「なぁ、隣(となり)の星(ほし)から人間っていう奴(やつ)らが来るってのは本当(ほんとう)なのか?」
「ああ、上の連中(れんちゅう)が言ってるんだから間違(まちが)いないんじゃないか。まったく迷惑(めいわく)な話だよな」
「ほんとだよ。そいつら、変な病気(びょうき)とか持ってるんじゃないだろうなぁ」
「上の連中は、奴らがやって来ないようにメッセージを作ってるらしいぞ」
「それでか…。周(まわ)りの連中が駆(か)り出されてるってのは――」
その頃(ころ)、有人(ゆうじん)の探査船(たんさせん)が火星(かせい)の軌道(きどう)に入ろうとしていた。宇宙飛行士(うちゅうひこうし)たちは緊張(きんちょう)した面持(おもも)ちで探査船の操縦(そうじゅう)をしていた。ロケットを噴射(ふんしゃ)して、予定通り探査船は火星の周回軌道(しゅうかいきどう)へ入った。ホッとする飛行士たち。探査船は火星の裏側(うらがわ)へ回って行く。
太陽(たいよう)の光が当たらない火星の裏側で、飛行士たちは光の線を発見(はっけん)して驚(おどろ)きの声を上げた。そして、火星の裏側を抜(ぬ)けると、すぐに地球(ちきゅう)へ通信(つうしん)を送った。
「大変です。火星の裏側にとんでもないものを見つけました。ひ、光ってるんです。その光で、文字(もじ)が書かれていました。WELCOME、ウエルカムです」
地球から返信(へんしん)が返ってきた。「火星への着陸(ちゃくりく)は中止(ちゅうし)だ。できるだけ情報(じょうほう)を収集(しゅうしゅう)し、こちらからの指示(しじ)で着陸船を切り離(はな)し、地球へ帰還(きかん)したまえ」
探査船が地球へ帰って行った後――。
「聞いたか? 人間が爆弾(ばくだん)を落としたそうだ。すごい騒(さわ)ぎになってる」
「ああ、またメッセージを作ってるらしいぞ。今度は――」
<つぶやき>ファーストコンタクトですね。お互いが理解し合えるには時間がかかりそう。
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