みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0853「待ち合わせ」

2020-04-03 18:18:21 | ブログ短編

 彼と待(ま)ち合わせをしているところに、仲良(なかよ)しの友だちがやって来た。その友だちはおしゃれをしている私を見て、にやにやと私にささやいた。
「あれぇ、まさか、デートなの? あたし、そんな人がいるなんて知らなかったわ」
 私は取(と)り繕(つくろ)うように、「いやいや、そんなんじゃないわよ。変なこと言わないで…」
「あなたって、ほんと分かりやすいよね。すぐに顔に出ちゃうんだから…。実(じつ)はね、あたしもデートなの。ここで待ち合わせしてるんだ」
 その時だ。彼が向こうからやって来た。私を見つけると、彼は笑顔(えがお)で私に手を振(ふ)って駆(か)け出した。――でも、なぜか途中(とちゅう)で足を止めてしまった。そばにいた友だちが、私の彼を見つけて手を振った。そして、彼の名前(なまえ)を呼んだ。えっ、何で…知ってるの?
 彼は、驚(おどろ)いた顔をして、後(あと)ずさりを始めた。私も、彼の名前を呼んだ。すると、彼はその場から慌(あわ)てて逃(に)げ出した。――これは、どういうこと? 私たちは顔を見合わせた。
 二人はほとんど同時(どうじ)に呟(つぶや)いた。「まさか…」
 その後は言葉(ことば)にならなかった。私たちは、同じ人と付き合っていたってこと…? 彼に、二股(ふたまた)かけられていたなんて…。これはもう、呆(あき)れて笑(わら)うしかないわ。
 私たちは、周(まわ)りの目も気にせずに吹(ふ)き出してしまった。
<つぶやき>ダブルブッキングするなんてドジですよね。って、それ以前(いぜん)にダメでしょ!
Copyright(C)2008- Yumenoya All Rights Reserved.文章等の引用と転載は厳禁です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする