いかなー。
私の中では「明日の記憶」「博士の愛した数式」に続き、売れたのも然り!の作品と相成りました!!!
>センセイとはプラトニックなままでも良かったんじゃないかな?という話をしました。
まあ、あっても、なくても、どっちでも良いかなー。
娘さん世代はプラトニック派かもしれませんね。
どっちでも良いってところに収めておきましょう(^o^)丿