みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0858「いちご娘?」

2020-04-08 18:06:12 | ブログ短編

 私の友だちに、とってもユニークな…というか、度(ど)を越(こ)してる娘(こ)がいる。彼女のやることは、私たちの想像(そうぞう)を遙(はる)かに超(こ)えて、どうリアクションすればいいのか分からない。
 あれは、友だちが集まってクリスマスパーティーを開いたときのことだった。私の家に数人の友人(ゆうじん)を招(まね)いて、ごく普通(ふつう)のお茶会(ちゃかい)のつもりだったのだが…。玄関(げんかん)に現れた彼女の姿(すがた)を見て、私は言葉(ことば)を失(うしな)った。彼女は、真っ赤な顔に黒い粒々(つぶつぶ)まで描(か)いて…。たぶん、イチゴのつもりなんだろう…。真っ赤なイチゴ柄(がら)の服(ふく)を着ていた。
 彼女の中では、クリスマスパーティー=仮装(かそう) という数式(すうしき)が成(な)り立っているみたい。私は、思わず彼女に訊(き)いてしまった。
「はぁぁ…、すごいね。えっ? それで、歩(ある)いて来たの?」
 彼女はけろりとして、「うん。これにサングラスして、マフラーとコートを着れば――」
 友だちが玄関に集まってきた。みんな一様(いちよう)に目を丸(まる)くしていた。彼女は何を思ったか、
「あたしは、いちご娘(むすめ)だよっ。あれぇ、どうしたのかな? ノリが悪(わる)いぞーぉ」
 私は弾(はじ)けそうになっている彼女に、「いいから…、上がりなさい」
「ねぇ、どうしてみんなは仮装してないのよ。クリスマスパーティーでしょ」
「そういうのじゃないから…。先(ま)ず、その顔をきれいにしようねぇ。私も手伝(てつだ)うから」
「ええっ、せっかく…。これね、クリスマスケーキのイチゴをイメージして――」
<つぶやき>これはもう慣(な)れるしかありません。彼女と一緒(いっしょ)に楽しんじゃったほうが…。
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