みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0868「残念」

2020-04-18 18:06:47 | ブログ短編

「何で、あたしがあなたと付き合わなきゃいけないわけ?」
「だって、僕(ぼく)たち…、そういう……あれじゃ…」
「ちょっと親(した)しくなったからって、あたしがあなたのこと好(す)きになるわけないでしょ。もう話しかけないでよね」
 彼女はすたすたと行ってしまった。残(のこ)された彼は呆然(ぼうぜん)と突(つ)っ立っていた。一部始終(いちぶしじゅう)を見ていた友だちが彼の肩(かた)を叩(たた)いて言った。
「残念(ざんねん)だったなぁ。でもさ、もう少し粘(ねば)ってもよかったんじゃないのか?」
 彼は友だちの手を振(ふ)り払い、「うるさいよ。お前が、やれって言ったんじゃないか…」
「えっ? そうだったか…? それよりさ、俺(おれ)、あそこの女に声かけられちゃって…」
 友だちが指(ゆび)さす方に目をやると、派手(はで)に着飾(きかざ)った女が手を振っていた。友だちはその女に手を振り返すと、「なあ、どう思う? ちょっと俺の好(この)みじゃないんだけど、せっかくのお誘(さそ)いだから、行っちゃう?」
 彼は小さなため息(いき)をつくと、「あのさ…。それ、今じゃなきゃダメかな? お前も見てただろ。今、彼女に振られたとこなんだよね」
「えっ、お前、マジだったのか? だったら言ってくれよ。俺はてっきり――」
「てっきりって何だよ! マジで悪(わる)いか? 僕は、いつでも本気(ほんき)なんだよ」
<つぶやき>相談(そうだん)する相手(あいて)を間違(まちが)えちゃったのかなぁ。でも、大丈夫(だいじょうぶ)だよ。きっと次(つぎ)は…。
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