昔話(むかしばなし)の主人公(しゅじんこう)たちが集まって会議(かいぎ)が開かれていた。なぜか傘地蔵(かさじぞう)たちが議長(ぎちょう)を務(つと)めていたので、会場(かいじょう)は静まり返っている。そこで浦島太郎(うらしまたろう)が口を開いて、
「なあ、そんな暗(くら)い顔すんなよ。大丈夫(だいじょうぶ)だって。子供たちは俺(おれ)らのこと忘(わす)れたりなんか…」
「どうしてそんなことが言えるんだ?」花咲(はなさ)かじいさんが灰(はい)をまき散(ち)らして言った。
「ちょっと、やめてよ。灰をふらせないで」乙姫(おとひめ)が逃(に)げながら叫(さけ)んだ。
「あのさ…」わらしべ長者(ちょうじゃ)が深刻(しんこく)な顔で言った。「お前たちはいいよなぁ。バンバンCMにでてよ。超有名人(ちょうゆうめいじん)じゃねえかぁ」
金太郎(きんたろう)がなだめるように、「まあまあ、それは…たまたまだよ」
わらしべ長者は皮肉(ひにく)たっぷりに呟(つぶや)いた。「今どきの子供たちが、藁(わら)から長者になれるなんて信じるわけないだろ。世の中もっとシビアなんだよ」
織(お)り姫(ひめ)が呆(あき)れて言った。「そんなこと言わないで。あたしたちが諦(あきら)めでどうするの?」
「そうよ。きっと、子供たちだって分かってくれるわ。私たちのこと…」
「お前…、誰(だれ)だよ? おい、こんなやつ、いたか?」
「わたし、うぐいす姫よ。わたしを知らないなんて…」うぐいす姫は泣(な)き出してしまった。
すかさず桃太郎(ももたろう)が寄(よ)り添(そ)って、「僕(ぼく)と一緒(いっしょ)に鬼ヶ島(おにがしま)に行きませんか? あなたがそばにいてくれたら、きっと頑張(がんば)れると思うんです。君(きみ)を絶対(ぜったい)に有名にしますから――」
<つぶやき>もうめちゃくちゃですね。あなたの知らない主人公が、まだまだいるかも?
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